「VAIO Z」が世界初の立体成型フルカーボンボディで復活、Core i7-11375Hと32GBメモリー搭載
今回は「「VAIO Z」が世界初の立体成型フルカーボンボディで復活、Core i7-11375Hと32GBメモリー搭載」についてご紹介します。
関連ワード (改良、準拠、質問等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
ついに、「Z」を冠したフラッグシップモデル「VAIO Z」が復活しました。
ソニーからPC部門が独立し現在のVAIO株式会社が設立されたのが2014年7月。独立直後は、ソニー時代のブランドを引き継ぎつつ、独自開発機種として2015年に「VAIO Z Canvas」とフリップモデルの「VAIO Z」を発売。同年にクラムシェルモデルも登場しました。翌年には第6世代インテルCore i7搭載モデルとし、フリップモデルとクラムシェルモデルが発売されましたが、その後はビジネス向けモデルを中心に開発を続けたためか、パッタリと後継機種が登場しませんでした。
新製品が発表されるたびに「VAIO Zの予定は?」と質問が飛び、VAIOファンとしては首を長くして待ち続けてきました。あれから約5年、本日2021年2月18日に新「VAIO Z」が発表されました。本日から受注開始され、最速お届け日は3月5日となっており、カスタマイズモデルの予想実売価格は26万700円からとなっています。
新「VAIO Z SIGNATURE EDITION」。フルカーボンボディで武装したモバイルノートです
「挑戦に火をともそう。デザインと技術で世界中のイノベーションを加速する」というVAIOの新たなブランドミッションのもと、「Z」を冠するからには、単なる道具ではなく、オンリーワンで最高の相棒であり、ワクワクを刺激するようなものでなければありません。
その名に恥じない、今回の目玉の1つが、フルカーボンボディという挑戦です。その昔、ボティの軽量化と剛性を両立すべく、ノートPCとして初めてマグネシウム合金を採用したのが、ソニーの「VAIO Note 505(PCG-505)」でした。B5サイズでスリムかつ軽量なモバイルノートを実現しましたが、この挑戦がいまのモバイルノートの軽量化に影響を与えたことは間違いありません。
さらに、2003年にモバイルノートとしては世界で初めて「VAIO X505」にマルチレイヤーカーボンファイバーを活用しています。現在でも天板やパームレストといった平面部位に採用していますが、それだけではさらなる軽量化が難しい判断。もう一歩進んで、ボディ構造全体に使用することを目指しました。
カーボンファイバーは、非常に軽量かつ強度が高く、積層させることで剛性を高められる素材です。しかし、金属やポリカーボネートのような加工が難しいため、これまでボディ構造をカーボンだけで仕上げることができませんでした。そこで、東レと共同で困難な立体成型に挑戦。PCの主要部分を覆うすべての面構造をカーボンファイバーで実現することに成功しました。
カーボンファイバー素材。約20kgの重りを引っ張り上げても切れることはありません。このような紐状の素材を、剛性を高めるために繊維の方向を考えながら積層化していきます
剛性を高めるために、エッジ部分をコの字型に曲げたり、ヒンジ部分もV字に曲げるなどパーツに合わせた立体成型を行い、カーボンファイバーのみで剛性を高める工夫をしています。また、内部の立ち壁を減らすことで、設計もしやすくしているといいます。
立体成型することで剛性を高めていることのデモ。左が今回のディスプレイ部品で板厚は0.72mm、62g。両端をコの字状に立体成型している。右がSX14で使われているディスプレイ部品で板厚0.84mm、70g。5kgのおもりを乗せると、たわみ具合に違いが出てくることがわかります
今回、カーボンファイバーで実現したボディ構造体
ヒンジ部分などの部材は、もちろん金属を使用しています
また今回からは、MIL-STD-810H規格に準拠した試験も取り入れていますが、従来から行っているVAIO独自の試験のほうが厳しいそうです。
曲げにくい素材を理解した上でデザインされたボディは、カーボンファイバーならではの素材を活かした必然のかたちに仕上げられています。ご覧の通り、これまでのVAIOのデザインは踏襲しつつ、チルトアップヒンジ部分などは、改良されました。
ボディサイズは320.4×220.8×12.2~16.9mm。重量は仕様によって違いますが、最軽量時は約958gで、FHDモデルだと約982g、4K+5Gモデルだと約1059gとなります。
ティザーでも公開されていた、ヒンジ部分のデザイン。側面の曲げとヒンジ側の曲げ形状を考慮しつつ実現可能なデザインが考えられています
ヒンジ部分を変えたことで、対面でプレゼンできるよう、180度まで天板が開く仕様に変更されました。キーボードは、従来のタイピングのしやすさに改良を加え、キートップにより深いディッシュ形状を設け、キーストロークは1.2mmから1.5mmへと深くなっています。また、パンタグラフの材料も見直し、より静音性も高められています。
180度まで開くようになったディスプレイ部。画面が上下反転になるので、対面での説明で利用することを想定しています
キートップは、より深いディッシュ形状になり、指先がよりフィットする感覚になっています
次の目玉はフラッグシップモデルにふさわしい性能です。CPUは2021年1月に発表された第11世代インテルCore H35シリーズを採用。TDP 35Wと従来VAIOのモバイルノートで採用してきたTDP 25Wより高く、最上位モデルは4コア / 8スレッドのCore i7-11375H(3.3GHz~5GHz)を搭載します。
