2025年のAIインパクトを予測–外資系ITベンダー大手5社の見方から探る

今回は「2025年のAIインパクトを予測–外資系ITベンダー大手5社の見方から探る」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、松岡功の一言もの申す等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 2025年は企業をはじめとしてさまざまなところでAIが本格的に活用される年になるだろう。果たして、どんなことが起こりそうか。そこで新年最初の本連載では、ITベンダー大手各社が発表した2025年のトレンド予測から、AIに関して筆者が注目した外資系5社の見方を取り上げて探ってみたい。

 まずは、Dell Technologiesから。同社でグローバル最高技術責任者(CTO)兼 最高AI責任者(CAIO)を務めるJohn Roese(ジョン・ローズ)氏が、今話題のAIエージェントについて語った予測から抜粋したのが次の見方だ。

 「AIエージェントは2025年のITトレンドを象徴する言葉になる。AIエージェントはAIテクノロジーの決定的な進歩であり、AIアーキテクチャーのアプローチを大きく前進させる」

 「AIエージェントは労働市場に大きな変革をもたらす。AIエージェントが多くのルーチン的なタスクを処理するようになるにつれ、人間が果たす役割は、よりレベルの高い戦略的な思考や創造的な問題解決、複雑な意思決定に注力するようになる」

 「AIは高いレベルの仕事を生み出すだけでなく、インフラへの膨大な投資を後押しする要因にもなっており、インフラでの雇用創出に大きなプラスの効果をもたらす」

 上記のDellの予測で筆者が特に注目したのは、「AIエージェントは労働市場に大きな変革をもたらす」との見方だ。「人間が果たす役割は、よりレベルの高い戦略的な思考や創造的な問題解決、複雑な意思決定に注力するようになる」とのことだが、その役割を果たせる人間と果たせない人間で深刻な「格差」が生まれるのではないかと懸念する。

 次は、Cisco Systemsから。同社でエグゼクティブバイスプレジデント 最高戦略責任者(CSO)兼 アプリケーション担当ゼネラルマネージャーを務めるLiz Centoni(リズ・セントーニ)氏が、Dellと同じくAIエージェントについて語った予測から抜粋したのが次の見方だ。

 「2025年、AIは単なるツールではなく、協力者となる。現在使われているAIツールの多くは静的なルールやデータセットに基づいている。これに対し、AIエージェントはユーザーの入力から継続的に学び、コンテキスト情報(例えば、アカウント履歴、ネットワーク環境、ユーザーの行動パターンや好みなど)を統合し、人間による監視をほとんど、あるいは全く必要とせずに判断を下すことができる。つまり、ユーザーがプロンプトを入力したりルールを事前に定義したりする現在の手法と異なり、AIエージェントは能動的に機能する」

 「問い合わせが行われる前にユーザーのニーズを予測するAIカスタマーサービスや、潜在的な問題を特定し自律的に解決することでサービスの中断を回避するネットワーク管理のAIを想像してみてほしい。これらのAIエージェントは人間やデバイスと直接的にやりとりをするだけでなく、エージェント同士がつながり、発見、学習、協力しながら、複雑なワークフローや一連の業務の流れを形成して高度なビジネス機能さえも自動化できるようになる。例えば、複数のAIエージェントが連携して需要の予測、在庫の最適化、納品の調整、さらにはサプライヤーとの交渉を行うことで、サプライチェーン管理を自動化できる可能性がある。このような変化は企業にとって大幅な効率化と個別化につながる。一方で、ガバナンスやガードレールも重要になるだろう。AIエージェントの普及に伴い、組織は定められた倫理ガイドラインを導入してアルゴリズムによる判断の公平性と透明性を確保し、知的財産を保護するようになる」

 上記のCiscoの予測で筆者が特に注目したのは、「エージェント同士がつながり、(中略)高度なビジネス機能さえも自動化できるようになる」とのところで、「マルチAIエージェント」とも言われて今後最も期待されているAIエージェント活用の進化の姿である。ただ、こうした動きは労働人口減少の対策になる一方、それ以上の余剰人員を発生させる可能性もある。

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