リコー、デジタルサービス分野における国内外の事業成長を報告–日本と欧州が飛躍

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 リコーのリコーデジタルサービスビジネスユニットは12月7日、世界各国で展開中の事業活動を報告する説明会を開催した。2023年度は日本と欧州がグローバルをけん引し、微増ながらも各地域でプラス成長している。

 同社 ビジネスユニット プレジデントの入佐孝宏氏は「コロナ禍以降、オフィスの定義が変化している。われわれはワークプレイスサービスプロバイダーを目指し、そのためにITサービス、ビジネスプロセスオートメーション、コミュニケーションサービスの3分野に注力する」と展望を語った。2023年度上期は46%だったデジタルサービス売上比率を2025年度までに60%超えを目指す。

 この説明会では日本、欧州、北米の3地域を担当する責任者が登壇し、各種サービスの進捗(しんちょく)を報告した。

 日本は、業務の現場で使用するエッジデバイスやアプリケーションに、サポートとサービスを組み合わせた課題解決モデルの拡充を図ってきた。大企業に対しては共創モデル、中堅中小企業に対してはスクラムパッケージに代表されるパッケージ型ソリューションを提供している。

 中堅中小企業向けのスクラムシリーズの成長は顕著で、2023年度上期は前年比159%の売上高648億円に達した。継続利用する顧客比率も31%から88%へ向上し、「新規導入するスクラムシリーズは、ほぼ100%」(リコージャパン 社長 笠井徹氏)との結果から、大半がオフィスサービスを占めるストックビジネス売上構成比も21%から40%へ増加した。合わせて月額利用サービスや運用代行サービス、保守サービスを詰め合わせたオフィスサービスストックも順調で、2023年度上期は2016年度比で売上高は2.6倍、年平均成長率はプラス14%と継続的な成長を続けている。

 他方でリコージャパンは加速するデジタル化と対応を迫られる各業種を支援するため、人的資本への投資を続けてきた。2019年4月には職種別の能力を可視化するプロフェッショナル認定制度を拡充し、2023年4月からはジョブ型雇用に類する人事制度への反映も実施している。

 同社はさらなる人材強化を図るため、2023年度上期は全従業員のデジタル能力強化と実践に取り組んできた。リコージャパンデジタルアカデミーが取り扱う教材数は前年比プラス218の3651本。学習時間も前年比138%の72万時間(全従業員1万8000人分)、前述した認定制度の8段階で3段階以上に達した従業員数もプラス723人の3635人に達した。

 笠井氏によると、同社は「各地域でデジタルサービスを届けできるメンバーが上期で3600人を超えた。今後も5000、6000人と市場に通用する人材の拡充」を図るという。内訳を見るとMicrosoftソリューションエバンジェリストは前年比114%の325人、kintone認定資格者は前年比224%の401人、情報処理推進機構(IPA)の情報セキュリティマネジメント取得者も前年比152%の1287人。笠井氏は「中堅中小企業にデジタルサービスを届けたい」と今後の展開を述べている。

 欧州、中東およびアフリカ市場を担当するRicoh Europeも順調に成長し、2022年度の売上高は前年度比110%の35億ユーロ。そのうち37%はオフィスサービスが占めており、売上高も前年度比17%の成長を見せた。Ricoh Europe 最高経営責任者(CEO)のNicola Downing氏は「有機的成長と買収によって得られた成長」だと説明している。

 同社も人材育成に注力しており、Downing氏は「特にサービスエンジニアとセールスチームに投資している」という。470人の従業員や1000人以上のサービスエンジニアにデジタル能力の学習機会を用意した。さらに3000人以上のセールスチームは870を数えるパートナー企業と共に活動し、前述の売上高につなげている。

 北米市場を担当するRicoh USAの売上高は前年度比109%の35億ドル。そのうちオフィスサービスが27%を占めた。同社の顧客区分を見ると66%が大企業だが、Ricoh USA 社長 兼 CEOのCarsten Bruhn氏は「エンタープライズの顧客は戦略的付加価値のある販売機会を拡大するため、われわれの成長戦略に欠かせない」と説明する。なお、中堅中小企業は25%、中小企業は9%だった。

 同社はこの数年間、重点顧客のセールス体制、顧客エンゲージメントを重視したコンサルティング、顧客中心のポートフォリオ、デジタルプラットフォーム戦略の4領域に注力している。これらの取り組みが「継続的成長と成功につながる」とBruhn氏は説明した。

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