SUBARUと富士通、AIモデルでエンジン部品研削加工工程の品質保証を実現
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SUBARUは、富士通と共同で開発してきた、エンジン部品加工工程における研削加工の品質を高精度に判定する人工知能(AI)モデルを、同社の群馬製作所大泉工場で本格稼動させた。同モデルと連携し、製造現場でのAIモデルの管理を支援する富士通の「FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA 現場品質AI 運用管理パッケージ」(COLMINA 現場品質AI)も稼動させている。
AIモデルの本格稼動により、全カムシャフトの研削加工時の品質保証を高精度かつリアルタイムに実現し、従来の抜き取り検査を主体とした製造品質検査と比較して品質保証レベルの向上が可能となった。カムシャフトは、エンジン部品の一種でバルブ開閉の役割を担う。COLMINA 現場品質AIを用いたAIモデルの一元管理やライフサイクル管理により、効率的なAIモデルの運用や、AIモデルの品質を継続的に維持した運用も可能となった。これにより、大泉工場をはじめとしたSUBARUの群馬製作所全体において、品質保証レベル向上に向けたAI活用基盤を確立できたという。
SUBARUと富士通による事前の実証実験では、1年間の量産での研削加工工程において、AIモデルが高精度に加工品質を予測でき、実運用でも確実な品質保証が期待できる結果を得られた。一方、AIモデルが設備の経年劣化や環境変化により予測精度が低下する懸念があった。
そこで、精度維持のための定期的な確認と精度低下時のAIモデルの再学習、エッジデバイスへの再導入を繰り返し実施する仕組み、それを担う人材が必要となっていた。AIモデルを効率良く運用・展開するには、点在する各種設備の膨大なデータを一元管理し、リアルタイムに処理する仕組みも必要だった。
これらの課題解決に向け、AIモデルの管理を支援するCOLMINA 現場品質AIを量産工程に適用した実証を行い、併せてAIモデルの開発から運用までの業務推進手法を体系化した。
導入したシステムは、エンジンのカムシャフト研削工程において、研削設備に接続したセンサーから、全カムシャフトの主軸動力値や振動のセンシングデータを、エッジデバイスを介して収集する。収集したデータを基に同AIモデルで推測した品質状態が、品質基準値の範囲内かどうかを判定し、設備側へフィードバックする。
COLMINA 現場品質AIをAIモデルと連携させて導入することで、複数の設備に組み込まれたAIモデルを一元管理できる。また、予測精度が維持されているかどうかをAIモデルの推論結果と検査結果を照らし合わせて常に監視し、予測結果を蓄積・評価することで、AIモデルのチューニング時期を判断でき、必要に応じてAIモデルの再学習と展開が可能となる。SUBARUと富士通は今回の取り組みを知見とし、群馬製作所全体に横展開を推進する。