「ジョブ型」で社長は育つか–NECの人事責任者に聞いてみた
今回は「「ジョブ型」で社長は育つか–NECの人事責任者に聞いてみた」についてご紹介します。
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グローバルでの競争力強化に向けて、人事施策として「ジョブ型人材マネジメント」に取り組む企業が増えている。ただ、ジョブ型で個別業務の専門家ばかりが増えてしまうと、果たして「社長は育つのか」というのが、筆者の率直な疑問だ。NECの人事責任者にズバリ聞いてみた。
NECの人事責任者である執行役 Corporate EVP 兼 CHRO(Chief Human Resource Officer)の堀川大介氏は、同社が先頃開いた人的資本経営についての機関投資家およびメディア向けの会見で、ジョブ型人材マネジメントの取り組みについて説明した。
同社はジョブ型人材マネジメントについて、「パフォーマンスを最大化できる組織の形をデザインし、それに必要なジョブをセット、ジョブに適した人材を社内外からアサインする」ことに注力している。
堀川氏によると、「当社では2018年度よりジョブ型の基盤を段階的かつ計画的に整えてきた。2022年度にはこれまでの事業部制を廃止して組織階層を削減し、新たに部門単位の体制へと移行し、2024年度からは全社員に対してジョブ型を導入した。今後は部門ごとの事業戦略に対してジョブ型を徹底的に活用し、事業と人事の戦略を連動させる実践のフェーズへと移っていく。また、2025年度からはグループ各社へのジョブ型の展開を開始し、国内で4万8000人規模のリソース流動化の共通プラットフォームへと進化させる。これにより、グループとしてのリソースの最適配置を柔軟に行えるようにしていく」とのことだ。
ジョブ型人材マネジメントの目的については、「変化にスピーディーに対応し、事業および収益の成長とともに、グローバルで勝ち続けるNECになることだ」と力説。会社と従業員の関係については、「選び、選ばれる対等な関係のもと、双方が共に成長する循環を作っている」と説明した。
堀川氏はさらに、「ジョブ型への移行によって、年齢や社歴、性別、国籍などの属性にかかわらず、公正な評価のもとで能力と意欲のある人材が持てる力をフルに発揮できるポジションにどんどん登用していく」とも述べた。
会見では、投資家が対象だったこともあって、ジョブ型人材マネジメントにおける戦略および文化面にわたって進捗(しんちょく)の詳細な説明が行われた。その内容は他稿に委ねるとして、筆者はこの機会にぜひ堀川氏に聞きたいことがあった。端的に言えば、「この取り組みで社長が育つのか」だ。これは、筆者が取材を重ねてきた中で抱き続けてきた疑問だ。
そこで会見の質疑応答で、「ジョブ型人材マネジメントを進めていくと専門人材ばかりになり、大きな組織を運営していけるバランスのとれたマネージャー、ひいては経営トップである社長を育てることができるのか」と聞いてみた。すると、同氏は次のように答えた。