「脱セキュリティベンダー目指す」–タニウム新社長が事業戦略語る

今回は「「脱セキュリティベンダー目指す」–タニウム新社長が事業戦略語る」についてご紹介します。

関連ワード (セキュリティ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

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 タニウムは、新社長就任発表を兼ねた事業戦略説明会を開催した。概要を説明した米Tanium 最高経営責任者(CEO)のDan Streetman(ダン・ストリートマン)氏は、同社のミッションを「“Power of Cernainty”(確実さの力)を世界のセキュリティ意識の高い組織に提供すること」と説明した。

 同社が世界初の「コンバージドエンドポイント管理(Converged Endpoint Management:XEM)プラットフォーム」を提供する企業であり、このプラットフォームによってユーザー企業は「リアルタイム、シームレス、自律型のテクノロジーによってサイロを破壊し、複雑性、コスト、リスクを軽減できる」と語った。

 Streetman氏は日本国内の事業が基本的にNTTコミュニケーションズ(NTT Com)やNEC、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)といったパートナー経由であることを踏まえ、今後も国内のパートナーエコシステムの強化のために積極的な投資を継続していくとした。

 同氏は、Taniumのエンドポイント管理プラットフォームが既に世界最速であるとした上で、最新のアップデートでもさらなる処理の高速化を実現したと明かし、その意図として「リアルタイムデータ」の重要性を強調した。膨大な数のエンドポイントのデータをリアルタイムに収集して解析するプラットフォームの能力が同社の強みだという。

 リアルタイムデータをAI技術に基づく「自律型(Autonomous)エンドポイント管理機能」で解析することでIT運用とセキュリティを単一のプラットフォームに統合し、エンドポイントで何が起きているかをリアルタイムに可視化、パフォーマンス劣化などのユーザーの満足度を低下させてしまうようなトラブルへの対処やサイバー攻撃に対する迅速な対処などが可能になる。

 同氏は「リアルタイム機能はAIのためには必要な要素であり、これが提供できているのは現状Taniumのみである」と自信を示し、そのリアルタイム性を前提とした上で提供される高速な処理速度や膨大なエンドポイントをカバーするスケーラビリティーが同社の競合優位性だと強調した。

 続いて、2024年2月1日にタニウム 代表執行役社長に就任した原田英典氏が国内事業戦略について説明した。原田氏は同社に入社した2017年当時を振り返り、「当時はエンドポイント検知対応(EDR)の全盛期で、Taniumのことを知っているのは本当に限られた人だけ」という状況下で「見えないものは守れない/サイバーハイジーン」というメッセージを打ち出すことを決めて国内での事業開拓に取り組んだ結果、2020年に100万エンドポイント、2022年で200万エンドポイントと急成長を遂げ、現在は300万エンドポイントに到達していると明かした。

 入社当時10人だった社員は現在110人を超え、過去4年間の年平均成長率はグローバルでも突出して高い60%を記録していることを踏まえて同氏は「この勢いを止めずに今年も成長していきたい」とした。また、同社製品を導入したユーザー企業が享受できるメリットとしては、「リアルタイム性、網羅性、運用負荷の軽減、コスト削減、グローバルITガバナンスの向上」を挙げている。

 原田氏が掲げた2024年の事業戦略は「新規ビジネス40%成長」「サポート体制2倍へ」「日本品質」の3点となる。新規ビジネスに関しては、同社がこれまで中核市場としてきた従業員数で5万人以上の大企業の領域では「約半数近くがTaniumを採用いただいており、いわゆるキャズムを越えたと認識している」という。そこで、次に2~5万規模の企業向けの営業を強化すると同時に、数千~2万人規模のユーザー企業に対してはパートナーとの連携強化で対応していくとした。

 サポート体制については「既存ユーザーの満足度の維持向上が中長期的な成長には必須」との考え方で取り組むもの。従来は特定の状況でのみ顕在化するような解決困難な技術的トラブルに対応できるエンジニアは本国にしかいなかったが、こうした問題の解決が可能なエンジニアを国内にも配置するなど、単純に人員を倍増させるだけにとどまらず、質的にも大幅に向上させていくとしている。

 最後の日本品質は「日本の市場に即した製品開発の強化」の取り組みで、グローバルでも突出して成長している日本市場のニーズに対応すべく、本国の開発チームとも密接に連携しているという。

 さらに原田氏は、「セキュリティのその先へ/脱セキュリティベンダーを目指す」と今後の方向性について語った。同社が紹介したユーザー事例では、7000人ほどの従業員数のある工場の食堂でランチを提供していたが、コロナ禍で出社人数が大幅に増減するようになったことでフードロスが大量に発生するようになってしまったことに対し、Taniumのプラットフォームで収集されるリアルタイムデータで毎朝のPCの稼働状況などを把握して出社率を割り出し、このデータを食堂に渡すことでフードロス削減を実現したという。

 こうした使い方は従来のセキュリティベンダーの枠には収まらないが、リアルタイムにさまざまなデータを把握できていれば、用途に応じた複数の活用方法が考えられるということの実例だといえるだろう。同氏は「DX推進が求められる中、利便性とセキュリティがトレードオフの関係になってはいけない。セキュリティソリューションはゲートキーバー的な存在として経営活動を抑止するのではなく、ガードレールとしてその内側で自由に活動し、利便性の向上やDXの推進を実現することが求められている」とした上で、「DX経営の根幹を成す膨大なエンドポイントの正常稼働と、それを利用する従業員の生産性向上/満足度向上。これを当社が提供する」と語った。

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