レッドハット、「Red Hat Summit 2023」発表の新機能などを振り返り

今回は「レッドハット、「Red Hat Summit 2023」発表の新機能などを振り返り」についてご紹介します。

関連ワード (運用管理等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 レッドハットは6月6日、5月に開催した年次イベント「Red Hat Summit 2023」の発表内容について記者説明会で解説した。「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」「Application Services」「Red Hat OpenShift」「Red Hat Ansible」「Red Hat Device Edge」の5分野を各担当者が説明した。

 まず、スペシャリスト ソリューションアーキテクトの橋本賢弥氏がRHELの発表について振り返った。同氏は「製品としての新リリースは限られている」といい、2022年にメジャーリリースのRHEL 9が提供されてから製品面は落ち着いており、ユーザーの運用を支援する各種施策の発表が主となったことを紹介した。

 主な発表としては、「Enhanced Extended Update Serviceの提供」「Red Hat Enterprise Linux for Third Party Migration」「Red Hat Hybrid Cloud Console関連の各種強化」などが挙げられた。

 Enhanced Extended Update Serviceは、4年間マイナーリリースを固定して重大なセキュリティ脆弱性の修正およびバグ修正を提供するもの。従来提供されていた「Extended Update Service(EUS)」がマイナーリリースの提供から2年間だったのがさらに延長された形で、RHEL 9以降を対象にアドオンとして追加購入できる。提供開始は2023年第3四半期の予定。

 従来のEUSでは、移行作業に必要な時間などを考慮すると「1年に1度程度のマイナーリリース更新が必要だった」が、Enhanced Extended Update Serviceの適用により「およそ3年に1度のマイナーリリース更新で余裕をもったアップデート計画が可能に」なるという。インフラのアップデートを極力避け、安定的に長期運用を継続したいユーザーのニーズに応えたもので、3年に1度となるとおおむねハードウェアのリース期間に近い期間となってくるため、運用負担が大きく軽減されることになりそうだ。

 Red Hat Enterprise Linux for Third Party Migrationは、約1年後にサポート終了(EOL)を控えた「CentOS 7」ユーザー向けに提供されるRHELへの移行支援策となる。サブスクリプション費用の割引のほか、開発チーム向けツールや環境移行向けの自動変換ツールなども提供される。2023年第3四半期に一般提供を開始する予定。

 続いて、アソシエイトプリンシパル ソリューションアーキテクトの杉本拓氏がApplication Servicesについて説明した。アプリケーション関連の主なトピックとして挙げられたのは、「ハイブリッドクラウドにおけるシステム連携の開発アプローチ」と「アプリケーションモダナイゼーション」の2点。

 インテグレーションのさまざまなユースケースに対応するための基盤として提供される「Red Hat Applicaiton Foundations」に対し、「Apache Kafka」を補完するツールとして「Apache Camel」の活用が進んでおり、インテグレーション機能をより簡単に実装できるようにするための取り組みが行われ、関連ツールも提供されている。

 また、アプリケーションモダナイゼーションに関しては、「Retire(破棄)」「Retain(維持/塩漬け)」「Rehost(新筐体への移行)」「replatform(大幅な変更を必要としない最適化)」「Refactor(クラウドネイティブ化)」「Repurchase(SaaSへの移行)」の6つの移行方法を想定する中、「Rehost/Replatformの選択肢として『Microsoft Azure』上の『Red Hat JBoss Enterprise Application Platform(JBoss EAP)』を活用する」ことと、「Refactorの選択肢として『Quarkus』を活用する」ことが紹介された。

 既存アプリケーションの移行やクラウドネイティブ化を支援するツール「Migration Toolkit for Applications」や、アプリケーションのモダナイズに必要なスキルを習得できるハンズオン「Modern Application Development(MAD) Roadshow」の国内開催についても触れた。

