ITやDXへの投資意欲が高まる卸売・小売業界の動き
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アイ・ティ・アール(ITR)は、国内企業のIT投資動向に関する年次調査の最新報告書「国内IT投資動向調査 2023」を発刊した。その概要を解説するメディア向けイベントでは、プリンシパル・アナリストの三浦竜樹氏とシニア・アナリストの水野慎也氏が、2022~2023年度にIT投資の大きな伸びが見られる卸売・小売の動向を紹介してくれた。
この調査は2001年から行われ22回目となる。最新調査は8月19日~9月1日に、国内企業のIT戦略やIT投資の意思決定に関与する役職者にウェブでアンケートを行い、2172人から有効回答を得た。報告書は11月16日に発刊された。
IT投資の全体傾向では、前年度より増額するとした企業が初めて4割を超え(41%)、減額は7%だった。増額と減額の傾向を把握する「IT投資インデックス」は、2022年実績が3.39、2023年度予想が3.32だった。
このIT投資インデックスを業界別で見た場合、2022年実績から2023年度予想で最も高い伸びとなったのが、0.51ポイント増の卸売・小売だった。ほかには情報通信が0.41ポイント増となっている。卸売・小売の内訳は、卸売が0.27ポイント増、小売が0.63ポイント増、商社が0.61ポイント増で、いずれも上昇している。
今回の調査では、初めて「DX(デジタルトランスフォーメーション)関連予算」の計上の有無も尋ねた。調査でDX関連予算の定義は特に定めず回答企業の判断に依拠したとのことだが、「計上している」とした企業は49%に上った。またIT予算全体に占める割合は、全業種平均では21.9%、最高は製造の26.1%。卸売・小売は22.2%で2番目に高く、その内訳は卸売が24.6%、小売が24.0%、商社が18.4%だった。
報告書では、DXの各テーマでの取り組み状況と成果獲得の状況を基に「DX実践度スコア」を算出している。全体平均は33.0で、前回調査から2.5ポイント上昇した。業種別の伸びは卸売・小売が4.7ポイント増で最も高く、情報通信(4.2ポイント増)、サービス(2.4ポイント増)、建設・不動産(2.2ポイント増)が続く。
卸売・小売が導入する製品やサービスにも特徴が見られるという。2023年度に新規導入の可能性が高いものの上位5つは、全体では「電子契約/契約管理」「AI(人工知能)/機械学習プラットフォーム」「5G(パブリック)」「IoT」「ITサービス管理」だったが、卸売・小売では「電子契約/契約管理」「IoT」「脆弱性診断/脅威インテリジェンス」「インターネット分離/無害化」「デジタルフォレンジック」になり、サイバーセキュリティ分野が目立つ。
また、投資を増加させるものの上位5つは、全体では「BI(ビジネスインテリジェンス)/データ分析」「5G(パブリック)」「SaaS」「AI/機械学習プラットフォーム」「IoT」、卸売・小売では「Eコマース」「ローカル5G」「UEM(統合エンドポイント管理)」「SWG(セキュアウェブゲートウェイ)/クラウドプロキシー/ZTNA(ゼロトラストネットワークアーキテクチャー)」「IoT」となっている。
2021~2022年度に導入率が伸びたものは、全体では「5G(パブリック)」「EDR(エンドポイント型脅威検知・対応)/NGAV(次世代型ウイルス対策)/UEBA(ユーザー行動分析)」「DaaS(仮想デスクトップ環境のクラウドサービス)」「チャットボット/チャットサポート」「IaaS」だった。卸売・小売では、「チャットボット/チャットサポート」「データ統合(MDM/ETL)」「自然言語解析」「AI/機械学習プラットフォーム」「VR/AR/MR(仮想/拡張/複合現実)」と、顧客対応や顧客体験に関する製品・サービスおよび顧客関連データを活用するための製品・サービスの導入が進んでいる。