「脱丸投げ」でERPなどのカスタマイズは2割未満に–ガートナーが提言
今回は「「脱丸投げ」でERPなどのカスタマイズは2割未満に–ガートナーが提言」についてご紹介します。
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ガートナージャパンは、企業アプリケーションの変革に関する提言を発表した。企業は、アプリケーションの導入を丸投げする体質から脱却すべきであり、パッケージを活用すれば、カスタマイズを2割未満に抑制できると説いている。
同社は、DX推進やデジタル化をスピーディーに実施すべく、ソフトウェア開発やパッケージアプリケーションの導入において一部の作業を内製化したいと考える企業が多いと指摘する。また、顧客体験(CX)などにおけるデジタル活用では要件が複雑になり、事業部門側の人材のリテラシー向上が課題にもなっているという。
バイス プレジデント アナリストの本好宏次氏は、企業がアプリケーションにまつわる新たな活用やテクノロジーを採用して根付かせる上で、人の意識が変わらないことが大きな障害だと解説。アプリケーション開発の内製化やCXに必要な人材のリテラシー向上などにおいて、「当事者部門からIT部門に、さらにはIT部門から外部委託先へ」という丸投げ体質が深刻な課題だと指摘している。
アプリケーションの丸投げ体質とは、「やりたいことを伝えるだけ」という発注側の姿勢と「依頼されたことをやるだけ」という受注側の姿勢に起因するという。それが、事業部門からIT部門に、さらにはIT部門から外部の開発委託先へといった連鎖の形で表れているという。
本好氏は、特にCX向上など部門横断的な推進が重要な施策でこの体質が顕在化すると、特定部署の要件に対応する個別アプリケーションが乱立する状態になる恐れがあると指摘する。事業部門担当者などが自らアプリケーションやシステムを開発する「市民開発」でも、テクノロジーやツールに関する従業員のリテラシー教育が適切になされず、結果的に事業部門がIT部門に丸投げしている状況が散見されるとしている。
ガートナージャパンが2023年6月に行った国内企業への調査では、ERPパッケージのカスタマイズを2割未満に抑制している企業は33%で、27%の企業が5割以上をカスタマイズしていた。カスタマイズが横行すれば、運用コストが高止まり、バージョンアップの負担が大きいなど問題が多い。同社は、カスタマイズが多い原因に上述の「丸投げ体質」があるとだろうと分析している。事業部門が既存の業務や機能の再現などの要求をIT部門に丸投げし、IT部門も外部にもその要求で委託してしまう。
本好氏は、「従来の丸投げ体質を転換し、ビジネスとITのメンバーが共に課題解決に取り組む体制を構築できる企業では、カスタマイズを減らすことで、パッケージアプリケーションの利用コストを抑えつつ、タイムリーに新機能を活用してビジネス価値を実現しやすくなる。そのためには、ビジネス部門とIT部門のフュージョンチームを編成し、プロダクトオーナーを担うことができるビジネス人材の育成を推進することが重要になる」と解説する。
最近は、ビジネスの変化に即応すべくパッケージアプリでカスタマイズを減らし、カスタマイズ開発などの一部について内製化する動きが見られる。ただし、丸投げ体質を改めないまま内製化を進めれば、結局は統制が取れないカスタマイズや機能拡張が繰り返され、技術的な負債が積み上がる恐れがあるとしている。
同社は、2027年にかけてERPパッケージなどのアプリケーション導入の内製化で丸投げ体質から脱却した企業は、カスタマイズを2割未満に抑えられるとの見解を示している。