プロジェクト管理基盤のSmartsheet、日本事業に本腰–「昨日までと同じ」を変えていく

今回は「プロジェクト管理基盤のSmartsheet、日本事業に本腰–「昨日までと同じ」を変えていく」についてご紹介します。

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 プロジェクト管理クラウドプラットフォーム「Smartsheet」を提供する米Smartsheetは2月7日、2024年の事業戦略について記者発表会を開催した。同社は日本事業の発展に向けて、日本初の販売代理店契約をSB C&Sと締結した。

 同社は、2005年に米国ワシントン州で創業。Smartsheetは190カ国以上・数百万人に利用されている。「Fortune 500」企業の85%以上がユーザーという。日本市場には2023年に本格参入し、Smartsheet Japanが日本語版を提供してきた。国内では、総合建設会社の大林組が採用している。

 Smartsheetはコアアプリ(基本機能)として、クラウド上で複数人が同時に作業でき、さまざまな形式で表示可能な「シート」、複数シートの重要情報をまとめる「レポート」、レポート情報をグラフで可視化する「ダッシュボード」などを搭載している。そのほか、プレミアアプリ(拡張機能)や周辺機能も用意している(図1)。

 同プラットフォームの特徴として、(1)「Microsoft Excel」や「Google スプレッドシート」など、ユーザーが使い慣れているシートの形式を踏まえたインターフェース、(2)プロジェクト管理に必要な機能の品ぞろえ、(3)共有された場合はライセンスのないユーザーも閲覧・編集できる「コラボレ―ター機能」――がある。

 利用の流れは、各プロジェクトをシートに格納し、未完了のタスクやリスクのある工程といった重要な情報をレポートに抽出、社内上層部が視覚的に把握できるダッシュボードを作成する。「フォーム」機能に入力された内容をシートに反映することも可能だ。

 Smartsheetの主要な差別化ポイントについて、Smartsheet 最高経営責任者(CEO)のMark Mader(マーク・メーダー)氏は「Smartsheetの利用では、高度なITスキルを必要としない。セキュリティ要件を満たしながら、多くの人々にとって使いやすいプラットフォームを実現している」と述べ、「大半の顧客はSmartsheetをMicrosoftやWorkday、SAP、ServiceNowなど他社のソリューションと併用している。Smartsheetを追加してもらうことで、企業は(意思決定を迅速化させるなど)早く動くことが可能となる」とアピールした。

 Smartsheet Japan 社長執行役員の嘉規邦伸氏は「われわれの最大の競合は、企業や社会の環境。北米では20年近く事業を展開しており、既に数多くの企業が業務改革にSmartsheetを活用している。一方日本では、こういった製品が紹介されてこなかったがために、『昨日までのやり方でいいじゃないか』と変革の必要性を認識していない傾向がある。われわれはこうした風土を変えていき、日本の皆さまの業務負担を軽減していきたい」と力を込めた。

 同社は、原則的に間接販売で製品を展開する。今回締結された販売代理店契約によりSB C&Sは、Smartsheetのパートナー企業の製品理解を支援するプログラム「Smartsheet アラインド・パートナー・プログラム」に参加する。

 SB C&Sを販売代理店に選んだ理由について、嘉規氏は「SB C&Sは、国内で1万3000社の販売店と取引がある。つまり、今日から日本中の販売店がSmartsheetを取り扱い、お客さまに提案できる体制が整ったといえる。また、幹部の方々に『世界と比べて非効率な働き方が見られる日本の企業の皆さんに新しい技術を届け、日本のDXを次のステージに持っていきたい』というわれわれの思いに共感いただいた」と説明した。

 SB C&Sは、ソフトバンクグループの「ソフトバンク事業」でディストリビューション領域を担う企業。同社は近年、SaaSビジネスに力を入れており、2022年10月から専門組織「Cloud Service Concierge」を運営している。同組織は「Collaboration」「HR」「Backoffice」「Marketing Sales」の4カテゴリーに注力しており、今回はCollaboration領域でSmartsheetを取り扱う。

 Smartsheet Japanは「令和6年能登半島地震」で影響を受けた市町村にSmartsheetのライセンスを一定期間無償で提供し、復興を支援することを計画している。

 「Smartsheetは、何かのスタート/ゴールを設定し、たくさんの人々がクラウド上のプラットフォームに集まり、プロジェクトを効率的にやり遂げられるという特徴を持つ。『仮設住宅の建設』『住民票を残したまま二次避難をしている人々のトラッキング』といった今回の被災地ならではの悩みやプロジェクトをわれわれはお手伝いできると思っている。既存のパートナー企業に相談したところ、ぜひ一緒にお手伝いしましょうと言ってくれた」と嘉規氏はSmartsheetの新たな活用法を提案するとともに、影響を受けた地域への思いをにじませた。

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