NTT Comら4社、データセンターの運用保守業務おけるロボット活用の有効性を実証
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NTTコミュニケーションズ(NTT Com)と東京ロボティクス(東京ロボ)、NHN テコラス、E-MARKは10月に、リアルタイム遠隔制御ロボット(テレプレゼンスロボット)を活用したデータセンターのIT機器運用保守業務の実証実験を開始する。これに先立ち4社は、9月26日にデータセンターのラボ環境で、テレプレゼンスロボットを利用したデモンストレーションと、報道機関向けの説明会を行った。
説明会に登壇したNTT Com イノベーションセンター プロデュース部 部門長の東出治久氏は、「最近では、人間が立ち入れない場所での作業が出てきている。人が明確かつリアルタイムに操作するロボットが必要になるとわれわれは考え、2018年ごろからテレプレゼンスへの取り組みを行ってきた」と、実証の背景について説明した。
この実証では、NHNテコラスが商用環境として利用するデータセンターのIT機器を対象に、NTT Comと東ロボが開発したテレプレゼンスロボット「Togrus-DC」を用いてE-MARKが保守運用作業の一部を実施する。実証を通して、運用保守業務におけるテレプレゼンスロボットの有効性を検証するという。
具体的には、サーバールーム内に設置したテレプレゼンスロボットをE-MARK事務室および運用拠点から遠隔操縦し、実用に耐えられるかを確認する。また、ラックが設置された環境下での遠隔操作に耐え得る無線通信環境の検証を行う。
実証は10月から2024年3月を予定。実施内容は、(1)故障・トラブル発生時の駆け付け、(2)現地作業の事前/事後確認、(3)遠隔からのサポート作業、(4)定期巡回――の4点を検証するという。
(1)故障・トラブル発生時の駆け付けでは、システムに故障・トラブルが発生した際に、保守拠点からデータセンターへ配置したテレプレゼンスロボットにアクセスし、遠隔操作することでシステム障害の原因特定に向けた一次切り分け業務を実施する。また、一次切り分け業務の映像を録画データとしてクラウド上に保管する。
(2)現地作業の事前/事後確認では、メンテナンス作業実施の前後で行う確認作業を、テレプレゼンスロボットを用いて行う。(3)遠隔からのサポート作業は、現地作業において、熟練作業者のサポートが急きょ必要になった場合に、保守拠点の熟練作業者がテレプレゼンスロボットを経由して現地とコミュニケーションを図る。
(4)定期巡回では、ロボットの巡回を予約し、早朝や夜間帯などに自動で監視対象の機器を確認するとしている。これらの取り組みを通して、NHN テコラスでは、データセンターにおける障害発生時の初動対応の迅速化を図る。またE-MARKは、データセンター運用における効率的な監視や運用体制を通した運用保守サービスの高度化につなげるとした。
同日に行われたデモンストレーションでは、片腕式汎用(はんよう)移動マニピュレータ「Tolon」をデータセンター向けに改造した「Tolon-DC」が利用された。実証では、Tolon-DCを踏まえて開発されたTogrus-DCを利用するという。
Togrus-DCは、Tolon-DCと比較して軸数を抑え、ロボットのコスト削減を実現した。また、腕をたたむと台車のサイズ内に収まる設計になっており、0.9~1メートルほどの通路幅で運用できるとしている。
デモンストレーションでは、Tolon-DCが省スペースかつ正確に棚との位置合わせが出来る一次元マーカーを目印に移動。サーバラック前面の格子扉から内部を、高解像度カメラとLED照明で確認する。利用者は、インターネット越しに画像を確認しながら、手動でカメラの撮影場所を指示することもできる。
テレプレゼンスロボットを開発する東ロボは、この実証を通して、データセンターの運用保守作業に特化したロボットの開発と遠隔ロボット操縦の高度化を図るという。
NTT Com イノベーションセンター プロデュース部 主査の丸山純平氏は、データセンターにおける今後の展望として「データセンターの中でロボットが当たり前に走るようになると思っている」と話す。データセンターにおけるテレプレゼンスロボットの活用の幅を増やすことで、運用保守サービスの人員効率を上げ、省人化や深夜勤務の状態化を改善し、ワークライフバランスの改善を目指したいという。
今後は、NTTグループが提供するIOWN構想のオールフォトニクスネットワーク(APN)を活用し、より低遅延なネットワーク環境での遠隔からの操作性向上と機能の拡充を目指すとした。