「Linux」開発者がユーザー獲得のためにできる最も簡単なこと
今回は「「Linux」開発者がユーザー獲得のためにできる最も簡単なこと」についてご紹介します。
関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
「『Linux』は新しいユーザーを獲得するために何ができるのか」ということを筆者はよく考える。かなり明白なアイデアが思い浮かぶこともあれば(チームが自分たち自身や製品をより効果的に宣伝する方法についてのアイデアであることが多い)、少しとっぴなアイデアを思いつくこともある。さらに、頭がさえているときは、何らかの根本的な変更によってユーザーベースを拡大する方法がひらめくこともある。
先日も、そのようなアイデアがひらめいた。きっかけとなったのは、筆者が「YouTube」に投稿した動画「Linux 101」の1つに寄せられたコメントだった。その動画では、「Arch Linux」とそのスローガンである「Keep it simple」(シンプルさを維持せよ)について解説した。
筆者は、そこに食い違いがあることに気づいた。詳しく説明しよう。
筆者はArch Linuxのスローガンが好きだ。問題は、スローガンの対象を間違っているように思えることだ。詳しく説明しよう。古い方法でArch Linuxをインストールしたことがある人なら、それが大変な作業であることをご存じのはずだ。ポイント&クリックで操作できるGUIはなく、全てを手動で実行する必要があった。最終的に、誰かが面倒な作業の一部を処理するスクリプトを作成し、インストールプロセスを簡素化した。Arch Linuxの開発者たちはスローガンを守り、シンプルさを維持した。
問題は、誰にとってシンプルなのかということだ。Linuxの初心者(または経験の浅い人)は、Arch LinuxをISOファイルから起動して、ターミナルプロンプトが表示されたら、なぜデスクトップがないのか疑問に思うはずだ。確かに、これはシンプルではある。複雑なことはあまりない。「Keep it simple」というスローガンの対象はユーザーではなく開発チームなのではないか、と筆者は考えざるを得ない。
シンプルにするのではなく、簡単にする必要がある。シンプルであることと簡単であることは違う。
Arch Linuxのテキストベースのインストーラーはシンプルだ。多くの要素が含まれているわけではないので複雑でもない。簡素でメンテナンスも容易だ。インストールもすぐに完了する。
しかし、簡単ではない。少なくともArch Linuxを初めて試す人にとっては困難である。
筆者にとって、シンプルであることは、単純なアプローチと同義である。一方、簡単であることは、ユーザーを困惑させないことを意味する。Linuxには、シンプルなものがたくさんある。簡単であることの方がもっと重要だとようやく気づいたアプリケーション開発者もいる。全てのLinuxディストリビューションが同じ道をたどったわけではない。幾つかのディストリビューションがこの問題に取り組み、幾つかは成功を収めている(「Linux Mint」や「Ubuntu」など)。
少しだけArch Linuxに話を戻そう。必要な知識を持っている人ならインストールプロセスはかなり簡単だ。新しいユーザーにとってはそれほど簡単ではない。たとえ新しいユーザーがArch Linuxをインストールできたとしても、その次の展開はあるのだろうか。開発者たちはデスクトップ環境でも同じスローガンを唱え続け、アプリケーションのインストール用の使いやすいGUIが存在しないほどのシンプルさを維持している。
ユーザーにコマンドラインの使用を強制すると、開発者たちにとってシンプルなアプローチになるかもしれないが、ユーザーにとっての難易度は高くなる。