JR東日本、AIカメラで排水ポンプを遠隔監視–原因特定で早期復旧へ
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東日本旅客鉄道(JR東日本)は、JR武蔵野線、新小平駅の排水ポンプ監視盤の遠隔監視システムについて説明会を開催した。パナソニック エレクトリックワークス社のAIカメラやマルチ監視ユニットなどのシステムを導入し、早期復旧や労働力不足の解消に結びつける。
JR東日本とパナソニック エレクトリックワークス社は、上野駅でのデジタルサイネージ付き分電盤のフィールド試験など、2017年から関係を構築。排水ポンプ監視盤の遠隔監視システムは、2021年から検討を重ねていたという。
JR武蔵野線では、線路上や駅構内などの勾配箇所に地下水や湧水がたまることがあり、いくつかの箇所にポンプを設置しているとのこと。過去には、大雨による雨水の流入でポンプを稼働させても排水し切れず、列車の運行に影響が出るケースもあったそうだ。
JR東日本 八王子支社 八王子電力設備技術センターの福原安志氏は「水が流れ込んでくるとポンプが自動で感知し、排水を処理する。ポンプの状態は沿線電話を活用し監視しているが、アラートが出ても満水なのか、ポンプが故障しているのかといった詳細がわからず、現場まで人が出向き確認するしかなかった」と説明する。
新小平駅では、ポンプ室内に水槽監視用と盤面監視用の2台のAIカメラを設置。水槽監視用は排水の量を監視し、盤面監視用は排水ポンプ盤表示ランプを記録する。これにより、アラートが出た原因を遠隔からでも確認できるとのこと。盤面監視用のAIカメラはランプの消灯、点灯の変化を検知し、システムを介して報告のメールも送信する。
「従来は、現場に行くまで原因を特定できなかったが、AIカメラの活用により遠隔から原因が分かるため、排水能力の問題であれば仮設ポンプを用意するなど、現場に行く前に用意ができる。また、故障が起きた際、その後一週間程度は監視する必要があったが、遠隔で監視できるため、人が現地に足を運ばないといけないという課題もクリアできた」(福原氏)とメリットを話す。
AIカメラによる遠隔監視に加え、オンプレミスのサーバーでも監視しているとのこと。管理ソフト「統合管理ソフトα」を使い、データの計測、可視化をすることで、電力量の比較や、正常に稼働しているのかどうかなど、詳細な状況確認が可能になる。
現在は、クラウドサービスを活用した実証実験も実施しており、ポンプの計測データとイベントデータを収集し可視化、集計などにも対応。「クラウドサービスを活用するには、数の制約がどうしても出てきてしまう。今後は拠点数を拡大し、収集データを一元管理することで運用を効率化できると考えている。将来的には予防監視、予防保全につなげていきたい」(パナソニック エレクトリックワークス社 ソリューション事業本部 エンジニアリング推進センターの村田康氏)とした。
パナソニック エレクトリックワークス社では、今回の監視システムをパッケージ化し、AI機能の拡張により検知対象物を拡大していく計画。2026年の事業化を目指す。