なぜデスクトップ「Linux」のユーザーは一向に増えないのか?

今回は「なぜデスクトップ「Linux」のユーザーは一向に増えないのか?」についてご紹介します。

関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 筆者は1997年から「Linux」を使い続けているが、その間、問題が起きたのはたった1回だけだ。その期間の長さを考えれば、これは非常に立派な成績だと言えるだろう。あるOSを30年近く使ってきて、何回か小さな問題があったほかは、深刻な問題が1度しか起きなかったという状況を想像してみて欲しい。

 誰がどう見ても、それは勝利だ。

 ただし最初の頃は、Linuxを使うのは決して簡単ではなかった。おそらく、筆者がLinuxに非常に早く慣れることができたのは、それが理由だろう。真剣に努力しなければならなかったのだ。

 しかし今のLinuxは、昔のLinuxとは別物だ。今のLinuxは驚くほど使いやすくなっている。コマンドラインを使う必要もなければ、自分でカーネルをコンパイルする必要もない。bashのスクリプトを書いたり、正規表現を覚えたり、自分でファームウェアをインストールしたりする必要もなくなった。

 今のLinuxはとても簡単だ。

 そう考えると、デスクトップOSにLinuxを使っている人が一向に増えないのは不思議に思える。

 状況を把握してもらうために数字を挙げてみると、最近では、Linuxが「macOS」を抜いて、ゲーム用として2番目によく使われているOSになったというニュースがあらゆるところで話題になった。また、Linuxのデスクトップ市場のシェアも3%に達した。これらの数字は喜ぶべきものではあるだろうが、それほど大騒ぎするほどのものでもない。

 それでも、前進は前進だ。

 筆者の考えを述べたい。筆者はここ数年の間に、Linuxがデスクトップ市場に本格的に進出できていない理由を説明する理論にたどりついた。どう考えても広がらないのはおかしいのだ。Linuxデスクトップは無料で、驚くほど安定していて、安全であり、使いやすく、使っていて楽しい。その上最近では、デスクトップの使い道の大半がウェブブラウザーを中心としたものになっている。その一点だけでも、アプリケーション不足がLinuxの利用を妨げているという意見は一蹴できる。

 では、何が問題なのか。

 これは、オープンソースコミュニティの人々にとっては気に入らない話かもしれないが、問題は、Linuxを代表するディストリビューションがないことではないだろうか。

 詳しく説明しよう。

 Linuxを始めるにはどうしたらいいかと尋ねる人は、試してみるべき長々としたディストリビューションのリストを聞きたいわけではない。筆者だって、「『Ubuntu』か、『Linux Mint』か、『elementary OS』か、『Zorin OS』か、『Ubuntu Budgie』を試してみては?」などと言いたくはないのだ。それが正しい答えだったとしても、Linuxが動いているのを見たことすらない人は、そんなことを言われれば及び腰になってしまう。

 しかも現実に、すべてのLinuxユーザーが、初心者ユーザーにはどのディストリビューションを勧めるべきかについて一家言持っている。悲しいことに、意見がたくさんあってもこの問題は解決しない。筆者は今から約7年前に、この問題をきっかけとして、Linux界に大きな利益をもたらすアイデアを思いついた。

 「公式」のLinuxディストリビューションを作ってみてはどうか。

 考えてみてほしい。もしある特定のディストリビューションが公式フレーバーになれば、いくつかのことが起きる可能性がある。

 まず、初心者ユーザーの迷いが減るはずだ。Linuxを試したい人は、とりあえずその「Official Linux」(もちろんどのような名前でもいい)を使ってみればいい。そのLinuxは、ユーザーフレンドリーで、安定していて、TLSレベルのアップデートを受けており、(当然ながら)新規ユーザーに配慮したものになるだろう。

 次に、ソフトウェアをLinuxに移植したり、ハードウェアをLinuxで利用できるようにしたいと考える企業が、何百ものディストリビューションに対応せずに済むようになる。1種類のフレーバーのことだけを考えればよくなるわけだ。それによって、Linuxで利用できるソフトウェアやハードウェアがさらに増える可能性もある。

 もう1つのメリットとして、デスクトップOSにLinuxの採用を考える企業も増えるはずだ。

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