日本マイクロソフトに求めたい「生成AIサービスの国内利用社数の公表継続」

今回は「日本マイクロソフトに求めたい「生成AIサービスの国内利用社数の公表継続」」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、日本マイクロソフト 執行役員常務 クラウド&AIソリューション事業本部長の岡嵜禎氏と、PwCグローバルAI・イノベーションテクノロジーリーダー/PwC米国 パートナーのScott Likens氏の「明言」を紹介する。

 日本マイクロソフトは先頃、国内における生成AIサービスの導入事例について記者説明会を開いた。岡嵜氏の冒頭の発言はその会見で、グローバルでの「Azure OpenAI Service」の利用社数を示し、昨年来、引き続き順調にサービスが拡大していることを強調した。

 会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは岡嵜氏の冒頭の発言に注目したい。

 同氏は冒頭の発言の前に、生成AIのユースケースについて「高度化しつつある」として図1を示し、次のように説明した。

 「当初は要約やQ&Aといった形で社内でのチャットボットとしての利用が中心だったが、その後、データドリブンな意思決定、パーソナライゼーション、そして完全なオートメーションへと高度化する動きになってきている」

 Azure OpenAI Serviceは、そうしたユースケースを実現していくためのサービスだ。同氏によると、「テキストや画像、コード生成のための大規模言語モデル(LLM)をセキュアな環境から実行可能なMicrosoftのマネージドサービス」とのことだ。要は、生成AIを活用したアプリケーションを柔軟に作成することができるのが、最大の特徴である。

 このAzure OpenAI Serviceは、Microsoftが競合他社に先駆けて生成AIサービスを展開し、今も利用社数で大きくリードしているとみられるキラーサービスだ。今回の会見でも「グローバルで5万3000社以上のお客さまに利用されている」と胸を張った(図2)。

 この「グローバルで5万3000社以上のお客さま」との発言を「明言」として取り上げたのには、理由がある。実は、同社 代表取締役社長の津坂美樹氏が2023年12月、Azure OpenAI Serviceを利用する国内企業が2300社以上に達し、およそ2カ月で4倍に急増したことを公表した経緯があるからだ。その時の状況については、2023年12月22日掲載の本連載記事「日本マイクロソフトが生成AIサービスの利用社数を公開し続ける理由」をご覧いただきたい。

 だが、それからおよそ3カ月たった今回は、国内ではなくグローバルでの利用社数を公表した。おそらく「5万3000社」がグローバルの生成AIサービス市場でも群を抜く利用社数なのだろうと推測されるが、それよりも現時点での日本での利用社数を公表しなかったのはなぜか、筆者はそちらが気になった。

 生成AIが注目を集めてから1年余りたった今、競合サービスが続々と登場しつつある中で、Azure OpenAI Serviceの国内での勢いは変わらないのか。国内では、現時点で生成AIを利用する企業の割合が2~3割とも目されており、まだまだ潜在需要は大きいとみられる。Microsoftでは各種アプリケーションに生成AIを組み込んだ「Copilot戦略」も本格的に動き出しており、とりわけ圧倒的な商品力を持つ「Microsoft 365 Copilot」の展開に目が行きがちだ。ただ、Azure OpenAI Serviceの勢いはパートナービジネスにも大きな影響を及ぼすだけに、その動向は大いに気になるところだ。津坂氏および岡嵜氏の次なる発言に注目したい。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
JR東、中国SNS「Weibo」で運行情報を発信 アフターコロナ見据え
企業・業界動向
2021-03-26 16:53
米商務省傘下NIST、「AIのリスク管理フレームワーク」策定に向け意見や情報募る
IT関連
2021-08-04 17:10
KADOKAWA、夏野剛氏が新社長に就任へ
企業・業界動向
2021-03-26 22:10
「KDE Vaults」を使用して「Linux」上で機密情報を安全に保管するには
IT関連
2024-03-22 10:05
VR空間で短尺アニメを作れる「AniCast Maker」、Oculus Quest向けに配信 エイベックスとVRの第一人者・GOROman氏の会社がタッグ
企業・業界動向
2021-04-11 13:55
企業が「データドリブンな組織」を作るための要件とは–ガートナーの提言から探る
IT関連
2023-04-14 21:34
リクルート、規約管理支援サービス「termhub」を提供開始–弁護士ドットコムと共同開発
IT関連
2022-10-28 23:19
東京きらぼしFG、セールスフォースの金融機関向けCRMなど採用–顧客の利便性向上へ
IT関連
2022-07-20 11:23
ガートナー、日本企業がデータとアナリティクスで成功するのに欠かせない役割を発表
IT関連
2023-03-25 19:50
Netflixに公式VTuber、社員が“中の人”務める アニメ好きに向けて活動
企業・業界動向
2021-04-28 22:59
ドコモ、店舗にメルカリの無人投函ボックス 携帯ショップで初
企業・業界動向
2021-02-05 19:11
アドビ、「Photoshop」のウェブ無料版をテストへ
IT関連
2022-06-16 02:16
ゼットスケーラーとSB S&C、「ゼロトラスト」の販促に向け協業
IT関連
2022-11-02 08:36
メタバースの標準化団体「Metaverse Standards Forum」が発足–Metaなど多数が参加
IT関連
2022-06-23 21:13