SAPジャパン、2025年のビジネス戦略を発表–「AIファースト、スイートファースト」を推進
今回は「SAPジャパン、2025年のビジネス戦略を発表–「AIファースト、スイートファースト」を推進」についてご紹介します。
関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
SAPジャパンは2月19日、報道機関向けに記者会見を開催した。代表取締役社長の鈴木洋史氏が2025年のビジネス戦略として「AIファースト、スイートファースト」を掲げた。
鈴木氏はまず、SAPのグローバル業績について振り返った。2024年はクラウド事業の勢いが持続し好調だった。総売上高は前年比10%増の341億7600万ユーロ、純利益は同11%増の249万3200万ユーロ(IFRSベース)だった。
内訳は、クラウドおよびソフトウェア売上高が同11%増の298億3000万ユーロ、クラウド売上高が同26%増の171億4100万ユーロ、クラウドERP Suite売上高が同34%増の141億6600万ユーロだった。カレント・クラウド・バックログ(特定の基準日時点から12カ月間で見込まれる、契約で約束されたクラウド売上高)は29%増の180億7800万ユーロだった。
国内ビジネスは通年で前年比20%増だったといい、「全ての重要指標でグローバルの成長を大きく上回っている」と強調した。「クラウドの利用がERPの分野でも当たり前の選択肢になってきた」ことも成長の後押しになったという。
2025年度はビジネス戦略として「AIファースト、スイートファースト」を掲げる。生成AIアシスタント「Joule(ジュール)」をエンドツーエンドで業務を指揮するエキスパートに位置付ける。例えば、Jouleが販売、サプライチェーン、調達、人事、経費、財務、分析などの各部門のAIエージェントを調整し、エンドツーエンドでプロセスを連携させることで、全体的な効率を向上させるという。
「SAPの製品には、130以上の生成AIユースケースが既に組み込まれており、クラウド製品のユーザーは自然にAI活用を促進できる環境にある。これにより、システム構築や移行にかかる時間を大幅に短縮できる。ビジネスAIは、日常業務やソフトウェア領域に革命をもたらし、複数のAIエージェントが連携することで、SAPアプリの業務プロセス全体をサポートする」(鈴木氏)
鈴木氏は、同社のAIの強みを「特定の業務分野に限定されないこと」だと説明する。その中核となるのが「AI」と「データ」と「アプリ」であり、SAPではそれらの要素を統合した基盤として「SAP Business Suite」を提供していく。
「SAP Business Data Cloud」は、SAP/非SAPのデータを一元管理し、AIが活用しやすい形でデータを統合・整理する新しいソリューションになる。SAPデータに加えて、非SAPデータもシステム間で関連付け、横断的に連携・可視化することで、AIがより活躍できる環境を迅速に構築できるという。
また、SAPはクラウド導入を促進するため、既存顧客向けに「RISE With SAP」を、新規顧客向けに「GROW with SAP」というパッケージ製品を提供している。これらのパッケージ製品は、同社クラウドERPの導入を容易にするために設計されており、2025年にはさらに強化していくとしている。
さらに、企業のDXを総合的に支援するためのツール群として、エンタープライズアーキテクト管理(EAM)「SAP LeanIX」、ビジネスプロセス管理(BPM)「SAP Signavio」、アプリケーションライフサイクル管理(ALM)「SAP Cloud ALM」、データ分析「Syniti」、テスト自動化「Tricentis」、デジタル定着化「WalkMe」などを提供。これにより、プロセス全体の可視化、手作業の削減、品質向上、データに基づいたギャップの解決、テンプレート適合の迅速化、反復的でスケーラブルなタスクの実行、事業継続性の確保などを支援する。
鈴木氏は、パートナーエコシステムの拡大についても言及した。具体的には、2024年はパートナー再販クラウドビジネスが44%増、新規パートナー数が41社増、SAP認定コンサルタントが30%増となった。「特にパブリッククラウド版『SAP S/HANA Cloud』のコンサルタント数は5倍になった」(同氏)
2025年の戦略としては、「パートナー自走モデルのための仕組み」「パートナー自走のための教育支援」「導入成功への支援と伴走型協業」を挙げる。中堅市場や地方でのパートナー主導のビジネスを展開し、Territory Ecosystem Managerの配置や専用の市場開発向けファンドの提供などを進める。また、「AIファースト、スイートファースト」に基づいた最新ソリューションの教育やアセットづくり、新規パートナーの立ち上げ支援なども行っていく。パートナーのプロジェクト品質向上やポストセールス活動の支援などにも力を入れる。
最後に、社会課題の解決とサステナビリティーの取り組みも紹介された。同社は「減災・防災」「デジタル人材」「脱炭素」の領域で活動している。
例えば、減災・防災では、「EDiSON」というSAPソリューションを活用した災害対策の高度化にも取り組んでいる。行政を超えた広域災害への対応や、AIを活用した防災業務のスマート化なども進めている。
デジタル人材では、女性のリスキリング支援や地域企業のDX支援、未来を担うデジタル人材の育成、パートナー企業との人材採用と育成など。脱炭素では、企業の脱炭素化を支援する「グリーン元帳」の提供などさまざまな活動を行っている。