ワークデイ社長が説く「人とAIエージェントの一元管理の実現」
今回は「ワークデイ社長が説く「人とAIエージェントの一元管理の実現」」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、ワークデイ 執行役社長 兼 日本地域責任者の古市力氏と、KPMGコンサルティング 執行役員 Sustainability & Rick Transformationユニットリーダー/パートナーの足立桂輔氏の「明言」を紹介する。
米Workdayの日本法人ワークデイ社長を務める古市氏は、同社が先頃開いた事業戦略に関する記者説明会で、AIエージェントにおける取り組みについて上記のように述べた。「Agent System of Record」(以下、ASOR)と呼ぶ新たなソリューションで実現するもので、これまでのWorkdayプラットフォームを進化させた形だ。今後、注目したい動きなので、明言として取り上げた。
Workdayは、人事管理(Human Capital Management=HCM)および財務管理(Financial Management)などのエンタープライズアプリケーションをクラウドサービスで提供し、年間売上高84億4600万ドル(2025年1月期)、従業員数2万400人超、グローバルの顧客数1万1000社超の実績を持つソフトウェアベンダーだ。エンタープライズアプリケーションの売上規模では、Oracle、SAP、Salesforceに次ぐ存在感だ。
会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは古市氏の冒頭の発言に注目したい。
同氏は図1を示しながら、次のように説明した。
「Workdayのプラットフォームはおよそ7000万人のユーザーが利用しており、年間およそ1兆トランザクションが動いている。これによって蓄積されたデータの量が、AIを活用する上で当社の強みとなる。このデータを活用する形で、図の下段に記されている8つのAIエージェントを現時点で取りそろえている」
「そして新たに先頃発表したのが、ASORだ。これまで人事管理で培ってきたノウハウをAIエージェントにも生かそうというソリューションだ。AIエージェントには、当社が提供するものだけでなく、お客さま自身が開発したもの、そして他のベンダーが提供するものと3つのパターンがあることから、今後これらが企業内で乱立するのではないかと懸念する声が上がっている。しかもその管理には、セキュリティやガバナンス、コンプライアンスへの対応も不可欠になってくる。ASORはそうしたニーズに応え、企業においての従業員とAIエージェントの管理を一元的に行えるようにしようというものだ」
ASORは2025年後半から利用できるようになる予定で、人と合わせて多種多様なAIエージェントを一元管理する姿を見ることができるのはもう少し先だが、逆に言うと、多くの企業でそうしたニーズが高まってくるタイミングと合致するかもしれない。
ASORについては、本サイトでの筆者のもう1つの連載「一言もの申す」の3月19日掲載記事「多種多様なAIエージェントをどうすれば管理・活用できるか–ワークデイの取り組みから探る」において、背景や意義について解説しているので参照していただきたい。
あらためて申し上げておくと、ASORはこれまでのWorkdayプラットフォームの進化形だ。古市氏が言うように、企業において今後AIエージェントの乱立が懸念される中で、ASORのようなソリューションのニーズは間違いなく高まるだろう。同社がそのムーブメントを巻き起こす存在になれるか、注目していきたい。