 OpenShift関連のアップデートを紹介した、OpenShift/Kubernetesアーキテクトの石川純平氏は、人工知能(AI)、開発効率化、セキュリティの3つのカテゴリーで発表内容を紹介した。「

 「Red Hat OpenShift AI」は新たに設定されたブランド名となり、「Red hat OpenShift Data Science」などのAI関連製品を束ねるコンテナー環境でのAI/ML活用を推進する製品ファミリーと位置付けられる。開発効率化では、開発チームのコラボレーションを加速する「Red Hat Developer Hub」、セキュリティでは、DevSecOpsのベストプラクティスを適用し安全なソフトウェアサプライチェーンを実現する「Red Hat Trusted Software Supply Chain」、コンテナークラスタのセキュリティを保護するマネージドサービス「Red Hat Advanced Cluster Security Cloud Service」、ハイブリッドクラウド環境でセキュア&フレキシブルな通信を実現する「Red Hat Service Interconnect」がそれぞれ説明された。

 Ansible関連のアップデートについて、シニアスペシャリスト ソリューションアーキテクトの中島倫明氏は、「Ansible Lightspeed」と「Event-Driven Ansible」の2点を挙げた。

 Ansible Lightspeedは生成AIを用いた開発者支援で、テクノロジープレビューが2023年後半に提供される予定。AnsibleのコードをAIで自動作成する取り組みは、IBMが「Think 2023」で「Watson Code Assistant」として発表しており、Ansible LightspeedのベースとしてもWatson Code Assistantが活用されている。

 また、Event-Driven Ansibleは他システムの発信するイベントに基づく、Ansibleの自動化シナリオを自律実行するもので、近日リリース予定の「Red Hat Ansible Automation Platform 2.4」で実装予定となっている。

 最後に、シニアソリューションアーキテクトの森須高志氏は「Red Hat Device Edge」に関する説明として、ABB Ability Edgeniusとのパートナーシップの最新状況や、Siemensのアンベルク工場で生産管理システムをモダン化したOpenShiftの活用事例などを紹介した。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
インフォマートと串カツ田中HDの合弁会社、飲食店運営を効率化するアプリ実証
IT関連
2022-07-07 18:17
「iPadとMacは統合される」陰謀論、Apple幹部が否定 iPadとMacの違いは「タッチ」
IT関連
2021-04-24 07:28
EUが大手テック企業の「新型コロナ偽情報対応は不十分」と指摘
パブリック / ダイバーシティ
2021-06-14 11:38
実践のプロが解説する、アジャイル型アプローチの「7要素」
IT関連
2023-03-29 07:55
Facebookは「Stop the Steal(選挙泥棒を止めろ)」関連投稿を全面排除の方向へ
ネットサービス
2021-01-13 17:12
米国人の過半数、連邦政府によるAI規制を支持
IT関連
2023-08-16 05:10
パスワードマネージャの1Passwordがパスキーに正式対応を開始。パスキーの保存、管理、サインインに対応
FIDO/WebAuthn
2023-09-25 03:12
DNPと三菱UFJ銀行、分散型ID技術と事業化検証に向け基本合意
IT関連
2023-03-31 17:08
個人の金融データ、第三者提供への抵抗感で意外な違い–マネーツリー調査
IT関連
2022-12-10 06:50
現場監督の業務を効率化する建設現場管理・図面共有アプリ「SPIDERPLUS」が4万ユーザーを突破
ソフトウェア
2021-05-14 12:56
【インタビュー】「ブロックチェーンとそのテックは政治から切り離すべき」元米通貨監督庁長官が語る可能性
ブロックチェーン
2021-04-19 07:01
全銀ネット、システム障害の原因と対応を報告
IT関連
2023-10-20 18:34
ヴィーム社長が語った「バックアップベンダーとセキュリティベンダーの関係性」
IT関連
2024-02-17 09:20
アマゾンのFire TV CubeがZoom会議に対応
ハードウェア
2021-07-31 04:37