EC事業の鍵となるライブコマース、成功のコツは?–AI時代に求められる消費者との交流

今回は「EC事業の鍵となるライブコマース、成功のコツは?–AI時代に求められる消費者との交流」についてご紹介します。

関連ワード (マーケティング、流通テック最前線等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 オンラインビジネスへの進出を考えたことがある、あるいは既にオンラインで商品を販売しており、さらなる飛躍を目指している方には、本記事をぜひ読んでもらいたい。本記事では、以下の点について探求する。

 筆者は事業を創業後、売却に成功し、現在はECブランドグループの会長を務めている。受賞歴のあるパフォーマンスマーケターであり、トレンドを見極めるのが得意だ。何より、10年以上もの間EC業界に携わっており、大きな成功もあれば、より印象深い失敗も経験している。

 筆者は業界の動向や効果的な手法を常に把握しながら、多くのトレンドの浮き沈みを目の当たりにしてきた。しかし、このトレンドはほかのものとは異なると、ほぼ確信を持って言える。

 このチャンスとは、ライブ配信とECを組み合わせたライブコマースだ。クリエーターはライブ配信で商品を紹介し、視聴者にその特徴や利点を説明する。視聴者は商品を気に入ったら、カートに追加して購入できる。

 驚くべきことに、ライブコマースは2022年に200億ドルの売り上げを達成し、2026年には550億ドルに達すると予想されている。

 最近の調査によると、ライブコマースは消費者のオンラインショッピング体験を最大60%向上させるという。さらに印象的なのは、米国の消費者の約46%がライブショッピングイベントを通して商品を購入していることだ。

 筆者は、担当編集者のAlyson Windsor氏にライブコマースについて説明したところ、彼女は筆者を見て「つまり、QVC(テレビショッピングの専門チャンネル)のようなものですか?」と言った。筆者は笑いながら「ええ、基本的にはそうですが、オンラインです」と答えた。

 その時、2つのことが頭に浮かんだ。1つは、(昔から知っているQVCが今でも比較対象として使われていることから)やれやれ、筆者も年を取ったものだということ。もう1つは、自動運転車やAIなどの技術的進歩があっても、人間の本質的な部分では、何かにつながっている感覚を持っていたいということだ。それはAIが模倣することはできても、完全に取って代わることはできないものである。

 未来では、消費者と有意義なつながりを生み出す創業者や起業家こそが成功する。AIアバターが失敗するという意味ではなく、あえて自分自身をさらけ出す創業者や起業家の方が成功しやすいということだ。皮肉なことに、AIが増えるほど、人々は有意義な人間関係を求めるようになるだろう。

 ライブコマースがなぜ機能するのかを理解することは、ビジネスを存続させる上で不可欠である。ライブコマースは、私たち人間の本質に根ざしている。

 まずは、魅力的なマーケティング戦術である「取り残されることへの不安」について考えてみよう。ほかの視聴者が興奮して購入しているのを見ると、「自分も欲しい」と思わずにはいられない。「TikTok」のチャレンジ動画を見て、「自分もやってみたい」と思うのと似ている。

 プロモーションがリアルタイムに行われる場合、その感覚はさらに強くなる。ライブ配信が終了すると、プロモーションも終わってしまうからだ。視聴者はその瞬間、何らかの方法で購入を迫られることになる。

 ご想像の通り、ライブコマースに関してはTikTokが先頭に立っている。プライバシーに関する懸念はさておき、TikTokはユーザーの心理を深く理解している。クリエーターはこのフォーマットで多くの成功を収め、数百万ドルを稼いでいる。

 収入源は、商品の販売だけではない。TikTokの投げ銭機能では、視聴者はクリエーターに感謝の気持ちを込めて仮想アイテムを贈ることができ、商品購買以上の深いエンゲージメントが醸成される。

 筆者が注目している(そして完全にほれ込んでいる)プラットフォームは「Whatnot」だ。

 この記事を書いている時点で、Whatnotはライブコマースのプラットフォームとして最も急成長しているといえる。同プラットフォームは、コレクターが求めるアイテムやファッション、その他ニッチな商品に特化している。

 筆者がこのプラットフォームを気に入っている点は、情熱的なコレクターと彼らが偏愛する商品とを結びつける仕組みだ。同プラットフォームは最近登場したが、既に成功を収めているクリエーターもいる。

 例えば、クリエーターのCaitieco氏は最近、Whatnotで毎月17万ドル以上を売り上げていると発表した。このことから、熱心な販売業者は同プラットフォームを通して大きな経済的成功を収められるといえる。

 Whatnotの素晴らしい点は、この商取引のスタイルが定着しており、TikTok固有のものではないということだ。とはいえ、新しいプラットフォームが次々と登場しており、既存のプラットフォームもこうした商取引のスタイルを採用しているが、成功の度合いはさまざまである。

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