データベースは“コンバージド”の時代へ–日本オラクル三澤社長、最新版「Oracle Database 21c」をアピール
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日本オラクルは2月12日、報道機関向けにデータベース製品の戦略説明会を開催した。最新版「Oracle Database 21c」の概要が紹介された。
同社 執行役 社長の三澤智光氏はまず、同社のミッションを紹介。「私たちのミッションは、人々が新たな方法でデータを理解し、本質を見極め、無限の可能性を解き放てるよう支援していくこと」(Our mission is to help people see data in new ways, discover insights, unlock endless possibilities.)というものだ。次いで、同氏はテクノロジーの進化について、iPhone登場を基準として「目的別のさまざまなガジェットを併用していた時代」と「さまざまな機能がスマートフォンに統合された時代」に分けた上で、最新のOracle Database 21cをスマートフォンに相当する「スマートデータベース」だと位置付けた。
同氏が言う「目的別データベース」は、構造化データを扱うOLTP(Online Transaction Processing)、分析に特化したDWH(Data Warehouse)や、JSON、グラフデータ、時系列データ、位置情報など、データの種類やデータ活用の方法に応じたさまざまな「専用データベース」が並立していることを指す。アプリケーション開発にはそれぞれの開発手法があり、運用管理方法もまちまちといった具合に、こうした「目的別データベース」を多数運用していくには、スマートフォン登場以前に多種多様なガジェットを持ち歩いていた時代のように煩雑だと同氏は指摘する。
一方、スマートフォンの登場によってさまざまな専用ガジェットが提供していた機能の多くがスマートフォンに統合され、ユーザーは「スマートフォンさえあれば何でもできる」ようになった。同様の状況をデータベースの世界で実現するのがOracle Database 21cの「コンバージドデータベース」というわけだ。
コンバージドデータベースでは、Oracle Database 12cで導入されたマルチテナント対応アーキテクチャーで、単一のプラットフォーム上で複数の論理データベースを運用できる機能であるプラガブルデータベース(Pluggable Database)機能を活用し、さまざまな“専用データベース”をOracle Database 21c上で実行するイメージだ。併せて、データベースアクセスのためのSQLがそれぞれの専用データベース機能をサポートするように拡張されていることから、運用管理の一元化に加えてアプリケーション開発についても同社のSQLを習得すればよいという状況になる。
同氏はこうしたメリットを踏まえ「アプリケーションからすると、目的別データベースというのはナンセンス」だと語った。また、同社のクラウドサービスの基盤となる「Oracle Cloud Infrastructure」については「汎用のクラウドインフラに比べて圧倒的に速いネットワーク、完璧なテナントの分離、フル暗号化」という特徴があると紹介した上で、「コンバージドデータベースはこの優れたクラウドインフラと一体化されたサービスを提供する」とした。
Oracle Database 21cでは216の新機能を追加しているといい、クラウド上では既に利用可能となっており、オンプレミス向けのLinux版、Windows版、Exadata、Database Applianceなどはまもなく提供を開始する予定となっている。なお、クラウド上では「Oracle cloud Free Tier」でOracle Database 21cを無償で試用できる。
“集中と分散”と同じく、専用か汎用かというアプローチも時代ごとに行き来を繰り返してきたコンセプトであり、どちらが良いかは周辺状況によっても変わってくる。基本的には、汎用化されたシステムではカバーし切れないきめ細かな機能や性能を実現するために専用化されたシステムが出現し、あまりに専門化されたシステムが増え過ぎると統合することのメリットが上回るようになる、というサイクルを繰り返している。
データベースの世界でもOracle Database 21cのリリースによってこのサイクルが新たな局面に入ることになるが、ポイントはやはりアプリケーション開発者が何を選ぶか、という点になるだろう。DX(デジタル変革)の時代になってアプリケーションの重要性が高まっているが、データベースに関してもアプリケーション開発者の視点でより適切なデータベースを選ぶという傾向が強まっていくと考えられる。コンバージドデータベースのコンセプトが成功するかどうかも、アプリケーション開発者の支持を集められるかどうかにかかっていると言えるだろう。