企業の脱炭素「取り組み十分」は1割弱の調査結果に危機感を持て
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温暖化ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」。企業の間でも取り組みが迫られているが、最新調査によると「十分に取り組めている」との回答は1割弱にとどまった。この結果に強い危機感を持つべきだ。どうすれば、この割合を増やしていくことができるか。
SDGs(持続可能な開発目標)、ESG(環境・社会・企業統治)、サステナビリティー(持続可能性)といった言葉がこのところ企業の間で盛んに取り上げられるようになった。それらに共通するキーワードでもあるカーボンニュートラルは環境対策の「脱炭素」として、企業の間でも早くから取り組まれてきた印象があるが、実はまだまだ課題がありそうだという最新の調査結果がこのほど明らかになった。
人材サービスのパーソルホールディングスがカーボンニュートラルに関する企業の取り組みを経営者や従業員に調査した結果がそれだ。この調査は2022年4月、従業員数30人以上の企業に勤める25歳から69歳までの社員や管理職、経営者の合計1000人を対象にインターネット上で実施したものである。
図1は、カーボンニュートラルに関する認知・理解度を示したグラフである。「認知」をしている回答は全体で90.4%を占めており、中小企業でも88.3%と全体的に高い結果となった。ただし、内容の理解度については企業規模での差も見られ、「知っているが、あまり内容を理解できていない」が、中小企業では22.5%、大手・中堅企業では18.0%、超大手企業では11.7%という結果となった。
図2は、カーボンニュートラルに対する取り組み状況を示したグラフである。全体として、カーボンニュートラルに「取り組めている」は48.1%、「取り組めていない」は51.9%と約半数に分かれている。中小企業では「全く取り組めていない」が36.0%と高くなっている。大手・中堅企業、超大手企業ともに「十分に取り組めている」の割合は低く、全体では8.8%と1割を切る結果となった。
図3は、カーボンニュートラルへの取り組みに当たって必要だと考えることを示したグラフである。それによると、「経営層のリーダーシップ」が35.3%と全体で最も高く、「社内への理解促進」がそれに次いだ。また、推進のための「予算確保」「人材確保」といった社内リソースの確保や、「政府・自治体によるサポート制度の充実」など、支援要望も一定数見られた。