マイクロソフト、メタバース見据えた巨額買収–なぜアクティビジョンか、背景や課題は

今回は「マイクロソフト、メタバース見据えた巨額買収–なぜアクティビジョンか、背景や課題は」についてご紹介します。

関連ワード (経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 MicrosoftがゲームパブリッシャーであるActivision Blizzardの買収計画を発表したことは、テクノロジー業界の隅々にまで衝撃を与えた。687億ドル(約7兆8000億円、1株あたり95ドル)もの規模の買収を行うのは、Microsoftの創業以来のことであり、買収が完了すれば、中国の騰訊(テンセント)、日本のソニーに次ぐ世界第3位のゲームブランドが誕生することになる。今回の買収は、同社のPC、ゲーム機、モバイル向けのゲームブランド全体を包含する「Microsoft Gaming」部門の基盤になると同時に、もうひとつ非常に重要な(あるいはゲーム事業以上に重要かもしれない)プロジェクトである「メタバース」への参戦計画の基礎にもなる。

 当然ながら、この規模の買収(LinkedInの買収金額である262億ドルの倍以上)ともなれば、大きな疑問がいくつも生まれてこざるを得ない。なぜMicrosoftは、ゲームパブリッシャーにこれだけの資金を投じるのか。メタバースとの関係はあるのか。そして何より、なぜActivision Blizzardなのか。

 しかしまずは、それらの疑問について考える前に、今回の買収が、その巨額な費用が示唆する以上に興味深い理由を理解するための背景を説明しよう。

 今ではよく知られるようになったが、Microsoftがゲーム業界への参入を最初に試みたのは、約20年前に任天堂を買収しようとしたときのことだ。しかしこの試みは、任天堂に一蹴されて終わったとされている。20年を経て、「Xbox」ブランド20周年を記念して作ったバーチャルミュージアムの展示品として当時の文書が公開されている。

 しかしこの文書と、今後メタバースが生み出すであろう種類の仮想空間内にその文書が存在するという事実は、ゲーム業界におけるMicrosoftの軌跡を見事に表しているといえるかもしれない。同社は、任天堂を買収しようとして失敗したときの状態から、現在進行中のインターネット革命のパイオニアとして、仮想現実(VR)やビデオ会議、エンターテインメント、オンラインコマースなどを一手に手掛ける存在になるまでに急成長した。

 そしてこれから、変遷をたどってきた同社のゲーム事業に対する投資の歴史は、過去最大の拡大の時代に入ることになるだろう。

 また今回の買収では、市場でもっとも人気のあるいくつかのゲームタイトルが、将来の独占タイトルとして「Xbox Game Pass」のラインアップに加わることになりそうだ。このサービスが始まったのは2017年だが、これまでのところ、同社が望んでいるほどのけん引力は得られていないようだ。Microsoftが2021年にZeniMax Mediaの獲得に75億ドル(約7900億円)を投じたのは、Xbox Game Passに一流の独占タイトルを投入してラインアップを強化する必要があったからだ。Xbox事業の責任者であり、Activision Blizzard買収の中心人物となっているPhil Spencer氏は、当時のインタビューで明確にそう述べている。

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