ニューラルネットワーク研究の先駆者、G・ヒントン氏が語る未来のコンピューター

今回は「ニューラルネットワーク研究の先駆者、G・ヒントン氏が語る未来のコンピューター」についてご紹介します。

関連ワード (経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 人工知能(AI)研究の先駆者であるGeoffrey Hinton氏によると、機械学習(ML)という分野はコンピューターシステムに革命をもたらし、AIをトースターに組み込めるような、ハードウェアとソフトウェアの新たなかたちの融合を実現するという。

 Hinton氏は米国時間11月29日、ルイジアナ州ニューオリンズで開催された2022年のNeural Information Processing Systems(NeurIPS)カンファレンスにおける閉会の基調講演で、MLの研究コミュニティーは「ディープラーニング(DL)がコンピューターの開発方法に与える意味合いをなかなか理解できないでいる」と述べた。

 そして同氏は「私は、動作原理のまったく異なるコンピューターが登場すると予想している。その予想が現実のものとなるには2〜3年以上かかると思うが、このような完全に異質なコンピューターについて、今のうちに詳しく評価しておく価値は十分にあるはずだ」と続けた。

 同氏は、これまでのすべてのデジタルコンピューターのハードウェアが、同じソフトウェアであればどこで実行しても同じ結果を出せるという、信頼性を最優先にして作り上げられた「イモータルなもの」(不死の存在)になっているとし、「物理的に異なるハードウェア上で同じプログラムを実行できる(中略)その知識はイモータルなものとなっている」と述べた。

 こうした要件によってデジタルコンピューターは、Hinton氏が言うところの、「ハードウェアの可変性や確率論的性質、あいまいさ、アナログ的性質、不安定さといった、われわれにとって極めて有用であるかもしれないあらゆる属性」の活用機会を逃しているという。これらの属性は大きく信頼性を低下させるため、「2台の異なるハードウェアが命令レベルでまったく同じ振る舞いを見せる」ようにすることができなくなるのだ。

 Hinton氏は、未来のコンピューターシステムでは異なったアプローチが採用されるだろうと述べた。それは「ニューロモーフィック」なものであるとともに、「モータル」な性質、すなわち寿命を有するものになるという。つまり、あらゆるコンピューターはニューラルネットを表現したソフトウェアとハードウェアが密接に結合したものとなる。これは、デジタル素子ではなくアナログ素子が搭載されているという点で雑然としたものだが、不確定要素を取り込めるとともに、時とともに成長していけるようになるのだという。

 Hinton氏は「この考えは、今のところコンピューターサイエンティストらの好むものにはなっていない。というのも、これがハードウェアとソフトウェアを分けて考える今までの基本原則と真っ向から対立するためだ」と説明した。

 「われわれはモータルコンピューティングと呼ぶ道に進んでいこうとしている。それは学習した知識とハードウェアが不可分なシステムなのだ」(Hinton氏)

 同氏によると、こういったモータルコンピューターは「成長」でき、高価なチップ製造施設も不要になるという。

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