サービスナウ鈴木社長が語る–AIエージェント元年の鍵はプラットフォーム
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ServiceNow Japanは4月2日、2025年の日本市場に対する重点的な取り組みと3月に米国で発表した「ServiceNow Platform」の最新版「Yokohama」に関する記者説明会を開催した。AIエージェント機能を備え、AIが自律的に業務を推進することで、生産性の大幅な向上を目指す。
ServiceNow Japan 執行役員社長の鈴木正敏氏は「2024年は売上高が日本円にして1兆6000億円の規模になり、素晴らしく好調な1年だった。日本市場においても、グローバル全体の成長率を大きく超えている。これは、グローバルにおいても、日本においてもお客さまにおける、私たちの貢献度合いが高まっていることだと思うし、何よりもお客さまからの期待だと感じている。社員一同、気を引き締めてその期待に応えていきたい」と好業績だった1年を振り返った。
2025年の重点取り組みについては、(1)AIプラットフォーマーとしての進化、(2)“次世代CRM”~ お客さま体験の革新――の大きく2点を挙げた。
(1)については、ServiceNowのプラットフォームが日本企業におけるAIエージェント、生成AIの活用を大きく推進すると考えているとのこと。「プラットフォームに載せ、いかに業務の隅々にまで行き渡らせるかが重要な時代。言ってみればデジタルブレイクスルーの時代を本格的に迎えている」とした上で、次世代のAIプラットフォームに重要な要素として、(1)経営基盤の強化、(2)従業員・お客さま体験の向上、(3)AI――の3つを紹介。人とAIが協働することで、人に力を与え、人にしかできない業務にフォーカスし、シフトしていく好循環を生み出す次世代プラットフォームの要素を示した。
(2)については、伝統的な顧客関係管理(CRM)の領域を超え、エンドツーエンド(E2E)の体験をServiceNowがサポートし、その各所でAIが活用されていくと説明。鈴木氏は「これによりお客さまの体験を革新していく。そして真の顧客体験価値(CX)を実現することにフォーカスしていく」とし、次世代CRMの形を描く。
「従来のCRMは、お客さま接点や営業、コンタクトセンターといわれるところまでをデジタル化し、ミドル・バックオフィスの業務はサイロ化されていた。しかしお客さまからの問い合わせやリクエストに対応するのは、お客さま接点の部門だけではない。ミドル・バックオフィスまで含む多くの関係部門が関わって回答する必要がある。このプロセスはまだ整流化されておらず、フロント部門の人たちだけでお客さまに対応しているが、これではスピードが上がらない。さまざまな領域の問い合わせに対し、営業管理や経理といったところまで連携する必要がある」(鈴木氏)と、説いた。
続いて、常務執行役員 最高執行責任者(COO)の原智宏氏が登壇し、ServiceNow Now Platformの最新版となるYokohamaについて説明した。
ServiceNowでは、年2回のリリース時に都市名を冠しているが、今回は2022年の「Tokyo」に続き日本の都市名が選ばれている。原氏は「比較的短期間に日本の都市名が含まれているのは、日本市場へのコミットメント、そして位置付けの強化の現れと考えている」(原氏)と、日本市場の重要性に対する高まりを示した。
大きな進化点は、AIエージェントが追加されたこと。これにより、人が作業の中でAIを使っていたステージから、AIが自律的に業務を推進していく環境へシフトしたという。
Yokohamaでは、あらゆるソースからリアルタイムかつ安全なデータアクセスができる「Workflow Data Fabric」とのデータ統合が可能になり、確認、承認、申請の変更といった一連のプロセスが自動化された。
AIエージェントは組み込み型のものに加え、ユーザーの業務に特化したAIエージェントを開発できる「AI Agentsスタジオ」も用意。設定と設計を容易にすることで、カスタマーサービスマネジメントやフィールドサービスマネジメント以外の領域における業務の推進にも活用しやすい環境を整える。
また、「AI Agentsオーケストレーター」も搭載。これは、リクエストに対し、一時的な窓口として機能することに加え、今後、ユーザーのリクエストにどのように対応し、AIが業務を推進すればよいか、業務の実行計画を立案する役割を担うというもの。
業務の実行計画に合わせ、サブエージェントでAIエージェントのグループを作り、必要になる業務領域に合わせて、適切なAIエージェントをグループの中から選択して実際の業務を推進していくという。
このほか、AI エージェントが全ての判断を自動で下してしまい、暴走することを防ぐ「Now Assist Guardian」なども備え、業務の推進をサポートする。
原氏は「特定のタスクに特化したAIエージェントが個々の業務を推進し、それをAI Agentsオーケストレーターが全体を俯瞰(ふかん)しながら業務プロセス全体を管理、監督していく。これにより、業務プロセスが複数の部門やシステムに分かれて存在しても一気通貫で実行していける」と特徴を話した。
AIエージェント元年とも言われる2025年に対し鈴木氏は「AIを活用したさまざまな取り組みが進み、部分的な業務でも活用が進んでいる。しかし、重要なのはいかにAIの機能を業務に深く浸透させて使っていくかということ。大きな業務プロセスの各所でAIを使えるかが大事。その時に重要になるのがまさにプラットフォームである。プラットフォームに生成AIの機能を載せていくことが、AIの価値をスケールさせていく大きなポイントだと思っている」とした。