ネットアップ、30以上の新製品など投入–性能、セキュリティ、AIを訴求

今回は「ネットアップ、30以上の新製品など投入–性能、セキュリティ、AIを訴求」についてご紹介します。

関連ワード (ストレージ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

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 ネットアップは7月30日、2025事業年度の事業戦略を発表した。高い性能やセキュリティ、AI対応インフラの3つを主軸に据え、30以上の新製品や機能を投入していくとしている。

 同日の記者会見で戦略を説明した代表執行役社長の中島シハブ・ドゥグラ氏は、まず2024事業年度の実績を振り返り、「大きな成功を収めた」とした。製品面ではクアッドレベルセル(QLC)を中心するデータの高効率処理への需要の高まりを背景に、グローバルでオールフラッシュストレージの年間成長が17%、従量課金制のストレージサービス(STaaS)の「NetApp Keystone」が同100%、クラウドストレージサービスが同38%成長となった。

 また、国内ビジネスでは「長年の目標だった国内シェアトップ獲得」(中島氏)というオールフラッシュストレージアレイが2024年第1四半期の国内シェアでトップの57.7%(IDC調べ)となった。NetApp Keystoneの年間売り上げ成長率も98%、クラウドストレージサービスも同76%と好調だったとし、新たな導入事例では、日産自動車におけるハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)環境での採用があったという。さらに、AIインフラ分野では、創薬開発のゼウレカやプリファードネットワークスとの国産AI半導体開発などの採用があった。

 国内市場では、特にAI分野の拡大に期待する。他方で、顧客側にはセキュリティやデータのサイロ化、データ増加に対応するコスト、データセンターの消費電力増大などの課題があるとし、同社は2025事業年度にこれらに対応するため、「インテリジェントデータインフラストラクチャー」というコンセプトを掲げる

 中島氏は、2025事業年度の主な取り組みとして、(1)新製品や新機能の投入、(2)新コンセプトの認知拡大、(3)パートナー戦略――の3つを挙げた。(1)では30種類以上の新製品や新機能を順次投入し、既に一部でパートナーとの検証を始めているという。(2)では、エクスペリエンスセンターを開設して多様なワークショップなどを実施している。(3)では、400社以上の同社パートナーの5000人以上が参加するコミュニティーを通じた活動の幅を広げていく。中島氏は、顧客のビジネスの成功のために同社がデータを保護し、データ環境を通じてAI導入を支援し、変革を実現する柔軟なインフラを提供していくと語った。

 続いてチーフ テクノロジー エバンジェリストの神原豊彦氏が、インテリジェントデータインフラストラクチャーのコンセプトと同コンセプトに基づく技術戦略を説明した。

 まず同コンセプトは、これからの企業がAIなどを活用していく上で、インテリジェントなインフラによるデータプラットフォームが重要になるとの考えから提唱したという。ここでは、(1)あらゆるタイプ(ファイル、ブロック、オブジェクト)のデータとワークロードをハイブリッド/マルチクラウド環境で活用できること、(2)高セキュリティと運用自動化、オブザービリティ(可観測性)を具備していること、(3)サードパーティーエコシステムとシームレスに連携すること――の3つをネットアップのプラットフォームで提供していくものだという。

 技術戦略では、(1)において、2025事業年度に同社史上最大規模という30以上の新製品や新機能を順次投入する。第一弾としてオールフラッシュストレージのハイエンドモデル「NetApp AFF」シリーズの新製品3機種「AFF A1K」「AFF A90」「AFF A70」を発表した。新機種は、性能が最大2倍向上し、最大IOPSで4000万、転送スループットで最大1TB/秒を達成しつつ、IOPS当たり最大50%、スループット当たり同55%、容量TB当たり同35%のコスト削減を実現したという。

 また、クラウドストレージでは、第2世代となる「Amazon FSx for NetApp ONTAP」を提供し、スループットで最大72Gbps、同240万IOPSを達成しており、スケールアウト構成も可能にした。

 (2)では、特にセキュリティ機能を強化する。神原氏は、ストレージ本体でのサイバー攻撃への防御力が求められているとし、同社のストレージが米サイバーセキュリティおよびインフラセキュリティ庁(CISA)のセキュアバイデザインに準拠したことを明らかにした。

 セキュリティ新機能では、ストレージソフトウェアの「ONTAP 9.15.1」においてランサムウェア攻撃対策の「Autonomous Ransomware Protection/AI」とデータ保護の「Cyber Vault Solution Reference Architecture」を搭載した。

 Autonomous Ransomware Protection/AIでは、独自のAIエンジンにより99%以上のランサムウェア検知精度を実現しているといい、検知後すぐに緊急バックアップを実行する。AIエンジンは常時更新され、最新のランサムウェア攻撃へ迅速に対応可能という。Cyber Vault Solution Reference Architectureは、金融や防衛などの分野で必要な「WORM」技術を利用し、管理者であっても指定日時までバックアップデータの操作ができないものになる。また、バックアップデータの操作において独立した2つの管理者権限(プライマリー/セカンダリー)での相互承認が必要とすることも可能で、ランサムウェアによるバックアップデータの侵害を防ぐ。

 (3)では、特にAI領域で黎明(れいめい)期からパートナーと協働を進めてきたといい、神原氏は開発プロセスの簡素化やリソースの最適化を実現するためのリファレンスアーキテクチャーをNVIDIAやクラウドハイパースケーラーなどと共に開発していると説明した。

 今回は新アーキテクチャーとして、生成AIチャットボット向けの「NetApp GenAI Toolkit for Google Cloud & for Azure」と、生成AIを含む多様なAIワークロード向け「NetApp BlueXP Workload Factory (with Amazon FSx for NetApp ONTAP)」をGitHubで新たに無償公開した。

 NetApp GenAI Toolkit for Google Cloud & for Azureは、Google Couldの「Vertex AI」やMicrosoftの「Azure OpenAI Service」をベースに検索拡張生成(RAG)を組み合わせて企業独自の生成AI利用基盤を構築できるよう支援する。NetApp BlueXP Workload Factory (with Amazon FSx for NetApp ONTAP)は、Amazon Web Services(AWS)環境においてサンプルコードなどのツールもリファレンスアーキテクチャーとなる。

 神原氏は、これらの取り組みを通じて、企業が柔軟に生成AIを活用しながらビジネスの生産性を向上していく世界の実現を目指すなどと述べた。

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