HCL Technologiesのロシュニ・ナダー会長が語る–インドテクノロジー企業の未来とAI時代の人材戦略

今回は「HCL Technologiesのロシュニ・ナダー会長が語る–インドテクノロジー企業の未来とAI時代の人材戦略」についてご紹介します。

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 インドのノイダに本社を構えるHCL Technologiesは、世界60カ国に拠点を持ち、従業員数は約22万人を数える、巨大テクノロジー企業だ。1976年に創業し、1978年には、IBMに先駆けて8ビットコンピューターを開発。昨今はサイバーセキュリティコンサルティングやソフトウェアを展開する一方、大手企業の製品開発やサービス設計を支援し、オフショア開発として1000以上の製品を生み出す。

 HCL Technologiesの創業者であるShiv Nadar(シブ・ナダー)氏の娘であり、現在、同社の会長を務めるRoshni Nadar Malhotra(ロシュニ・ナダー・マルホートラ)氏に、インドにおけるテクノロジー企業としての役割やエンジニア人材の採用方法、さらにAIが席巻するテクノロジー業界の今後などについて話を聞いた。

 Nadar氏は会長を務めながら、同社のCSR(企業の社会的責任)委員会の会長も兼任するなど多忙な日々を送る。2018年にはインドの自然生息地とその固有種の保護を目的とした財団「The Habitats Trust」を設立するなど、野生生物の保護にも熱心だ。

 約21万平方mの本社敷地内には、数多くの犬が自由に歩き回りながら過ごしており、全てHCL Technologiesが世話をしているとのこと。野良犬が多く、予防接種が行き届かないため「狂犬病」などが社会問題になるインドにおいて、動物保護の一環になっているようだ。

 「HCL Technologiesは、現在インドで3番目に大きいテクノロジー企業となっており非常に誇らしく思っている。手掛ける事業は、製品開発からAI、ソフトウェア、ITサービス、クラウドなど幅広い」とNadar氏は紹介する。

 エンジニアが中心のテクノロジー企業だが、Nadar氏は、大学で映画やテレビ制作などを専攻し、卒業後は英国ロンドンのメディア企業に就職。その後ビジネススクールなどを経て、HCL Technologiesに入社した経歴を持つ。

 「もともとエンジニアではなかった」という同氏だが、「最近の若い世代はデジタルネイティブであり、私たちが育ってきた環境とは全く違う。私たちの世代はテクノロジーをしっかりと勉強し、身に付けなければならなかったが、若い世代の人たちは勉強するというよりもテクノロジーが生活の一部になっている。そのため、これから身に付けるべき最も重要なスキルはアジリティー(ビジネスの俊敏性)。以前は、配属された部門、与えられた役割をやり切ることに重きが置かれていたが、アジャイル開発が一般的になる中で、別の部署の仕事や今までとは違う役割に、すぐに入っていけるスキルがとても重要になってくると思う」と、変化を指摘する。

 多くのエンジニアが勤める同社だが、ITのバックグラウンドを持たない人たちを採用する「TechBee」(テックビー)というプログラムも取り入れている。

 「以前は工学系を専攻した大学生を積極的に採用していたが、2018年頃からITのバックグラウンドを持たない人たちをあえて採用している。これは12年生(日本でいう高校3年生)を対象にしたもので、入社と同時に9~12カ月のトレーニングプログラムを経て、仕事に始めてもらう仕組み」と、入社してからエンジニアとしてのキャリアをスタートさせる制度を整える。

 同様の仕組みは大学生向けにも用意しており、そちらでは大学と連携して、授業の一部としてHCL Technologiesがカリキュラムを用意したり、単位を取得したりといったことにも結びつける。

 「テックビーを始めて大きく変わったのは女性の採用。今までは理系を専攻していないと採用しづらい壁があったが、この採用方法によって、女性を数多く採用できるようになってきた。今ではテックビーを経て採用する男女比は5対5になっている。このように採用においても考え方を変えていかなければならない。特に若い世代の採用は『デザインシンキング』のような観点を取り入れる必要がある」とのこと。テックビーがスタートした当初は100人規模の採用だったというが、現在では1万人規模にまで増えている。

 こうした取り組みのかいもあってか、HCL Technologiesにおける取締役の男女比は5対5。「女性の登用という観点では、インドは他国よりも課題感が強いかもしれない。HCL Technologiesの女性役員の割合の高さは、インド企業としては非常に数少ない事例だと思うが、女性がビジネスの場で活躍している国は多く、個人的には前向きに考えていきたい」と思いを明かした。

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