1人1台端末と生成AIで生徒の資質・能力を育む–「第7回日本ICT教育アワード」

今回は「1人1台端末と生成AIで生徒の資質・能力を育む–「第7回日本ICT教育アワード」」についてご紹介します。

関連ワード (「GIGAスクール構想」で進化する教育現場、CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 全国ICT教育首長協議会は、「第7回日本ICT教育アワード」および「全国ICT教育首長サミット」を開催した。同協議会は、先進的なICT教育を推進する全国130自治体の首長で構成する協議会で、「GIGAスクール構想」推進の一翼を担ってきた。

 第7回となる日本ICT教育アワードではGIGAスクール構想や自治体独自の教育DXでの事例を募集し、1月17日に表彰式を行った。選考委員会による選考の結果、文部科学大臣賞や総務大臣賞など8つの賞に対して13自治体が受賞。本稿ではその中でも、経済産業大臣賞を受賞した富山県朝日町、そしてデジタル大臣賞を受賞した大阪府枚方市の発表を紹介する。

 富山県朝日町は「『生成AI を活用した情報活用の能力の育成』~産・官・学の連携による教育DX の推進~」をテーマにICT教育を推進している。同町は、2023年度に文部科学省の「リーディングDXスクール事業」モデル校に指定され、2024年度は生成AIパイロット校に採択されている。同町は、富山大学と大手通信会社、茨城県つくば市教育委員会と連携して(1)生成AIを活用した業務改善、(2)生成AIを活用した授業改善、(3)情報活用能力の育成――に注力してきたという。

 まず生成AIの利用において、文科省が示す「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」に沿いながら、朝日町における生成AIを校務で活用する際の指針を作成した。校務での活用例としては、「児童・生徒の指導に関わる業務の支援」「学校の運営に関わる業務の支援」「学校行事・部活動への支援」「外部対応への支援」――の4領域を想定しているという。

 業務改善の取り組みにおいては、「ChatGPT」や「Microsoft Copilot」などの生成AIを活用してテスト問題やあいさつ文、学校行事の指導計画書などを作成し、業務効率化を図った。教員からは、「労力と時間の削減に大きくつながっている実感がある」との声が寄せられているという。

 授業改善における生成AI活用では、朝日町立朝日中学校において人型ロボット「Pepper」とChatGPTを連携させて英会話の練習を行った。会話のパターンや速度、声の高さなどを調整して各生徒が自己調整しながら学習を進めることができ、話す力の育成につなげられたとしている。また、この取り組みでは、生成AIを教員やネイティブスピーカー、生徒の代役として協働学習のパートナーの一人として活用できたという。

 生徒に対して授業後にアンケートを実施したところ、「日常的な話題について必要な情報を聞き取ることができるようになった」「関心のある事柄について、簡単な語句や文を用いて即興で話すことができるようになった」という設問に対して70%以上が肯定的な回答をした。朝日町教育委員会の担当者は「生成AIを活用した英語の授業は、生徒にとって興味・関心を高めるだけでなく、全国的な課題である『話す・聞く』の力の向上に有効である可能性が示されている」と話した。

 ほかにも、同町では町制施行70周年を記念して「みんなでつくる! あさひまち100年年表」を実施。これまでの同町の写真で70年間の年表を作り、未来の30年間を、生成AIを用いて未来の朝日町を描いた。この事業は同町の小学校5~6年生を対象に行い、クリエイティブ向けの生成AI「Adobe Firefly」を活用して未来を描いたという。

 朝日町はAdobe Fireflyについて、年齢制限がなく、小・中・高校では無料で利用できること、また著作権が許諾されたデータのみをAI学習しているため、著作権に配慮していること、そして生成した画像の一部分を柔軟に加工できることを特徴として挙げた。生成された画像をベースに児童が修正を加えて未来の町を描くことができたという。

 情報活用能力の育成においては、同町独自の生成AIとの関わり方を盛り込みながら、小・中学校で身に付けたい資質・能力を「基本的な操作活動」「プログラミング」「生成AIとの関わり」「問題解決・探究における情報活用」「情報モラル・情報セキュリティ」と系統的に配置。また、生徒と教員向けに情報チェックシートを作成し、体系表に位置付けた資質・能力が確実に身に付いているかを確認できるようにした。加えて教員には、情報活用能力学習計画表を基に学年/教科ごとに何の資質・能力を身に付けさせたいかを明らかにしているという。

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