デジタル時代の災害復旧計画、持続性を高める3つのポイント
今回は「デジタル時代の災害復旧計画、持続性を高める3つのポイント」についてご紹介します。
関連ワード (ITインフラ、マルチクラウド時代のデジタル衛生管理術等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
今日のデジタル経済において事業継続は、テクノロジーとは切っても切れない関係にあります。小売、旅行から金融、公共事業に至るまで、サービスがオンライン化され、従業員がテレワークをするようになったことで、企業のデジタルインフラストラクチャーへの依存度はかつてないほどに高まっています。前回に続き、米Veeam Softwareで戦略担当を担うシニアディレクターのRick Vanoverの視座を借りながら、今日のデジタル時代において、企業の持続性を高めるポイントについて紹介していきたいと思います。
企業は、ユーザーエラー、システム障害、サイバー攻撃などによるインシデントからデジタルサービスを保護するために対策を講じています。しかし、企業の手に負えない災害も存在します。中でも異常気象や自然災害、局所的な停電などはダウンタイムの発生やサービス提供を停止させることにつながります。
このようなインシデントが発生した場合、サービスと従業員を迅速にオンラインに戻すことが最も重要です。そのためには、所有者、役割と責任、緊急連絡先、優先的にとるべき行動などを明文化した、検証済みの計画を策定する必要があります。また計画だけでなく、事故発生前の状態に復旧させるための技術的能力も必要になります。すなわち、収益への影響を最小限に抑えるために、規定した時間枠内でデータ、アプリケーション、サービスを元通りに復旧する能力が求められます。これら全ては、災害発生時に事業継続性と技術的な復旧の両面で準備を万全にするために取るべき強固なプロセスになります。
チーム体制を整える
Vanoverは、明暗を分けるのは、先を予測して行動する能力だといいます。予測できない技術面での災害からビジネスを復旧させる準備に関しては、迫りくる危機がどのようなものかを正確に予測し、その時点で次に取るべきステップを判断する能力が不可欠です。
IT部門のリーダーは、災害発生から対処方法を見つけるのではなく、前もって災害状況の中に身を置いた状況を想定し、どのように対応すべきかを理解することが大切です。現実が想定と全く異なる動きを見せることは珍しくありません。想像し得る全ての災害時のシミュレーションを行うことが重要です。
最終的に、企業がミッションクリティカルなアプリケーションを適切な時間内に完全に復旧させることができるかどうかは、そのデータシステムとインフラストラクチャーに依存しています。しかし、復旧段階に至る前に、復旧を開始するための重要なアクションを取るチームを社内に配置することもまた大切です。これは、企業のニーズに応じて段階的に分けることができます。
一般的には、まず企業全体に導入されているアプリケーションとサービスに対して、完全かつ最新のインベントリーを確認します。これらを全て把握したら、企業の最も重要な機能に合わせて優先順位を付けることを検討します。ここでは、どのアプリケーションを最初にオンラインに戻していくべきかを考えます。例えば、オンラインの小売業者は、自社の電子商取引(EC)プラットフォームをオンラインに戻す前に、在庫とサプライチェーン機能の復旧を優先するかもしれません。一方で、弁護士事務所やマーケティング会社などのサービス業では、全社のコミュニケーションを復旧させるために、メールやコラボレーションアプリケーションを優先するかもしれません。
どのアプリケーションを最初にオンラインに戻すべきかを把握したら、次に行動計画の作成に移ります。行動計画は文書化して一元的に保管し、オフサイトとオフラインの少なくとも2つの異なるメディアでバックアップします。行動計画には、詳細かつ具体的な内容が求められます。また、最悪の事態を想定すべきなので、例えばシステム管理責任者が休暇や病気で不在となり、チームメンバーだけでデータシステムを復旧しなければならない場合も想定しておきましょう。
計画には、重要なアクションや指示に加えて、企業全体のコミュニケーションを取り戻すための社内連絡網を詳細に記載する必要があります。誰にすぐ知らせる必要があるのか、重要な情報を得るためにITチームは誰に連絡する必要があるのかーーこれら全てを計画に盛り込みます。
そして、計画が実行できるものかどうかも考えてください。管理者のチームには、データセンターのサーバーを復旧させるために、徹夜で作業する必要があるでしょうか、食事や寝る場所を確保すべきでしょうかーー最も詳細な災害復旧(DR)計画では、近くの軽食店からからタクシー会社、近隣のホテルまで、ありとあらゆる事態を想定し、それに伴うさまざまな情報を網羅しています。