IT部門から管理部門へと代行事業を拡大するSUNITED–IT企業の明日が垣間見える
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「IT部門の代行から管理部門の代行へ」――。情報システム部門向けの業務代行サービスなどを提供するSUNITED(シュナイテッド)は、急成長するスタートアップや中小企業などに経営企画も含めた管理部門の代行にも事業を拡大しようとしている。その取り組みから、システムインテグレーション(SI)を手掛けるIT企業の明日の姿が見えてきそうだ。
SUNITEDは、繊維などの商社機能と、医薬品などのメーカー機能を備える興和の完全子会社になる。国内外で挙式サービス事業を展開するワタベウェディングの子会社として2019年6月に設立されたが、同社が興和に買収されたことでグループ会社の一つとなった。実は、事業会社のIT部門責任者などを経験したSUNITED 代表取締役の福富啓之氏がワタベに転職する際、「グローバルなシステムを刷新したら3年後には独立したい」と伝えていたこともあり、ワタベは福富氏に任せたIT部門を分社化。福富氏はその代表となり、IT部門向けの業務代行ビジネスに乗り出した。
福富氏は同社のビジネス形態を「伴走型の臨時コーチ」と表現する。「横について一緒に作業したり、悩んだりするが、決して張り付きではない」
主な業務は、IT運用やマーケティング、会計、管理事務、広告制作と幅広いが、中核はIT部門の業務代行になる。業務フローの作り直しやIT予算の作成、システム導入・稼働の社内調整も担う。「当社は事業会社のIT部門として生まれたため、社長や部署への説明や調整も経験がある」と、福富氏はユーザー企業の業務に関わったことのないITベンダーには提供できない知識、ノウハウを持っていると強調する。
そこで、福富氏らがユーザー企業のIT部門責任者を兼務し、システム導入の体制作りや稼働後の運用管理にも携わる。例えば、あるクラウドサービスを導入する際、「何がどう変わるのか」「既存システムではなぜいけないのか」「ウェブ会議システムとは何か」などを、「ユーザー目線で丁寧に説明する。ITベンダーの資料は専門用語が多く、ユーザーには分かりづらいことがある」(福富氏)
しかも、ユーザーの悩み事は変わる。目先はIT戦略の立て直しだとしても、その先にはマーケティングや人事管理などの課題も山積する。「だから、全方位に展開し、ユーザーの悩みが変わっても対応できるようにした」と福富氏は語る。現在、70を超える企業と取引があり、毎月1社のペースで増えているという。ユーザー企業とは長い付き合いになり、95%が継続するストックビジネスとなっている。
福富氏によると、全方位で展開する代行業者は少ない。多くはIT業務だけ、マーケティング業務だけといった特化型になる。それに対して、SUNITEDはIT領域だけでなく、マーケティングや会計、人事に強い人材なども幅広くそろえる。大手企業の経営企画や新規事業開発、マーケティングなどで部長や管理者の経験があり、「ユーザーにへばりついて一緒に考える」(同氏)ことを得意とする。福富氏もブックオフコーポレーションのIT統括責任者として、基幹システムの刷新や株式上場を経験してきた。
福富氏は、企業の「臨時コーチ」という立場から、管理部門業務の代行・受託へと事業を広げていくことを考えている。「企業の悩み事は尽きないので、ITを入口に管理部門全体の運営へと広がっていく。特にスタートアップなど急成長企業が事業拡大したら、新たに管理部門の人材を採用しなければならないが、人口減少の中で良い人材の確保が難しくなっている」(同氏)。売り上げを増やし、利益を伸ばすことを優先すれば、管理業務の対応はどうしても後回しになるだろう。
そこに大きなビジネスチャンスがある。管理部門業務の代行・受託はビジネスモデルの拡充にもつながる。加えて、現在の月額料金制から、レベニューシェアの契約形態を検討する。福富氏は「人数に依存するビジネスモデルをチューニングする」と言い、代理店業務の開始もその一環になる。
これまでもITベンダーのソフトウェアを選定したり、価格交渉したりしてきたが、一歩踏み込んだ活用には代理店機能を備えることが必要と判断。会計や総務、法務、マーケティングなどのパッケージソフトやクラウドサービスを取り扱い、カスタマイズにも対応する。
46歳になる福富氏は、コンサルティングやシステム開発、マーケティング支援などを経験してきた中で、ITや管理をコストセンターとみなし、それらを担う人材を安く調達しようとする傾向が見受けられたという。それでは良い人材を採用できないのは明らかで、IT人材などの給与を上げるため、自分たちで稼ぐ方法を考えた。それが同社を立ち上げた原点にある。従業員50人超、業務委託を含めると100人超の規模になり、一歩一歩、それに近づいている。