「Android」責任者が語るグーグルのAI戦略、「Gemini」の新機能、ウェアラブルの未来
今回は「「Android」責任者が語るグーグルのAI戦略、「Gemini」の新機能、ウェアラブルの未来」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
3月上旬に開催された「Mobile World Congress」(MWC)の会場内には、仮設ながらも驚くほど洗練された会議スペースがあり、Googleの「Android」エコシステムが一体どこまで進化したのかと考えずにはいられなかった。わずか5年前のAndroidのミッションは、パーソナライズされたプライバシーコントロールとスマートホームの統合が中心だった。
現在では、巨大なAndroid像、「Gemini」の風船、本棚から下りてくるミニチュアフィギュアに囲まれて、Androidの物語は決定的な転換点を迎え、AIを活用した体験をモバイル体験のほぼ全ての側面に統合する方向へと進んでいる。
この進化の中心にいるのは、GoogleのAndroid責任者であるSameer Samat氏だ。MWCで多忙を極める中、快く時間を割いてくれたSamat氏は、「Gemini Live」の新しいリアルタイム動画機能と画面共有機能(DeepMindの「Project Astra」によって実現した機能)、それらの機能から見えてくるAndroidのAI主導の未来について語った。
Gemini Liveの新機能に対するSamat氏の熱意は、今回のアップデートに関する話を始めた瞬間から感じ取れた。もっとも、同氏がまず賛辞を贈ったのは、自身のチームが2024年に進めた「かこって検索」の慎重なマーケティングだ。「AIという言葉は一度も使わなかった」とSamat氏は説明する。「この機能でこんなことができる、こういう風に役に立つ、という感じだった」。Samat氏は今後も、AIがAndroidの新機能の大部分を実現しているという単純な事実ではなく、新機能のメリットを伝えていくつもりだ。
Gemini Liveには、スマートフォンのカメラをあらゆるものに向けて、それについてすぐに会話できる機能が追加された。筆者がMWC開催期間中に案内された「Android Avenue」の特別室には、テーブルの上に陶器の花瓶が置かれ、その横に釉薬(ゆうやく)の色見本がいくつか並んでいた。空の花瓶に最もよく合う色はどれかを、Gemini Liveと会話しながら、音声クエリーと「Pixel 9 Pro XL」のカメラからのライブ動画を使って決めることができた。
Gemini Liveは、画面で共有された内容を認識し、表示されているものについて文脈を理解しながら会話することができる。Samat氏の構想では、オンラインで新車の価格を調べている人が、Gemini Liveに「今見た自動車の平均価格はいくらか」と聞くと、Gemini Liveはそのセッション中に閲覧した全ての自動車の平均価格を算出できるという。
重要なのは、これらの機能がDeepMindのProject Astraから生まれたことだ。この研究プロジェクトでは、音声、映像、環境のコンテキストを同時に処理する「ユニバーサルAIアシスタント」を開発している。Project Astraを2024年12月にGoogleキャンパスで直接体験した筆者は、今回の新機能を見て、そのときのデモで目にした強力な機能と可能性をすぐに思い出した。
スマートフォンに搭載されるこれらの機能は確かに刺激的だが、可能性のほんの一部に過ぎないということをSamat氏は認めている。「Astraの機能が統合されたGeminiは、現在はスマートフォンで提供されているが、スマートグラスで何が可能になるかを実際に予感させるものだ」
エンジニアリングの教科書をめくりながら、ページに載っている図を覚えておくようにGeminiに頼むところを想像してみてほしい、とSamat氏は説明する。後で問題を解決するときが来たら、Geminiに前に見た図の知識を参照してもらう。「これは問題解決への取りかかりに役立つ。とても素晴らしいことだ」
この知識のコンテキストウィンドウが、Gemini Liveの新しいマルチモーダル機能の力と可能性の鍵となる要素だ。ただし、このテクノロジーを事前に使うことを覚えておき、Geminiがそうした周辺情報を記憶できるようにしておく必要がある。
Samat氏も、このシームレス性こそが、現時点におけるGeminiの可能性の大きな課題だと考えている。「最も魔法のように感じられるものは、最もシームレスなものだ」と同氏は続ける。「われわれは皆、それを目指して懸命に努力している」