ニュータニックス幹部は「今後のビジネスリスク」について何を語ったか
今回は「ニュータニックス幹部は「今後のビジネスリスク」について何を語ったか」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、Nutanix CROのAndrew Brinded氏と、PwCコンサルティング 執行役員 パートナーの三善心平氏の「明言」を紹介する。
米Nutanixの日本法人ニュータニックス・ジャパンは先頃、年次イベントの開催を機に今後の事業方針について記者説明会を開いた。冒頭の発言は、この機に来日した米国本社 最高収益責任者(CRO)のAndrew Brinded(アンドリュー・ブリンデッド)氏が、今回の会見の質疑応答で、同社の今後のビジネス展開におけるリスクについて聞いた筆者の質問に答えたものである。
2009年創業のNutanixは、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)分野の草分けとしてハードウェアも手掛けてきた経緯があるが、元来ソフトウェアメーカーを指向していた。今ではHCIの管理ソフトウェアを進化させたハイブリッド・マルチクラウド構築・運用プラットフォーム「Nutanix Cloud Platform」を中心にビジネスを展開し、さらにその上でのAI活用にも注力している。
同社が先頃発表した2024年度(2024年7月期)の売上高は21億5000万ドルで、前年度比15%増と伸長した。2025年度(2025年7月期)は24億3500万~24億6500万ドルの見通しだ。同社 最高経営責任者(CEO)のRajiv Ramaswami(ラジブ・ラマスワミ)氏は2024年度の業績について、「堅調に推移した。パートナーとの協業を大幅に増強できたとともに、あらゆる場所でアプリケーションを実行し、データを管理するプラットフォームの実現に向けてイノベーションを継続することができた」とのコメントを寄せた。
今回の会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここではBrinded氏の発言に注目したい。Nutanixの今後の方向性について、同氏は図1を示しながら3つのポイントを挙げて説明した。
左の「インフラをモダナイズし、最新のハイブリッド・マルチクラウドへ」は、先に紹介したNutanix Cloud Platformをさらに普及拡大させていこうというものだ。いわば、Nutanixの基本戦略である。
真ん中の「モダンアプリを構築、あらゆる場所で活用」は、これからモダンなアプリケーションを開発し実行する上ではコンテナが使われるケースが増えるだろうが、一方で仮想マシン(VM)も引き続き使われ、この両技術は長らく併用されていくとし、Nutanixはいずれにも対応していくことを意図したものだ。
右の「エンタープライズ向けAIを実現」は、まさしくNutanix Cloud Platformにおいてエンタープライズ向けAIを実現していこうというものだ。
こうした説明に対し、筆者は会見の質疑応答で「Nutanixの今後のビジネス展開において、市場動向や競合状況を踏まえた上で一番大きなリスクと見ていることは何か」と聞いてみた。すると、Brinded氏は次のように答えた。
「当社はお客さまのどのようなIT利用環境にも貢献できると確信している。アプリケーションの実行環境においてもVMにもコンテナにも対応している。もし、お客さまがパブリッククラウドを利用されるのなら、オンプレミスやエッジとの連携やマルチクラウドの有効活用にも貢献できる。今後もお客さまのさまざまな取り組みを支援していきたい」
つまりは、リスクはないとの返答と受け止めた。ただ、もしパブリッククラウドの利用率がグッと高まれば、ハイブリッドクラウドがベースのNutanixの存在感は相対的に薄れていくだろう。
その意味では、Nutanixの今後の動向は企業におけるIT利用環境の変化を映す鏡ともいえそうだ。