全面的な再構築によるメインフレームからの脱出を進める企業は少ない–キンドリル

今回は「全面的な再構築によるメインフレームからの脱出を進める企業は少ない–キンドリル」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 キンドリルジャパンは「メインフレームを巡る現状を知り、今後を考える」と題したプレス向け勉強会を開催した。

 Kyndrylは2021年にIBMのインフラストラクチャー・サービス部門が分離独立して設立された企業で、「世界60カ国以上で数千の企業顧客にサービスを提供する世界最大のITインフラサービスプロバイダー」だという。もともとIBMのメインフレームユーザー向けにサービスを提供していた経緯から、現在もメインフレームを利用するユーザー企業の多くが同社のサービスを利用しているものと思われる。

 メインフレームモダナイゼーションの現状について説明したストラテジックサービス本部 メインフレームサービス事業部長の斉藤竜之氏は「前身の日本IBMの時代からメインフレームのお客さま100社以上にサービスを提供している」と紹介した。

 現在のメインフレームモダナイゼーションの「潮目の変化」として、同氏は「数年前から、コストやメインフレームを担う人材といったスキル上の課題、ほかの国産のメインフレームメーカーの製造撤退など諸々の理由から、モダナイゼーションすなわちメインフレームからの脱出ということで検討がされ始めた」と説明した。

 「多くのプロジェクトが立ち上がったが、システムに対する要件とその充足、移行の複雑性といった観点から、現状としては全面的な再構築によるメインフレームからの脱出を進めている会社はほとんどない」と同氏は指摘し、現在のモダナイゼーションの取り組みが「どのワークロードを残し、何を移行させるべきか、『Right workload on the right workplace』へとモダナイゼーションの方向性がシフトした」とした。

 こうした変化が生じた背景として、斉藤氏は「30~40年、いろいろな課題・お客さまの要件によって作り込み続けてきたシステムは、アプリケーション同士、アプリケーションとOSを含めたインフラ部分が密接につながったシステムになっている。そうしたシステムの接続性や複雑性を踏まえた現状分析から、移行計画が充分に立てられてなかった」と説明した。

 メインフレームの強みである大量並行処理をロードバランシングしながら要件に応じて終了させるというメインフレームの特性をほかのプラットフォームに移行して品質面を充足させることに対する課題もあるといい、「調査機関が発表したデータでは、メインフレームのモダナイゼーション/脱メインフレームといったプロジェクトの成功率は大体20~30%」だと紹介した。

 こうした現状を踏まえ、今後どのような方向性でモダナイゼーションが進んでいくのかという点については「メインフレームを生かす部分の見極め」「メインフレームの最適化、利活用の検討」「センターオブエクセレンス(CoE)の立ち上げと人材育成」の3点が紹介された。

 斉藤氏は同社がグローバルで実施したメインフレームモダナイゼーションに関する調査のレポートから、「95%の組織でアプリケーションの一部をメインフレームから移行したが、移行されたワークロードは平均で全体の37%」「回答者の90%が『メインフレームが自社の運営にとって不可欠または非常に重要である』と回答」といったデータが現実のモダナイゼーションの流れを表しているとした。

 その上で、これからのモダナイゼーションについては「システムの最新化、プログラム資源の最適化、自動化の運用の高度化によりメインフレームの能力を効率良く活用する(Modernize on)」「APIやデータレプリケーションによるメインフレームのデータの活用など、クラウドをはじめとした他プラットフォームとの連携を促進する(Integrate with)」「ビジネス要件と品質要件を踏まえた選択をした上で、アプリケーションを最適なプラットフォームへ移植する(Move off)」の3つの手法を組み合わせた「ハイブリッドアプローチ」によるモダナイゼーションが主流になっていくとした。

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