エージェント型AIへの移行は長期戦–求められる人材戦略の整備

今回は「エージェント型AIへの移行は長期戦–求められる人材戦略の整備」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 生成AIは、まだ限定的ではあるが期待を持てる成果を上げつつある。しかし、IT業界は、自動化の次の段階であるエージェント型AIに向かって全速力で突き進んでいる。AI自体はまだエージェントを設計、構築、展開できないため、エージェントを生産的に開発してターゲットを設定するのは、人間の役割だ。しかし、この開発にはしばらく時間がかかるだろう。

 これが、コンサルティング会社Accentureによる先ごろの調査の結論だ。この調査では、AIベースのサービスをスケールアップして持続可能なビジネス価値を生み出すことが課題とされており、この分野で大きな成果を上げているプロジェクトはわずか13%だという。Accentureの調査では、3400人の経営幹部と2000件以上のクライアントプロジェクトが対象となった。

 エージェント型AIへの急速な進化では、新しいタイプの人材が求められる。それは、AIとモデル開発の訓練を受け、さらにビジネス感覚を持つ人材だ。「このことは、主要クライアントとの人材とスキルに関する取り組みで裏付けられている」と調査レポートに記されている。主執筆者は、Accentureでコンサルティング担当グループチーフエグゼクティブを務めるJack Azagury氏だ。

 この新しいタイプのスキルがテクノロジー担当者やマネージャーにとって何を意味するのか、Azagury氏に具体的に聞いたところ、同氏は米ZDNETに次のように語った。「人材の確保は、企業が規模を拡大して価値を引き出す上での最大の障壁の1つだ。そのため、生成AI時代に勝利を収めるには、適切なスキルアーキテクチャーが必要になる。現在、組織がテクノロジーに費やす金額は、人材に費やす金額の3倍だ。これを変えていかなければならない」

 Azagury氏によると、大半の企業はAI時代に向けた人材のトレーニングをしていないという。Accentureの調査では、従業員の94%が生成AIについて学びたいと考えているのに対し、この分野のトレーニングを提供している企業はわずか5%であることが分かった。「このギャップを埋めなければならない」と同氏。「全ての市販生成AIツールに投資することは可能だが、従業員が使用方法や使用する理由を理解していない場合や、信頼していない場合は、絶対に価値を実現できない」

 Azagury氏は、企業が現時点で注目すべき3種類のAIエージェントを挙げた。

 Azagury氏は、エージェントアーキテクチャーの構築と展開には特別なチームワークが必要だと語る。このアプローチでは、「ソフトウェア開発ライフサイクルの段階的な変化を推進するという二重の役割」を担う必要があるという。テクノロジー担当者は、組織と従業員が「生成AI全般を活用して成功」できるように支援することも求められる。

 生成AI、そして現在のエージェント型AIの台頭により、「データサイエンスとデータエンジニアリングのスキルを持つ人材の需要が大幅に増加している。このような人材は、モデルの使用を熟知し、大規模言語モデル(LLM)を切り替えられるアーキテクチャーの展開方法や、適切なAIアーキテクチャーを備えた柔軟なデジタルコアの実現方法を理解している」とAzagury氏。「こうした新しい重要な責務に対応するには、体系化、構造化されたスキルベースの人材戦略によって、IT担当者のスキルアップに投資する必要があるだろう」

 この戦略を展開する組織には大きな見返りがあるという。「生成AIからエンタープライズレベルの価値を生み出している企業は、従業員向けの人材ロードマップを整備している可能性が2.9倍高い。また、技術職と非技術職の双方に合わせた生成AI学習パスを用意している可能性が2.8倍高い」

 Azagury氏は、最高経営責任者(CEO)もAIエージェントの影響について理解を深める必要がある、と述べた。

 ワークフロー、さらには企業文化に対するAIの影響により、「AIとテクノロジーの洞察力に関する一定の教育が必要になる。その度合いは、これまでの他のテクノロジーよりもはるかに大きい」と同氏は語る。「なぜなら、高度に民主化されているからだ。近い将来にエージェントが登場すると、人間と機械のより深いパートナーシップが求められるだろう」

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