トーバルズ氏が語る「Linux」メンテナーの高齢化と後継者問題–20周年の「RTLinux」にも言及
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ウィーン発–「Linux」の生みの親であるLinus Torvalds氏は、The Linux Foundationの「Open Source Summit Europe」の基調講演で、カーネル開発や「Rust」の統合、オープンソースの未来について、自身の考えを率直に語った。Torvalds氏の友人でVerizonのオープンソースプログラムオフィスの責任者を務めるDirk Hohndel氏が、Linuxエコシステムに関する基調講演の司会を担当した。
Torvalds氏は、先頃公開された「Linux 6.11」カーネルなどのリリースが面白みに欠けるのは意図的だ、と強調した。「約15年間にわたり、非常に規則正しいリリースを行ってきた」と同氏は説明する。この9週間ごとの定期的なリリースの狙いは、派手な新機能を提供することではなく、適時性と信頼性を確保することだ。
変更点の大部分は依然としてドライバーだが、コアカーネルの開発は進化し続けている、とTorvalds氏は指摘した。「非常に中核的な開発を行っていることに今でも驚いている」。同氏はこのように述べ、仮想ファイルシステムとメモリー管理に関する進行中の作業に言及した。
LinuxカーネルへのRustの統合は、物議を醸しているとしても、注目の話題であり続けている。先頃、Microsoftのソフトウェアエンジニアで、「Rust for Linux」のメンテナーの1人でもあるWedson Filho氏が、同プロジェクトを離れる意向を「Linux Kernel Mailing List」(LKML)への投稿で表明した。同氏はその理由について次のように書いている。「以前は、技術に関係ない無意味なことに対応するエネルギーと熱意があったが、約4年が過ぎて、それを失ったことに気づいた。今もそれを持っている人に任せるのが一番だ」
同氏は何を言っているのだろうか。Linuxカーネル界隈には、Rustと一切関わりを持ちたくない開発者やメンテナーもおり、同プログラミング言語はすでに失敗しているとの意見を遠慮なく表明している。
議論をいとわないTorvalds氏でさえ、「中には険悪な議論もある。なぜRustがこれほど論争の的になっているのか、よく分からない。自分が若かった頃を思い出す。『vi』派と『Emacs』派が言い争っていた。どういうわけか、Rust対『C』の論争は、特定の領域において、ほとんど宗教のような意味合いを帯びている」と語った。
しかし、Torvalds氏はRustを見限ったわけではなく、次のように述べている。
議論が巻き起こり、先頃トップメンテナーが去ったにもかかわらず、Torvalds氏はこのように、カーネルにおけるRustの未来について楽観的な見方を崩していない。
Hohndel氏はまた、Torvalds氏に次のように質問した。「2024年に起こった刺激的な出来事の1つは、リアルタイムLinux(『RTLinux』)プロジェクトが20周年を迎えたことだ。約20年という非常に『短い』開発サイクルを経て、ようやくカーネルに完全に統合されるのだろうか」(そう、RTLinuxの開発はそれほど長い間続いてきた)
RTLinuxは悪名高い特殊なケースだが、Torvalds氏は、次期リリースの「Linux 6.12」で統合が実現することを認めた。「最後の部分のプルリクエストはまだ私のメールボックスに届いていないと思うが、今週中に届くことを期待している」
「カーネルの開発のペースは非常に速いと思われている」とTorvalds氏。「約3カ月ごとに1万~1万5000件のコミットがカーネルに追加されるからだ。大量の開発作業が進行中だが、多くのものは開発に数カ月か数年、場合によっては数十年かかっている。したがって、カーネルの開発は非常に活発ではあるが、新しい機能やファイルシステムなどをごく短期間でカーネルに組み込めるとは限らない」