JAL、客室乗務員のレポート作成業務を生成AIで効率化–フライト中のタブレット端末で動作
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日本航空(JAL)は、客室乗務員が行う引き継ぎレポートの作成業務を効率化するため、生成AIソリューションを活用した実証実験を行った。富士通とAIソリューション事業を展開するヘッドウォータースが共同でシステムを開発した。3月27日に発表した。
JALでは、客室乗務員が空港地上スタッフに引き継ぎを行う際のレポート作成業務の効率化が課題となっていた。そこで富士通とヘッドウォータースは、クラウド環境へのネットワーク接続が必要となる従来の大規模言語モデル(LLM)に代わり、オフライン環境での性能に強みを持つ小規模言語モデル(SLM)であるMicrosoftの「Phi」を活用した。加えて、フライト中の機内でタブレット端末を使用し、チャット形式でレポート作成が可能な生成AIソリューションのプロトタイプアプリを開発した。
実証実験では、客室乗務員がタブレット端末上でチャット形式で入力した情報に基づき、引き継ぎレポートを自動で生成し、レポート作成にかかる時間を大幅に削減することを確認した。富士通は、AIサービス「Fujitsu Kozuchi」を通じて社内外の実践の中で培った業務に特化した生成AIモデルの開発ノウハウを生かし、JALの過去のレポートを元にPhiを客室乗務員の業務に特化したモデルにファインチューニングした。
ヘッドウォータースは、オフライン環境のデバイス上でも稼働する業務特化型生成AIアプリケーションを開発し、量子化技術による処理の軽量化によって、タブレット端末上での動作を最適化した。また、同社は、AIコンサルタントによる伴走型支援を通じて、AI導入におけるワークフロー分析から概念実証(PoC)の実施・評価、アジャイル開発の進行管理を実施した。さらに、AIエンジニアがFujitsu Kozuchiのファインチューニング環境を構築し、ユーザーの利用環境に最適化するための技術支援を行った。
生成されたレポートは、JALの業務用語を学習した自然な表現であり、編集が容易であることが確認された。また、スムーズな英訳により業務負担が軽減されたほか、既存のアプリと比べてレポート作成にかかる時間と修正の発生率も削減された。
今後、富士通とヘッドウォータースは、JALでのシステム本番運用に向けて段階的な検証を実施し、JALが運用する生成AIプラットフォームへの導入を目指す。