産業用途におけるデジタルツイン/メタバースの現状とは–デル・テクノロジーズ

今回は「産業用途におけるデジタルツイン/メタバースの現状とは–デル・テクノロジーズ」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 デル・テクノロジーズは「製造業デジタルツイン最前線 – NVIDIA Omniverse導入で進む産業メタバース」と題するセミナーを開催した。

 同社 クライアント・ソリューションズ統括本部 アウトサイドセールスペシャリスト部長の中島章氏は「VRやMRの技術をエンターテインメント分野だけでなく業務システム/産業システムとして生かせないかという検討が始まっている」とし、より具体的な仕組みやシステムを紹介したいという考えでセミナーの開催に至ったと説明した。

 中島氏は「総務省発表の情報通信白書でデジタルツインの市場は2020~2025年の5年間で13倍に拡大すると予測されており、期待されている市場分野」であることを紹介。VR、AR、MRなどeXtended Reality(XR)と総称される技術が「人とロボットの協働の促進」「人同士のコラボレーションと働き方改革」「人の安全性や快適性の向上」といった分野で有用だと見られていると踏まえた上で、「デジタルツインを支える安定環境として、『NVIDIA Omniverse』の仕組みとそれらを支えるハードウェアをDellがきちんと提供する」と意気込みを語った。

 続いて、エヌビディア シニア・ビジネスデベロップメント・マネージャー(RTX/Omniverse)の中嶋雅浩氏が「VRの価値が変わる 産業メタバースを支えるOpenUSDと生成AI」と題する講演を行った。

 中嶋氏はNVIDIAを「アクセラレーテッドコンピューティングのパイオニア」と紹介した上で、「アクセラレーテッドコンピューティングには、チップアーキテクチャー、システム、アクセラレーションライブラリーからアプリケーションのリファクタリングに至るまで、フルスタックの最適化が必要」だと指摘し、これらを同社が提供できることを強調した。

 2024年3月に開催された同社の年次イベント「GTC 2024」での発表内容も簡単に紹介。特にOmniverse関連では「Omniverse Cloud APIによる生成AIとの接続を推進」「Earth-2 クラウド 地球環境デジタルツイン」「Wistron デジタルツイン事例」「Cadence、Siemens、Dassaultを始めISV連携を強化」「Apple Vision Pro対応」「Configurator範囲を拡大」「自律運転システムとOmniverse Cloud APIが連携」といった項目を紹介した。

 NVIDIAが得意とするGPUの描画性能を活用した3Dの仮想空間であるOmuniverseはさまざまな活用が考えられるが、同氏は産業分野での応用にとって有用な特徴として「リアルタイムのレイトレーシング」を挙げた。レイトレーシング(Ray Tracing)は光源から出て対象物を照らし、反射や屈折などを起こしながら目に届く光の光跡を精密に計算することで、現実的/写実的な映像を作り出す技術。同社のGPUでもこうした計算を得意としているという。

 Omniverseの内部の物体を動かせばその動きに応じて影も正しく動くなど、実写映像さながらの現実的な映像体験が可能になる。その意味について、中嶋氏は「今までとは全く異なる、感覚に響く視覚体験が可能になる」と説明した。例えば、Omniverse空間に置かれた物体の質感がリアルに感じられることで、「寒々として固い/温かみがあり、柔らかい質感」などが共通認識として伝わることになる。

 Omniverse内に配置した物体が実物同様に見えることを踏まえ、中嶋氏は「意思決定できる視覚体験」だと表現した。従来は、実際に試作品を作って手に取って初めて判断できた質感なども、Omniverseでシミュレーションを行うことで最終判断までを下せるようになれば、効率が大きく向上する。

 なお、これまでの3Dモデルによる仮想体験との違いとして、Omniverseと生成AIの連携が大きく影響している。開発中の製品であれば、設計データを基に正確な3Dモデルを作成できたとしても、その製品が置かれる環境の3Dデータを丸ごと作成するのは時間もコストも掛かる。

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