クラウドエッジでのコンピューティングをさらに拡大–アカマイ・テクノロジーズ
今回は「クラウドエッジでのコンピューティングをさらに拡大–アカマイ・テクノロジーズ」についてご紹介します。
関連ワード (クラウド等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
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アカマイ・テクノロジーズは、同社がグローバルで展開するエッジネットワークに新たなクラウドコンピューティング機能を組み込む計画として「Gecko」を発表した。Geckoは内部的に使われていた開発コード名だというが、意味としては「Generalized Edge Compute」に由来している。
概要を説明した米Akamai TechnologiesのField CTOのJay Jenkins氏は、これまでのメガクラウド事業者を中心に展開されてきたクラウドコンピューティングが中央集権的な環境であり、数カ所~数十カ所程度に分散された「リージョン」を利用できるだけなのに対し、同社のエッジコンピューティング環境はメガクラウド事業者のサービスではカバーされていないエリアも含めて数百カ所もの分散拠点を活用可能であり、ワークロードをユーザーやデバイス、データの近傍に移動させることで、次世代のエッジネイティブアプリケーションの実現を可能にすると説明した。
もともとはコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)サービスのための配信拠点として、同社ではネットワーク上のユーザーに近い場所に比較的小規模のコンピューティングリソースを多数分散配置させてきた。創業以来25年以上にわたって整備されてきたこの分散環境はグローバルで130カ国、750以上の都市に4100カ所以上のポイントオブプレゼンス(PoP)という規模に達しており、Jenkins氏はこの規模について「世界最大であり、われわれに次ぐ第2位の規模の事業者と比較するとPoP数で8倍もの差がついている」と明かした。
その上で、同氏はGeckoのビジョンを「現在のクラウドアーキテクチャーのさまざまな制約を取り除き、新たな能力を提供する」ことだと説明し、数フェーズを経て段階的に機能拡張を行う計画だとした。Jenkins氏は2023年夏にも来日して同社のエッジプラットフォーム上で提供されるPaaSとしてMacrometaについて説明しているが、今回のGeckoはそれに続くエッジコンピューティング分野での拡張となり、同社がこの分野に注力していることを示すものとなっている。
Phase1では、Gecko上で仮想マシン(VM)の実行がサポートされ、グローバル100拠点でGeckoサービスの提供開始を目指す。Phase2では、コンテナープラットフォーム(Kubernetes)が追加され、現在の主なワークロードであるVMとコンテナーの両方をGecko上で実行できる環境が整う。Phase3では、より高度なオートメーションやオーケストレーションの機能が提供される予定だ。
同社は、Linode買収によってグローバルなデータセンターネットワークを獲得しており、現在25拠点のコアデータセンターとして運用されているが、これらはGeckoのサービス拠点としても活用される。これに加えて現在9カ所のPoPでGeckoサービスがトライアル展開されており、第1四半期中に1カ所追加されて計10カ所となる。2024年中にGecko対応のPoPは75カ所まで拡大する予定で、25カ所のコアデータセンターと合わせて計100カ所のGeckoサービス拠点がグローバルで展開されることになる。
GeckoのユーザーメリットとしてJenkins氏は、ワークロードをユーザーの近傍に分散配置できるようになることで、レイテンシーが低下し、耐障害性が向上するとした。ゲームやSNS、ストリーミングメディアなどはもちろん、近年注目が高まっているAI/機械学習(ML)に関しても、大量のデータを移動させるのではなく、データが蓄積されている場所の近傍にコンピューティングを移動させていくという観点からGeckoにメリットがあるという。
Geckoの説明に先立って同社の事業概要を説明した同社の職務執行役社長の日隈寛和氏は2023年の決算で通期売上が38億ドルを達成し、前年度比6%成長となったとした上で、「今回初めてセキュリティビジネスが祖業であるCDNのビジネスを大きく上回った。今は、セキュリティとコンピューティングのビジネスで全体の6割を占めるまでに成長した」と明かした。コンピューティングビジネスの成長率は25%と急速に成長しており、同氏は国内の事業に関しても「このモメンタムを2024年も継続していきたい」とした。