「AIエージェント」と「BPO」は共存するか–パーソルグループに聞いてみた
今回は「「AIエージェント」と「BPO」は共存するか–パーソルグループに聞いてみた」についてご紹介します。
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これまで人がやっていた業務をAIが自律的に代行する「AIエージェント」と、各種業務を専門の企業や人が代行する「BPO」(ビジネスプロセスアウトソーシング)は共存するか。人材派遣・紹介業大手のパーソルグループでBPO事業を主力とするパーソルビジネスプロセスデザインに聞く機会があったので、その回答とともに筆者なりの考察を行いたい。
AIエージェントとBPOは、いずれも「業務を代行する」点で同じだ。それによって、ユーザーの業務を効率化して生産性を高めようというのが目的だ。ただ、やることが同じならば、将来的にコストパフォーマンスが高い方が選ばれるのは歴史の必然だ。一方で、両者が組み合わさることで、人の働き方に新たなスタイルが生まれるとの見方もある。
取材でさまざまな話を聞く中、この両者の関係性についてかねて関心を抱いていたところ、パーソルビジネスプロセスデザインが先頃、事業の最新動向について記者説明会を開いたので、その質疑応答で聞いてみた。
両者の関係性の話の前に、BPOの最新動向について、同社の会見での説明から少し紹介しておこう。
パーソルグループでBPO事業を主力とする企業として2024年10月に発足したパーソルビジネスプロセスデザインは、社名にもあるように「ビジネスプロセスを理想的な形でデザインする」ことが目的だ。同社はBPOについて、「業務プロセスを一括して外部企業に委託するアウトソーシングの一種であり、サービス範囲はコア事業のバリューチェーン業務全般や全社共通のコーポレート業務全般と多岐にわたる」と説明している(図1)。
ただ、同社の調査によると、国内企業のBPOの導入率は約2割にとどまっている。とはいえ、導入している企業の8割以上が、「経営効率が向上した」あるいは「今後も利用継続・拡大意向」であることが分かった。すなわち、まだまだ伸びしろが大きい市場といえる(図2)。
同社が先頃開いた会見は、設立と同時に提供を開始したサービスの最新動向について説明したものである。それは「StepBase」と呼ぶ「オンラインBPOサービス」である。同社でこの事業の責任者を務める事業開発本部マネージャーの森山克也氏は、オンラインBPOサービスについて「事務作業やスケジュール管理など多岐にわたる業務をアシスタントが行い、コア業務に集中できる環境を提供することで、コスト削減と業務のスピードアップを実現する」と説明した。
図3がその流れを示したもので、「お客さまから当社のキャプテンと呼ばれるディレクターに業務を依頼していただくと、その内容によって当社が雇用しているクルーと呼ばれる各専門のアシスタントに振り分けて対応させていただく」(森山氏)といった具合だ。同サービスのさらに詳しい内容は発表資料をご覧いただきたい(図3)。
会見ではStepBaseの導入事例として、グループ会社のパーソルキャリアが運営するスカウトサービス「dodaダイレクト」との連携や、IT人材の採用活動を代行するアキュアズの取り組みも紹介された。それぞれの内容については発表資料をご覧いただくとして、次ページでは、そうしたBPOとAIエージェントの関係性について考察したい。