物流エコシステムをフル活用–全ての小売店にささぐ、オラクルとUberの配送改革

今回は「物流エコシステムをフル活用–全ての小売店にささぐ、オラクルとUberの配送改革」についてご紹介します。

関連ワード (マーケティング、リテールテック最前線等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 米Oracleは現地時間9月19~21日、ラスベガスで年次カンファレンス「Oracle CloudWorld 2023」を開催している。リアル開催の再開から2年目となる今回、会場の熱気は灼熱の砂漠にも負けない。

 19日の基調講演には、最高経営責任者(CEO)のSafra Catz氏が登壇。同氏は顧客企業5社のエグゼクティブを招き、対談形式で企業のイノベーションとそれを支える自社の技術をアピールした。

 冒頭でCatz氏は「われわれの顧客は変化やチャンスを避けるのではなく、受け入れている。自社の課題を“モチベーション”と捉えて前進し、今使えるテクノロジーを駆使して事業運営の在り方全体を変革している」と評した。本記事では、7年間にわたる戦略的クラウドパートナーシップによって実現した、Uberとの共同イノベーションを取り上げる。

 Oracleは、小売向けクラウドソリューション「Oracle Retail」の新サービスとして、ラストワンマイル配送を変革する「Collect and Receive」を発表した。Oracle Retailを利用している小売企業は、事前に統合された APIを介して、ホワイトラベルの配送サービス「Uber Direct」に接続できる。

 Uber Directにより小売業者は、配達パートナーをはじめとした「Uber Eats」のデリバリープラットフォームを利用しつつ、自社ブランドを冠して配達を行える。2020年に米国で提供を開始し、2022年からは日本でも利用されている。

 小売企業はCollect and Receiveを利用することで、在庫の再調整のほか、当日/時間指定の配送オプション、注文の受け取り、最寄りの小売店・郵便局への返品など、多くの選択肢をユーザーに提供することが可能となる。加えて全ての取引データは、Oracleの小売ソリューション向け基盤に取り込まれるため、企業は顧客の購買行動や好みの分析を推進し、自社サービスを改善できると期待される。同サービスは既に、Oracle Retailを利用している米国とカナダの小売企業に提供されている。

 基調講演でCatz氏は「2010年の設立以来、どういった重要な決定が行われたか」とUber 最高経営責任者(CEO)のDara Khosrowshahi氏に問いかけた。これに対し、Khosrowshahi氏は「当社はもともと運送会社だった。われわれは、既存のテクノロジー、エコシステム、価格やマッピングのシステムなどを生かし、人の輸送だけでなく食料や物の輸送まで行うことにした」と述べる。

 「私が6年前に入社した時、Uber Eatsはビジネス全体の約5%だったが、現在物の輸送は500億ドル規模となっている。コロナ禍で当社の配車ビジネスは大きな打撃を受けた一方、配送ビジネスは前例のない速度で成長した」(Khosrowshahi氏)

 Uber Direct について、同氏は「われわれが最も心を躍らせている事業の1つ。Uberは、素晴らしい物流エコシステムで成り立っている。人を乗せ、食べ物や日用品などを運んでいるのは約600万人のドライバーだ。当社はその物流エコシステムを本流の事業から切り分け、世界中の小売業者に提供している」と語る。

 Khosrowshahi氏は「Uber Directにより、街角の小売店は翌日配送だけでなく当日配送も可能となり、Amazonにも打ち勝つことができる。既に約3500ブランドがUber Directを利用しており、例えばAppleで『iPhone』を注文すると、その日のうちに顧客のもとへ配達してもらえる。われわれは、あらゆる町の小売店にこの喜びをもたらしたい」と力説した。

 「この取り組みで非常に興味深いのは、Oracleの小売システムを利用している企業がUber Directに接続し、オンデマンドの配達や返品も提供できるようになったこと。全てはUberのテクノロジー、ロジスティクス、そしてOracleのテクノロジーに支えられている」(Khosrowshahi氏)

 Khosrowshahi氏の言葉を受けて、Catz氏は「われわれはUberと共に成長している。不確実性の高い時代の中、収益を上げながら成長し、テクノロジーを活用して新たな市場へ進出していく。Uber Directが注目されているのは、皆さんの多くが同様の問題の解決に取り組んでいるからではないだろうか。私はUberとのパートナーシップに本当にわくわくしている」と締めくくった。

(取材協力:日本オラクル)

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