弥生の新社長が語る「中小企業を元気にする戦略」とは
今回は「弥生の新社長が語る「中小企業を元気にする戦略」とは」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、弥生 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの武藤健一郎氏と、IIJ 取締役 専務執行役員 ビジネスユニット長の北村公一氏の「明言」を紹介する。
弥生の社長に2024年10月2日付で就任した武藤氏は、同社が先頃開いた記者会見に初めて臨み、上記のように述べた。会計処理をはじめとする同社のバックオフィス業務向けソフトウェアは、特に中小企業の多くで使われていることもあり、AIを適用すれば大きな効果があるのではないかと考え、明言として取り上げた。
武藤氏のプロフィールは表1の通りだ。
コンサルティング会社を経て、Google日本法人の中堅・中小企業を中心とした広告事業の責任者を10年間務めてきたとのことで、AIとの出会いはその頃だという。それが、弥生への転身につながっていったようだ。
「Googleで中堅・中小企業を10年間見てきて、この分野でもっとAIを活用してお役に立てるような仕事がしたいと考え、特に多くの中小企業をお客さまとしている弥生に着目した。AIはIT分野だけの話にとどまらず、ビジネス、さらには社会に大きなインパクトをもたらすテクノロジーだ。弥生にとってもお客さまにさらなる価値を提供できるようになる大きなチャンスとなる」
この発言が、武藤氏の話で筆者が最も印象深く感じたところだ。冒頭に挙げた発言もこの中から抜粋したものである。一方で、武藤氏は次のようにも話した。
「ただ、私は会計処理をはじめとしたバックオフィス業務の専門家ではないので、そうした業務の内容を熟知する前山副社長と共に、弥生をさらに成長させていきたい」
代表取締役 副社長執行役員で税理士・公認会計士資格を持つ前山貴弘氏は、実は前社長だが、「弥生をもっとお客さまに頼っていただける会社にしたい。そのために経営体制を強化した」として、武藤氏を社長に迎え入れた格好だ。今回の会見でも武藤氏と共に前山氏も登壇し、これからの二人三脚ぶりを印象付けた。
弥生は経営体制を強化したのを機に、新たなミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVV)を策定して発表した。ミッションに「中小企業を元気にすることで、日本の好循環をつくる。」と掲げ、新たなMVVの思いとして「今後は、これまで蓄積したさまざまなデータを活用し、AIをはじめとしたテクノロジーと掛け合わせることで、半歩先を見据えた価値提供で、中小企業の道筋を照らす存在を目指します。日本の中小企業を支え続け、日本の経済全体の活力向上に貢献していきます。」と明記している。
弥生のミッションは「中小企業を元気に」がふさわしい。以前にも同社に関する記事で触れたが、筆者は2003年から2009年までの6年間、弥生のユーザー向け情報誌(年4回発行)で「元気な中小企業」の事例記事の取材・執筆を早稲田大学IT戦略研究所 監修のもとで担い、全国を駆け回ってきた。その経験から、弥生の会計ソフトがいかに浸透しているか、身をもって知っているつもりだ。弥生には、中小企業を元気にする使命があるとも思っている。
そこで、一つ注文をつけたい。中小企業の現状や今後の期待をもっとメディアに発信してはどうか。自らの製品・サービスをアピールするだけでなく、例えば「中小企業に見る日本の景気予測」といった内容をビジネス系メディアに発信していってもらいたい。それも弥生の重要な役割だと、筆者は考える。武藤氏の発信力に期待したい。