ローコード/ノーコードの利点と問題点–開発者に求められる新たな役割

今回は「ローコード/ノーコードの利点と問題点–開発者に求められる新たな役割」についてご紹介します。

関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 ローコード/ノーコードソフトウェア開発への移行によって、技術者の過剰な負担を軽減することはできるのだろうか。間違いなくできるが、注意すべき点がある。新しいタイプの負荷が発生し、技術者が手に入れたばかりの時間が奪われてしまうため、企業はガイダンスを提供して、ユーザー作成アプリによる組織の混乱を防がなければならない。

 Mendixが数年前に発表した調査は、ローコードとノーコードによって開発者が時間を自由に使えるようになることを示している。ローコードとノーコードを使用する開発者の3分の2は、開発者に対する多大な要求に対応しきれないため、次善の開発ソリューションとしてローコードをよく使用しているという。90%以上の開発者が、アプリ関連の未処理のリクエストが1カ月あたり5件未満に収まっていると回答した。さらに、この調査では、平均的な企業は「ローコードツールの使用によってIT開発者2名の雇用を回避している」とされている。

 あまりにもできすぎた話だと感じるだろうか。Mendixはローコードベンダーなので、当然ながら、これらの結果を強調する十分な動機がある。先述の調査結果は、ローコードというトレンドによって、ビジネスユーザーが自分の専門分野に集中できるようになると同時に、IT担当者の時間が解放され、より重要なことに気を配れるようになるということを実証した。同様に重要な点として、開発者自身もローコード/ノーコードツールの利用者であることが強調されている。

 業界の専門家やリーダーの間で意見が一致している点がある。IT予算が削られ、テクノロジー人材の採用とつなぎとめが難しく、ビジネスユーザーがオンデマンド機能の提供をこれまで以上に強く望んでいる今こそ、ローコードとノーコードのアプローチを採用すべき時だという。「企業はローコード/ノーコードプラットフォームを複数の理由から採用しており、これには手動プロセスの自動化、アプリケーションランドスケープのモダナイゼーション、アプリケーション開発の分散化によるIT部門内の未着手案件の低減などがある」。CapgeminiのディレクターであるDavid McIntire氏はこのように語る。「一般的に、これらのプラットフォームでは、まだIT部門によるサポートがある程度必要だが、標準化されたプラットフォーム内でビジネス部門が簡単なアプリケーションを構築できるようにすることは、アプリケーション開発者の人材難に対処する有効な手段だ」

 たとえば、市民開発者は「日常的に利用するビジネスプロセスを簡素化するアプリケーションの開発に力を入れたいと考えている」とMcIntire氏。「目指しているのは、特定のワークフローやビジネスプロセスの自動化だ。また、データに重点を置いたローコードプラットフォームを使用して、新しいレポートと分析を作成し、業務の可視性を高めようとしている」

 ローコードとノーコードが普及する中で、IT担当者はどのような役割を果たす必要があるのだろうか。今の時代における新しい役割で最も重要なものの1つが、急拡大するノーコード/ローコード環境の世話役や管理人のような役割だ。「興味深い時代になった」。O’Reilly Mediaのエマージングテクノロジーコンテンツ担当バイスプレジデントのMike Loukides氏はこう述べた。「プログラミングスキルがなくても、市民開発者が自分の使用するソフトウェアを構築できるのは、素晴らしいことだ。しかし、これらの開発者と正式なITプロセスの適切な関係はまだ明確になっていない。営業チームを管理するためのウェブアプリは、営業担当者とほとんど話をしないIT開発者よりも、営業マネージャーの方がうまく作成できるのだろうか。おそらくそうだろうが、営業マネージャーがアプリを展開して、安全性を検証し、IT部門に期待される他のすべての作業に対応できるかというと、おそらくできないはずだ。したがって、そのような関係をうまく機能させる方法を考える必要がある」

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