レノボのグローバルCIOに聞く–サービスモデルへの転身や生成AIの導入
今回は「レノボのグローバルCIOに聞く–サービスモデルへの転身や生成AIの導入」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
Lenovoは、スマートフォンからサーバーまでの幅広い製品を持つハードウェアベンダーだ。競合他社がそうであるように、同社もサービス戦略を進めているが、そこでの差別化になるのは何か――グローバル最高情報責任者(CIO)として同社の技術面を率い、新設のソリューション・サービス事業部(SSG)では最高技術・デリバリー責任者(CTDO)を務めるArt Hu氏に聞いた。
–LenovoはハードウェアからクラウドやAIに拡大し、サービスを強化しています。CIOとして、Lenovoの転身をどのようにサポートしていますか。
ビジネスと技術の2分野でサポートしています。技術では、「業務を支える技術は何か」を見ています。クラウドとAIは、10年以上のスパンを持つメガトレンドです。これまでわれわれは、クラウドネイティブ技術などクラウドの先進的な技術を取り込んできました。AIも然りです。それにより、運用の方法が変わり、ITチームが持つスキルは、10年前から大きく変化しました。
具体的な例として、12年前にLenovoのITサービスデスクチームは、パスワードリセット、業務アプリケーションの不具合への対応など、標準的なITサービスデスクの役割をこなしていました。これにクラウドとAIの技術を適用すると、チャットボットをインターフェースにしたセルフサービスができます。これによりITチームは変化し、エンジニアはヘルプデスクのエージェントではなくナレッジベースの構築を進めています。われわれはパブリッククラウド、プライベートクラウドの両方を運用し、ハイブリッドクラウドのレイヤーも持っています。
クラウドベースの業務に移行する中で、例えば、データベース管理者は、これまで手動によりサービスをプロビジョニングして、データベースのテーブルサイズを変更するといった作業をしていました。現在は、APIを経由して簡単に操作できます。このように、数年がかりでDevOpsなどの新しいフレームワークで作業したり、生産的が高まるような環境を用意したりするなど、伝統的な役割の業務を変化させてきました。
技術を導入するだけでなく、働き方、人材、プロセスなどについても変えています。ビジネス面では、180カ国でビジネスを展開し、順守すべき規制を守り、顧客に優れた体験を提供できるように技術面で支えています。Lenovoは現在、サービスモデルへの移行を進めており、次世代のAI時代に向けて、全く新しい企業に生まれ変わろうとしているのです。
ハードウェアが中心だった頃は、明確なエコシステムがあり、チャネルパートナーがおり、BtoB(対法人ビジネス)とBtoC(対一般消費者ビジネス)で、それぞれビジネスモデルを持っていました。サービス事業は、ハードウェアビジネスでは対応してこなかったような部分に対してもサポートしていなければなりません。ハードウェアでは、部品を中心としたサプライチェーンでしたが、サービスでは、適切な知識と能力を持つ人材が必要になります。どのようにしてチームを構築するか、どのようにして顧客に訴求するかは異なりますし、契約も異なります。
(新設した)SSGはここを担い、小さなスタートアップを動かしている感覚です。財務や、グローバルに持つ物理的なサプライチェーンのプロセスを支える基盤など、再利用できるものもありますが、AIなどの新しい技術を使ってサービスソリューションを立ち上げています。
–グローバルCIOの職に加えて、2022年からSSGでCTDOも兼任しています。CTDOとして優先的に取り組んでいることは何ですか。
2021年にSSGが立ち上がり、CTDOとして、幾つかのことに取り組んでいます。SSGは、単なるハードウェアビジネスとは異なります。サービスやソリューションが意味するのは、顧客と継続的な関係です。そこで私は、SSGのほかのメンバーとともにデリバリー責任者として信頼を獲得し、信頼関係を継続することにフォーカスしています。これは、簡単なことではありません。顧客の存在を当然と思うのではなく、長期的な関係を構築するためにわれわれは努力をしなければなりません。
技術では、まずどのように技術を使うか、それを顧客へ提供する製品にどのように組み込むかを考えます。基準にしているのは、より良い体験を提供するものか、効率を高めるものか、です。それを可能にする技術の中には、チャットボットのように、視覚的に(顧客の目に)見えるものもあれば、内部でプロセスに技術を適用するなど目に見えないものもあります。最終的に、顧客に喜んでもらうことにつなげる必要があります。
また、事業部やマーケティングとの協業も欠かせません。技術への投資のリターンにおいて、1つが市場にサービスや製品を投入することです。顧客がワクワクするようなものを作るためには、市場に分かりやすくアクセスしやすい形で提供しなければなりません。そのためのプラットフォームなどを考える必要があります。
デリバリーでは、2つあります。まずは、顧客をオンボードした後に、われわれが顧客との契約をきちんと果たしているかを確認することです。次は、顧客が満足しているか、です。というのも、契約を守れていても、顧客がハッピーではないこともあるからです。そこで、短期と長期の両方の視点を持っています。短期的な視点とは、顧客が満足しているか、長期的視点とは、信頼関係の構築になります。
–そうした成果をどのように測定しているのでしょうか。
1つの指標になるのが、契約の更新です。契約を更新しなければ、われわれが正しいことをしなかったと言えます。たとえ契約内容をきちんと果たしていたとしても、です。
われわれが顧客の役に立つことができれば、顧客は契約を更新するだけでなく、さらなる課題解決をわれわれと一緒にやりたいと思うでしょう。例えば、デバイス・アズ・ア・サービスに満足したら、「次はサービスデスクも任せたい」となるかもしれません。