シスコシステムズ、企業のサステナビリティー推進を多面的に支援

今回は「シスコシステムズ、企業のサステナビリティー推進を多面的に支援」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、カーボンニュートラル(脱炭素)等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 シスコシステムズは8月8日、サステナビリティー戦略に関する記者説明会を開催した。説明会では、同日付で開設された「サステナビリティー推進支援センター」や、サステナビリティーに対応する同社のソリューションについて説明があった。

 サステナビリティー推進支援センターは、同社が提供するサステナビリティーに関するソリューションやプログラムの紹介・相談、シスコシステムズの取り組み事例を紹介する、顧客向けの一元的な総合支援窓口になる。社内の関連部門の専門家を含めた組織横断的なチームで構成されており、顧客からの問い合わせに対して、専門家との調整を実施するという。

 代表執行役員社長の中川いち朗氏は同センターの開設に当たり、「お客さまのサステナビリティーへの取り組みを支援するために開設した。ぜひ広く活用してほしいと思う」と心意気を述べた。

 同社は2040年までにバリューチェーン全体で温室効果ガス(GHG)の排出を実質ゼロにする「ネットゼロ」の目標を掲げている。具体的には、「Scope1」と「Scope2」の排出量を2019年度を基準に、2025年度までに90%削減。「Scope3」の排出量は、2030年度までに購入した商品やサービス、輸送や流通、販売後の製品の活用から30%削減することを短期目標として定めている。

 これらの公約の達成に向け、同社では(1)再生可能エネルギーの利用の加速、(2)気候変動対策への投資、(3)ハイブリッドワークの推進、(4)サステナビリティー対応を支援するソリューションの提供、(5)サーキュラーエコノミー(循環型経済)への取り組み――の5つの領域で活動を進めている。

 (1)では、既に米国や欧州において再生可能エネルギーからの電力使用100%を達成しており、グローバル全体では89%に達しているという。(2)では、同社の基金「Cisco Foundation」において、10年間にわたって100億円を気候変動対策処理に投資することを表明している。

 (3)においては、従業員の通勤や移動時間の削減を進める。またオフィスのリノベーションを行い、スペースの見直しとともにオフィスの機能やコラボレーションテクノロジーを進化させ、ハイブリッドワークに最適な環境を整えているという。

 今回の説明会では、(4)サステナビリティー対応を支援するソリューションの提供と(5)サーキュラーエコノミー(循環型経済)への取り組みについて、執行役員の高橋敦氏が詳細に説明した。

 (4)では、顧客のサステナビリティーを支援するために「サステナブルデータセンター」「スマートビルディングワークスペース」「未来のインターネット」に関するソリューションに優先的に取り組んでいるという。

 サステナブルデータセンターでは、「Nexus Dashboard」を利用し、データセンターネットワークにおける電力消費量をリアルタイムに監視・可視化を行い、各拠点の電源効率性を高めるとしている。また、ハードウェアの観点では、データセンタースイッチ「Nexus 9800 Series」とサーバ「UCS X-Series」を用いて、電力の効率化を実現する。

 高橋氏によると、「特にNexus 9800 Seriesは、400Gや800Gのインターフェースをサポートする『Silicon One』が搭載されており、従来の当社の製品と比較して35%のパフォーマンス向上を図りながら96%の消費電力の削減を可能にする。また、ラックスペースを48分の1、輸送量を200分の1、輸送重量を62分の1に削減できている」とし、データセンターネットワークの消費電力の削減だけでなく、サプライチェーンにおける二酸化炭素(CO2)の削減にも貢献できる説明した。

 スマートビルディングでは、ネットワークスイッチ製品「Cisco Catalyst」シリーズやPower over Ethernet(PoE)を導入することで、企業は電力とデータネットワークを統合でき、ケーブルや導線、配管の使用によるエンボディドカーボン(建物のライフサイクル全体で排出される温室効果ガス)を削減し、エネルギーの交換効率を向上できるとしている。例えば、シスコシステムズのニューヨークオフィスでは、2019~2022年までの電力消費を39%抑えることに成功したという。

 さらに同氏は、PoEの技術を活用して照明やシェード、空調などに関わるIoTデバイスを管理できるようになると述べる。ほかにも、「Cisco Spaces」を通して、オフィススペースの稼働率に関するデータを収集し、使用していないスペースをシャットダウンすることで、ビル全体の総電力を消費できるという。

 未来のインターネットでは、通信事業者や企業は「シスコ ルーテッド オプティカル ネットワーキング」を導入することで、ネットワークの構築・拡張コストを削減しながら、持続可能性を高められるという。さらに、ルーテッド オプティカル ネットワーキングにSilicon Oneと自動化のソフトウェアを組み合わせることで、消費電力やスペース、輸送に伴うCO2の排出を削減できるとしている。

 高橋氏は、「未来のインターネットでは、シリコン、オプティクス、ソフトウェアのイノベーションにより、ネットワーク階層の削減、性能・柔軟性・持続可能性に関する進化、データ駆動型のインサイト、意図に基づくアクションの活用を実現できる」という。

 (5)では、パートナー企業や顧客が参加する循環型経済を促進する。その取り組みとして、顧客向けに「Cisco Green Pay」プログラムを用意。同プログラムは、同社のハードウェア製品の循環利用を促進する目的で設置され、循環型経済に賛同した顧客に対して、シスコ製ハードウェア製品の導入に当たり、試用期間に応じてインセンティブを付与する。利用契約の終了後には同社が有償で当該製品を回収し、循環型経済プログラムに基づいて処理されることを示す証明書を発行するという。

 また、パートナー企業向けにも「Environmental Sustainability スペシャライゼーション」を提供している。同プログラムでは、ストレージなどシスコシステムズへのマイグレーション以外の機器でも無料で回収するという。「当社では競合他社を含め、お客さまが希望する機器の回収100%に取り組む」(中川氏)

 回収後はリサイクルし、一部は新しい機器の製造の原材料として再利用するという。同プログラムにはアクセンチュアや住友電設、リコージャパンなど38社のパートナー企業が参画している。高橋氏は「サステナビリティーを実現する上で、お客さまの既存ネットワークを熟知して産業、業種ごとの専門知識を持つパートナーとの協業は必要不可欠。パートナーと共に持続可能性について学び合い、サステナブルソリューションやプログラムを提供したい」と展望を語った。

 また、新品同様の品質で再生された認定再生品を「Cisco Refresh」として提供するという。認定再生品は純正のシスコ製品となり、新品同様の保証が付帯され、低コスト、短納期で提供する。

 この取り組みにより、同社では再販売と再利用、リサイクルの比率を高めることで廃棄物を極限まで抑えることができ、高橋氏によると「当社の製品のリユース/リサイクル率は99.9%以上になった」という。Cisco Refresh は、現在の環境とレガシーの環境の両方のニーズを満たす認定再生品を提供するとしている。

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