AIをビジネス価値に転換する年に–日本IBM、3つのAI戦略
今回は「AIをビジネス価値に転換する年に–日本IBM、3つのAI戦略」についてご紹介します。
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日本IBMはAI戦略に関する説明会を開き、「AIのサービスをインテグレートして、ビジネス価値に変えていく」と2025年のAI戦略を明かした。説明会に登壇した、取締役常務執行役員 テクノロジー事業本部長 兼 Chief AI Officer(CAIO)の村田将輝氏とIBMフェロー 執行役員 コンサルティング事業本部 最高技術責任者(CTO)の二上哲也氏が、大きく3つに分けて戦略について詳細を説明した。
冒頭で村田氏は、2024年に組織・人の強化学習が実現できたとし、3つの事例を挙げた。まず、ビジネス変革とIT変革の両面で、全社的なデジタル変革(DX)におけるAIの実用化を加速したという。
2つ目に、同社は、顧客とパートナーと共に1年間で400件以上のパイロットプロジェクトを実施した。プロジェクトでは、プロンプトエンジニアリングとユーザーインターフェース/ユーザー体験(UI/UX)に関するスキルとアセットを開発し、品質と生産性の改善を推進したという。この取り組みで培ったAIスキルを実用化に向けて進めていけるとしている。
3つ目は、IBMの社内業務やIBM製品にAIを組み込むことを推進してきた。日本IBMには1万人以上の生成AIスキルの認定コンサルタントが在籍しているほか、IBM製品には基盤モデル「Granite」を組み込んでいる。2024年に発表した「Granite 3」は、オープンで小規模な基盤モデルで、コード生成支援「watson Code Assistant」やAIエージェント「watsonx Assistant」などのIBMのソフトウェアやパートナー製品への組み込みを進めた。
村田氏はこれらを踏まえ、「当社はテクノロジー企業であり、コンサルティングの分野での専門性も持っている。また、SAPやSalesforceなどの戦略パートナーと共にエコシステムを広げて、AIを安全に使っていただけるような活動をしていきたい」と説明する。
日本IBMは2025年を「AIをビジネス価値に転換する年」に据え、「AIサービスインテグレーター」として、顧客がAIの能力を迅速に、生産的に、そして安全にビジネス価値に転換する架け橋になるという。そのために、「オープンな『AIプラットフォームサービス』の提供」「『IT変革のためのAI』ソリューションを本番環境に適用・拡大」「AIパートナーシップで、AI+への変革をお客さまと共に加速」――の3つに優先的に取り組む。
AIの実用化に向けてパイロットプロジェクトを実施している企業では、AIをビジネスニーズに合わせて展開していることで、ネットワークの接続方法やブラウザー、大規模言語モデル(LLM)、データとの位置関係などがプロジェクトごとに散らばっている状態ある。日本IBMでは「AI by Design」を据え、AIアプリケーション基盤、AIゲートウェイ、AIデータ管理を整理して顧客がAIを活用する際に安全につなぐことができるようにしたいという。
そのために、「デジタルサービス・プラットフォーム」(DSP)を拡張し、AIに発展させる。DSPは、「IBM Cloud」「IBM Fusion」「Amazon Web Services」(AWS)などのオープンなハイブリッドクラウド基盤の上に、コンテナー基盤「Red Hat OpenShift」や「HashiCorp Terraform」を配置している。ここに開発・検証済みの「AIプラットフォーム・サービス」を設置することで、AIアプリケーションをいつでもつなげることができ、安心してシステム全体を動かすことができる。
AIプラットフォーム・サービスは、「AIアプリケーション基盤」「AIエージェント共通基盤」「AIゲートウェイ」「AIモデル管理(LLM)基盤」「AIデータ管理」「AIセキュリティ/AIガバナンス基盤」で構成される。同サービスは、プラグインのアーキテクチャーで「つなげば動く。安全に。」がコンセプトだという。
同サービスに新規AI機能を追加すると、既存システムのインテグレーションや外部のLLM、データサービスをつなぐことができ、用途に応じて複数のAIモデルの切り替えやAIがポリシー通りに動いているかを管理できる。村田氏は「今後AIエージェントやAIアシスタントが多く登場する中、複数のAIの能力を安全に統一された形で動かしていくことは非常に重要になってくる。ここに注力していきたい」と説明した。