中国人が春節にAIビジネスで収益を上げた方法
今回は「中国人が春節にAIビジネスで収益を上げた方法」についてご紹介します。
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中国人のビジネスや収益化への情熱には驚かされることが多い。2025年の春節(旧正月、1月29日)が始まる前に、AIを活用してコンテンツを作成し、ひともうけした人々がいる。彼らがどのようにAIを使って稼いだのかを紹介する。
まず紹介するのはとある大学生だ。彼は字節跳動(バイトダンス)の「豆包」(ドウバオ)や百度(バイドゥ)の「文心一言」(アーニーボット)といった中国発の生成AIツールに関心を持ち使っていた。これらのツールは画像や映像を生成できることから、ドウバオではめでたい画像を、アーニーボットではめでたい文言を生成し、それを組み合わせて動画に仕立てた。
完成した動画を「抖音」(ドウイン、中国版「TikTok」)に投稿するとフォロワーが急増した。そこでドウインのビュー数に応じて報酬がもらえるプログラムに加入し、さらに春節に合わせた紅包(ご祝儀袋)や出入口の左右に貼る縁起の良い文言をあしらった対聯(ついれん)などのグッズを販売することにして、こちらもよく売れた。
ドウインでのコンテンツ投稿で小銭稼ぎに成功した大学生は、続いて財神(商売繫盛や金運をもたらす神様として中国で信仰されている)などの神様をテーマにした動画や、さまざまな神様をそろえためでたい動画を作成。こちらも多数のビューを集めたという。
AIビジネスに携わる王氏は、「Midjourney」と「Stable Diffusion」を使い、福の字や爆竹、ちょうちんをちりばめた巳年がテーマのイラストを生成した。これをSNSにアップすると、やはり時事ネタは注目が集まるもので、多くのビューを稼ぎ、また若い女性からカスタムオーダーの画像生成の依頼もやってきた。依頼というのは家族の集合写真をベースとした、春節らしい壁紙の作成だった。Stable Diffusionの「ControlNet」機能を使用し、写真と春節を組み合わせたデザインを幾つか生成した。その後、何度か調整を繰り返し、最終的に依頼主はとても満足したようだ。
春節が近づくにつれて注文が増え、依頼を受けるたびにプロセスが洗練されていく。そこで確立した方法は、まず依頼主としっかりコミュニケーションを取り、彼らのニーズと好みを理解すること。次に、要件に基づいて適切なAIツールを選び、パラメーターを入力してサンプルを生成する。そして、依頼主が満足するまでフィードバックに基づいて微調整を行うというものだ。さらに効率を上げるために、春節の要素を組み合わせたテンプレートも用意し、短時間で画像を生成できるようにした。その枠に当てはまらない顧客もいるが、当初の方針通り、あらゆるニーズに応えるために依頼を受け入れている。
多くの依頼をこなした結果、2024年末から2月初めまでに10万元(約215万円)以上の収益を上げることができ、さらに法人顧客ともつながることができた。
スーパーマーケットの販売員である李氏は、「ChatGPT」などのAIサービスを質問への回答だけでなく、データ分析やキャッチコピーの作成にも活用している。同氏はAIが選んだ人気商品を販売して収益を上げられないかと模索していた。しかし、既にECサイトではAIショッピングガイドが導入されているため、より正確にユーザーに商品を推奨することを目指した。
ChatGPTなどで春節土産のトレンドを調べると、お菓子の詰め合わせや春節をテーマにした商品、健康系のグッズが人気だと分かる。そこで、ECサービスの販売データとユーザーレビューを分析し、潜在的な製品を絞り込む。その後、SNSやコミュニティー内でフィードバック調査を行い、本当に人気があるかを確認する。対象の商品が決まったら、「DeepSeek」に「トレンドのお菓子ギフト、春節の贈り物に最適、美しい包装、ネットで話題のお菓子が入っている」といった情報を伝え、中国人に響く売り文句を生成してもらう。
生成された文言をSNSアプリ「小紅書」(シャオホンシュ、RED)などに販売情報とレビューとともに投稿すると、トレンドに敏感なユーザーに大きな反響を呼び、多くの「いいね」と商品の購入があった。「高齢者にも向いているか?」などの質問にも丁寧に回答した結果、購入者のレビューも好評となり、春節の4日間で日本円で100万円(5万元)を超える売り上げを記録した。この一連のプロセスを経て、李氏は生成AIが労力を削減するだけでなく、消費者の満足度を高めることができると信頼を高めた。
いずれも日本で実践できそうなビジネスアイデアだ。まずは試してみることで、注目を集めてちょっとした収益を得られるかもしれない。