リアルタイム処理革命が間近に–現時点では普及に偏り
今回は「リアルタイム処理革命が間近に–現時点では普及に偏り」についてご紹介します。
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何らかの出来事が発生した際に、地球上のすべての組織は数ミリ秒以内にその事象を検知し、リアルタイムで対応できる。さまざまなカンファレンスでの主張や、ベンダーの売り文句、アナリストの意見を数多く耳にしてきているのであれば、そういったことが可能だと考えている人もいるだろう。
実際のところ、まだそういった世界は実現されていないが、リアルタイム処理を要求するだけのもっともな理由もある。人工知能(AI)や予測分析、組み込みシステム、ストリーミングアプリ、リアルタイムでの位置追跡、警告システムといった、最近登場してきた興味深い新たな物事はいずれもリアルタイムテクノロジーを前提としている。とは言うものの、リアルタイム処理は依然として発展途上の状態だ。
ここで複数の業界調査に当たってみると、リアルタイム処理は現実世界の話ではなく夢物語に近い状況であることが示されている。例えばTiveがサプライチェーン管理分野の企業幹部を対象に実施した調査によると、回答企業の77%が出荷状況のリアルタイムでの可視化に向けて積極的に取り組んでいる一方、実際に実現できているのは25%にとどまっているという。同様にUnisphere ResearchとChaosSearchの調査によると、エンドユーザーにリアルタイムで情報を提供していると回答した企業は23%にとどまっているという。
リアルタイム処理能力の普及状況に偏りがあったとしても、ほとんどのケースでは実際の問題にはつながらないかもしれない。DAS42の最高経営責任者(CEO)Nick Amabile氏は「ほとんどの企業はリアルタイムデータを必要としていない」と主張している。同氏は、リアルタイム処理が必要となるのは運用上の要求か分析上の要求かのいずれかだとし、「運用システムではしばしば、セキュリティ上の脅威を監視するといった情報セキュリティ関連や、マーケティング関連でのパーソナライゼーションに向けた取り組み、ロジスティクス、出荷の傾向、コストの最適化、顧客エクスペリエンスの向上、不正行為の検出、取引戦略などのユースケースでリアルタイムデータが求められる」と述べた。
これに対して、分析上の要求ではある程度の遅延が許されるという。同氏は「分析関連のユースケースではまず、許容可能な遅延についてのサービス水準合意(SLA)を定めることになる」と述べ、「おそらく、ユーザー向けのレポートはリアルタイム性が要求されるかもしれないが、幹部向けのレポートは数時間遅れでも許されるはずだ。しかし例えば利害関係者はしばしば、バッチ処理でも問題ないユースケースだったとしても、リアルタイムのデータやレポートを要求する場合がある」と続けた。