これまでVAIO TruePerformanceで培ってきたクーリング技術と電源の強化により、TDP 35Wでも十分な性能を発揮。このCPUを搭載したモデルとしては、最軽量クラスになります。
最上位モデル「VAIO Z SIGNATURE EDITION」の内部構造。デュアルファンサーマルユニットを採用しています
メモリーは最大32GBと、こちらも16GBから倍増。ストレージは第四世代ハイスピードSSD(PCIe 4.0対応のNVMe M.2 SSD)となり、256GB/512GB/1TB/2TBから選択可能です。性能的にはシーケンシャルリードで6000MB/sを超えます。
ディスプレイは14インチ液晶で、4K/FHDのいずれかを選択可能。ディスプレイ上部にあるWebカメラは、スライド式シャッターが搭載され、物理的にカメラをオフにできます。
ディスプレイは14インチ液晶で、4KとFHDが選択可能。左右のベゼルはかなり薄くなっています
ディプレイ上部のカメラユニット。顔認証にも対応し、シャッターによるカメラオフも装備。ユニットの両端にある穴はマイク。ちなみに、指紋認証は、電源ボタンに内蔵するタイプに変わりました
インターフェースは、これまでのビジネスを重視したレガシー存続路線から一新し、Thunderbolt 4対応のUSB Type-C端子を2つとHDMI端子だけという実にシンプルな構成にしたのもポイントです。
左側面。Thunderbolt 4対応USB Type-C端子とオーディオジャックのみ
右側面。Thunderbolt 4対応USB Type-Cは両サイドにある。HDMI端子はフルタイプ
インターフェースが、シンプルになったことで、デスクワークで活用する「Type-C 4Kマルチモニタードッキングステーション」が新たに別売りで用意されました。
別売りの「Type-C 4Kマルチモニタードッキングステーション」(VJ8PRA3)
また、無線LANはWi-Fi 6を搭載。さらにオプションで5G対応のWWANも搭載できます。アンテナは、従来どおりディスプレイ上部に配したほか、5G用アンテナ(4×4が必須のため)として、パームレストの左右側面部分にも内蔵しています。
手前の大きな金属カバーが5G用モジュール。国内主要キャリアのモジュール認証を取得する予定です。また奥にあり黒い付箋が貼られているのがWi-Fiモジュール
ディスプレイ上部のカメラユニットを挟んで、両側にWWANアンテナ(内側)とWi-Fiアンテナ(外側)を配置
WWAN用アンテナは、4×4のため、パームレストの両サイドにもアンテナを内蔵しています
バッテリーも新開発の薄型軽量53Whを搭載。FHDモデルで最大約34時間、4Kモデルで最大17時間の駆動時間を実現(いずれも公称値)。1kg切りモデルとしては、トップクラスの性能だとしています。
充電も、従来の電源プラグタイプではなく、USB PowerDeliveryに対応した、65WのACアダプターが付属。サイズも重量も従来よりコンパクトで軽量化されています。もちろん、スマホ向けの5Vタイプでの充電も行えます。
VAIO Z用の電源アダプター。65Wタイプで、従来よりもコンパクト化されていま
最上位モデルとなる「VAIO Z SIGNATURE EDITION」は、これまでの「ALL BLACK EDITION」のような位置づけで、専用仕様とカスタマイズ可能なスペックは以下のとおりです。
色は、カーボンファイバーの模様を生かしたシグネーチャーブラックと塗装されたブラックがあり、シグネーチャーブラックはSIGNATURE EDITION専用です。
選べるキーボードの仕様。隠し刻印は、完全に見えないのではなくうっすら見え、バックライトにより文字が浮き出るようになっています
そのほか、標準モデルは以下のとおりになります。
色はブラックのみ。Core i5-11300H選択時は32GBメモリーが選択できないという制約もあります。また、オフィスソフトはSIGNATURE EDITION、標準モデルいずれも選択可能です。
VAIO Zの標準モデルはブラックのみ
ヒートパイプの形状と素材が、SIGNATURE EDITION(上)と標準モデル(下)で違っています
また、店頭販売モデルも用意されています。こちらは、標準モデルがベースで、OSはWindows 10 Home 64ビット、メモリーは16GB、ストレージは512GB、日本語配列(かな文字なし)TPM非搭載、「Office Home and Business 2019」搭載が固定されています。
こうして、今回単なる最新スペックを盛り込んだ仕様というだけではなく、フルカーボンボディという新たなチャレンジにより、他社より一歩抜きん出た存在が示せるマシンが完成したことで、「Z」の冠が復活しました。特にカーボンファイバーの加工においては、東レを軸とした日本各地の企業の力により実現した、いわゆるチーム・ジャパンでつくりあげたものです。安曇野FINISHとともに、日本品質の「VAIO Z」は、VAIOファンが陶酔することはもちろん、日本人魂に火をつけてくれる逸品と言えるでしょう。
このあと、「VAIO Z SIGNATURE EDITION」のレビューもお届けします。
(Source:VAIO。Engadget日本版より転載)
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