ソフトバンク、決算は好調も携帯値下げは約700億円の悪影響 宮川社長「マイナスは他で打ち消す」
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「2020年は携帯料金の値下げに悩まされた1年だった。(損失などの)影響は21年に出ると思うが、他の事業で必ず打ち消していく」──ソフトバンクの宮川潤一社長は、5月11日に行った2021年3月期第4四半期累計(20年4月〜21年3月)の決算会見でこう話した。携帯料金の値下げの影響で、コンシューマ事業の通期営業利益が当初の見通しから約700億円下がる可能性があるという。一方、eコマース事業やヤフー事業が好調なことから、通期の業績見通しを上方修正した。
総務省の働き掛けを受けて3月に提供を始めたスマートフォン向けの新料金プラン「LINEMO」について「ソフトバンクやY!mobileから移行するユーザーも出ており、その分はマイナスになっている」(宮川社長)とコメント。
一方、両ブランドからLINEMOに移行するユーザー数は想定の範囲内としており、減益分も他事業の増益でカバーできる見込み。通期の業績見通しを上方修正し、予想売上高は5兆5000億円(期初の予想から2945億円増)、営業利益は9750億円(同42億円増)、純利益は5000億円(同87億円増)とした。
2022年3月期以降の展開については「料金が減った分は契約数でカバーしていく。損失分は契約数の積み上げでカバーできる範囲内と考えている」としている。
4Qは全セグメントで増収増益
同日に発表した2021年3月期第4四半期累計の連結決算は、売上高が5兆2055億円(前年同期比7.1%増)、営業利益が9707億円(同6.5%増)、純利益が6074億(同22.2%増)。全セグメントで増収増益した中、巣ごもり需要やテレワーク需要の影響で、法人向け事業と、eコマースやメディアを手掛けるヤフー事業が特に好調だったという。
セグメント別で見ると、法人事業では売上高が6916億円(前年同期比8.3%増)、営業利益は1077億円(同28.9%増)だった。テレワーク需要でスマートフォンの契約数が増加した他、SaaSやセキュリティサービスの売上が伸長。AIを活用した検温システムといったIoT商品の売上も伸びたという。今後はAI・IoTなどを活用した街づくり「スマートシティ」の分野で事業を拡大する方針だ。
ヤフー事業では、売上高が1兆2058億円(前年同期比14.5%増)、営業利益は1621億円(同6.5%増)だった。巣ごもり需要でEコマースが伸長した他、Webメディアのトラフィックも増え、広告収入が伸びたという。
コンシューマ事業では売上高が2兆7703億円(前年同期比2.7%増)、営業利益は6586億円(同1.3%増)だった。新価格プランを発表したY!mobileや、光回線サービス「SoftBank 光」の契約数増加が要因としている。
法人や個人にPC周辺機器やクラウドサービスを提供する流通事業では、売上高が5313億円(前年同期比10.1%増)、営業利益222億円(同29.9%増)だった。文部科学省が“子供1人にPC1台”を目標に進める「GIGAスクール構想」に伴い、端末の発注が急増。200を超える自治体から100万台以上を受注できたという。
【訂正:2021年5月12日午前10時】当初、第4四半期累計の数値を表記すべきところ、誤って第3四半期の値を表記していました。お詫びして訂正します。
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