なぜ、データバックアップへの企業投資の優先度が急上昇しているのか
今回は「なぜ、データバックアップへの企業投資の優先度が急上昇しているのか」についてご紹介します。
関連ワード (松岡功の「今週の明言」、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、ヴィーム・ソフトウェア 執行役員社長の古舘正清氏と、ServiceNow Japan サービス営業統括本部 公共営業本部 営業本部長の野澤さゆり氏の発言を紹介する。
米Veeam Software(以下、Veeam)の日本法人であるヴィーム・ソフトウェアは先頃、グローバル企業を対象にしたランサムウェア(身代金要求型ウイルス)攻撃に関する最新の調査レポートを基に、サイバーセキュリティに関する最新動向やデータバックアップ(以下、バックアップ)による対応策についてオンラインで記者説明会を開いた。古舘氏の冒頭の発言はその会見の質疑応答で、バックアップへの企業投資における最近の変化について聞いた筆者の質問に答えたものである。
2006年に創業したVeeamは、VMwareの仮想基盤のバックアップ&リカバリーソリューションを提供するベンダーとして成長してきた。その後、仮想基盤だけでなく、複数のクラウドにまたがる環境でワークロードとデータ保護をサポートするベンダーとしての認知度を高めている。
さらに、ここにきて一段と注目されているのは、セキュリティの観点から今、猛威を振るっているランサムウェアに対しても有効な手立てとなり得ることが認知されるようになってきたからだ。
ランサムウェアは、企業のシステムをウイルスに感染させ暗号化するなどして操作できなくなるようにし、元に戻すのと引き換えに金銭を要求するサイバー攻撃の手口である。以前は不特定多数を狙った「ばらまき型」が多かったが、最近はシステムに脆弱性のある特定の企業を攻撃する「標的型」が増え、高額の身代金を要求される例が相次いでいる。
今回の会見はそうした背景を踏まえたもので、その内容については速報記事をご覧いただくとして、ここでは古舘氏の冒頭の発言に注目したい。
筆者の質問は、「多くの企業はバックアップの必要性を理解しているが、相応のコストもかかるので後回しになっていたように見受けられるが、昨今のランサムウェア対策を踏まえたバックアップの見直しが急務になったことで、企業投資の優先度に変化が見られるようになってきたか」というものだ。これに対し、古舘氏は次のように答えた。
「ランサムウェアは企業にとってまさしく事業の継続性を脅かすサイバー攻撃なので、大きな経営リスクという認識が経営層にも広がっていると実感している。一方、バックアップはこれまで保険をかけておくのと同様のイメージがあったが、ランサムウェア対策に欠かせないという認識が一気に広がり、企業投資の優先度として急上昇している状況だ。ランサムウェア対策を含めたバックアップの見直しの動きをきっかけに、私も経営層のお客さまとお話しする機会が増えているが、皆さん、強い危機感を持っておられることをひしひしと感じている」
古舘氏の話に、「事業継続性」「経営リスク」という言葉が幾度も出てきたのが印象的な会見だった(表1)。