旭化成、機能材料事業のグローバル基幹システムを刷新–ASEAN地域で全面稼働を開始

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 旭化成は、グローバル展開する機能材料事業の基幹システムを「SAP S/4HANA」を中心としたシステム群へ刷新した。プロジェクトを支援したNTTデータが1月17日に発表した。

 同社は、多様な樹脂製品を扱う機能材料事業を世界中で展開しており、各拠点は独自に構築した基幹システムを運用していた。2021年に本格稼働を開始したデジタル経営基盤により、グローバル製品別連結損益の可視化やフォーキャストデータの集約など、グローバルなマネジメント業務は標準化されたが、現場のオペレーションでは各国独自の業務プロセスが残り、業務面やコスト面で非効率な状況が続いていた。2027年に「SAP ERP」のメインストリーム保守終了が迫る中、グローバル業務の標準化と効率化のために基幹システムの刷新が急務となっていた。

 NTTデータは、これらの課題に対処するため、機能材料事業で利用するグローバル基幹システムの刷新を目的に「i3プロジェクト」を立ち上げた。具体的には、NTTデータはグループ会社のクニエと共に、2021年から旭化成の機能材料事業におけるグローバルテンプレートの構築を進めてきた。2024年10月に導入/ハイパーケアサポート期間を終え、2025年1月からシンガポール拠点で本番稼働と保守運用を開始した。2023年10月に稼働を開始したタイ拠点と合わせ、ASEAN地域における機能材料事業の全面稼働となる。

 グローバル基幹システムの刷新に際しては、旭化成は(1)業務/レポーティング/コードの標準化、(2)アドオン開発の削減、(3)計画系業務プロセスとの融合――という3つの方針を掲げた。

 (1)では、各拠点で異なっていた業務プロセスや経営判断の情報を統一するためには、業務そのものだけでなく、業務の進行状況や結果を報告するレポーティング、さらに各国でのデータ分析に向けたコードの標準化が必要だった。

 グローバル基幹システムに対して、業務をシステムに合わせる「Fit to Standard」を基本方針として推進した結果、タイとシンガポールの両拠点における業務の平均90%を標準化した。また、「Excel」を中心とした手作業の多くを、SAP S/4HANAや「SAP BW/4HANA」を利用した業務に切り替えた。

 (2)では、現行の基幹システムは、導入から20年以上経過している拠点もあり、多くのアドオンが残存して業務が複雑化し、ブラックボックス化していた。そのため、プロジェクトでは、各国の法要件や商習慣など業務上必要なもの以外は、極力テンプレートに合わせる方針で進め、アドオンを従来の約半分に削減した。アドオンの削減により、保守性の向上やシステムバージョンアップが容易になり、将来的な維持費用も含めたコスト削減に寄与することが期待される。

 (3)では、同基盤において、既に運用を開始していた経営管理基盤やサプライチェーン管理基盤(いずれも「Anaplan」)、顧客管理基盤(「Salesforce」)と、SAP S/4HANA、SAP BW/4HANAを連携させることで、実行系と計画系業務プロセスを融合したシームレスな運用を目指した。

 具体的には、Anaplanで管理するセールスフォーキャストデータをSAP S/4HANAに取り込むことで、シームレスな資材所要量計画(MRP)の実行を可能にし、製販一体となった生産計画の立案を実現した。さらに、Salesforceで管理する顧客・用途別の契約情報をSAPに取り込むことで、価格マスターの更新の自動化と受注計上プロセスの効率化を図った。

 また、在庫情報や販売実績情報などの実績データをSAP S/4HANAからAnaplanへ連携することで、計画系と実行系プロセスの融合を進め、同基盤を用いることで機能材料事業全体のデータドリブン経営の高度化に寄与するとしている。

 現在、プロジェクトと並行して進めているサプライチェーン改革プロジェクトでは、Anaplanを活用して需要の変動を捉えた迅速かつ精度の高い所要量計算と、生産業務へのシームレスなフィードバックを目指している。全拠点のPSI(生産、販売、在庫)情報の連動やサプライチェーン全体の在庫の可視化、理論安全在庫の適用による在庫最適化を進めており、既に一部の事業ではPSI情報が一元的に可視化されている。

 将来的には、このテンプレートを拡張し、SAP S/4HANAやSAP BW/4HANAと連動させることで、サプライチェーン領域における業務の高度化を実現していく予定だ。

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