セゾン情報システムズ、23年度の事業方針発表–「HULFT Square」でデータ連携ビジネス加速
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セゾン情報システムズは8月30日、2023年度の事業方針とクラウド型データ連携基盤「HULFT Square」のプラットフォーム戦略について説明会を開催した。
セゾン情報システムズは1970年、旧セゾングループのシステム構築を担うシステムインテグレーター(SIer)として設立。1993年にファイル転送ソフトウェア「HULFT」を発売し、2013年にはアプレッソとの提携(現在は吸収合併)により、「DataSpider」シリーズをはじめとしたデータマネジメントソリューションの提供を始めた。
セゾン情報システムズは2016年度から、データ連携ビジネスの拡大に取り組んでいる。2022年度には売上全体の48%を達成し、2026年度にはさらなる比率の向上を目指している。事業構造の変革を着実に進める中、同社は2024年4月1日付で、社名を「セゾンテクノロジー」と変更する。
社名変更の背景について、代表取締役 社長執行役員 最高経営責任者(CEO)の葉山誠氏は「『情報システムズ』と聞いた人は、大企業の情報子会社のようなイメージを持つのではないか。現在、情報子会社時代の仕事は半分ぐらいだが、情報システムズという名前だと、どうしてもそのイメージが取れない」と述べた。「テクノロジー」の部分には、良いテクノロジーを提供しているという自負のほか、自社で行っているイノベーションを社外にも届けたいという思いを込めているそうだ。
セゾン情報システムズは2023年2月、国産Integration Platform as a Service(iPaaS)としてHULFT Squareを提供開始。業務iPaaSの国内市場は右肩上がりで伸びており、近年注目されている「社会問題の解決」にも求められるという。例えばカーボンニュートラルの取り組みでは、自社で取得可能なデータ(Scope1、2)と他社データやオープンデータ(Scope3)を連携させる必要がある。
同社は2023年度、「グローバル」「ガバナンス」「大規模開発」「接続先拡大」という観点でHULFT Squareの新機能を提供している(図1)。グローバル対応では5月、「一般データ保護規則」(GDPR)、「カリフォルニア州 消費者プライバシー法」(CCPA)、米国公認会計士協会が定めたサイバーセキュリティのフレームワーク「SOC2」に準拠し、今秋には北米と欧州での提供を予定している。
取締役 常務執行役員の石田誠司氏は、9月にリリースする目玉機能として、ノーコードでデータの抽出などを支援するサンプルプログラム「スクリプトテンプレート」を挙げた。データ連携に当たり、「Java」によるコーディングでは約1万4000ステップが必要となるが、ノーコード開発では13個のアイコンを配置し、再生ボタンを押すとプログラムが稼働する仕組みとなっている。
HULFT Squareは今後、「中と外をつなぐ存在」として、クラウド/オンプレミス環境、SaaSを連携するほか、顧客のグループ会社や取引先のデータもつなげ、さまざまな業種や分野に対応する(図2)。機密情報の取り扱いなどではオンプレミスへのニーズも依然として見られるため、既存サービスのバージョンアップを進め、HULFT Squareとの連携を強化する。
セゾン情報システムズは7月、同社が目指す「業種・分野特有の連携」の一環として、銀行業務の統合プラットフォームを提供するnCino(エヌシーノ)、貿易情報連携プラットフォームを提供するトレードワルツとの協業をそれぞれ発表した。
セゾン情報システムズはnCinoと共同で、HULFT Squareと銀行業務の統合プラットフォーム「nCino」の連携ソリューションを提供開始。今回発表した連携ソリューションは、HULFT SquareとHULFTを活用し、銀行業務の統合プラットフォーム「nCino」と勘定系などのオンプレミスシステムや電子契約などのクラウドシステムを連携させる。これにより、DXの障壁となっていたインターフェース開発の工数と膨大なコストを抑制する。
トレードワルツとは、同社の貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」におけるAPI連携ツールの一つとして、HULFT Squareを提供する。TradeWaltzは全業種に対応しており、幅広い書類をPDFファイルではなく構造化データで保管するのが特徴。同サービスでは顧客と取引先のシステムほか、さまざまなプラットフォームとの連携を進めており、HULFT Squareにより各サービスとのAPI連携をノーコードで行えるようにする。
セゾン情報システムズは、今後の取り組みとして「サステナビリティー推進に向けた生成AIの活用」を掲げる。サステナビリティー指標の設定には現状のデータが必要となるが、現場はデータの収集や成形、加工などを行う必要があり、「手間と迷惑がかかる」と石田氏は指摘した。同氏は「担当者自身がiPaaSからデータを“取りに行く”環境を構築するべき」とし、その発展形として生成AIの活用が期待されるという。例えば「当社の女性管理職の割合は?」というプロンプト(指示文)に対し、生成AIが瞬時に数値を回答することが考えられる。
セゾン情報システムズは、自社のデータに対応する生成AIの利用環境を構築。HULFT Squareで自社の情報をSnowflakeのデータドリブンプラットフォームと連携させ、「Azure OpenAI Service」を用いて回答を生成する(図3)。同社は自社の知見を活用し、9月に生成AI導入支援サービス「Enterprise LLM(仮称)」の提供を予定している。自社で実証した環境の一部を提供することで安全性を担保するほか、最短14日での導入や安価な導入価格を特徴としている。