自社ツールでDEIの今を測る–ワークデイの最高ダイバーシティー責任者
今回は「自社ツールでDEIの今を測る–ワークデイの最高ダイバーシティー責任者」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、トップインタビュー等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
女性管理職比率の伸び悩みなど、ことダイバーシティーとなると先進的とは言えないのが日本の組織だ。「カルチャーをいきなり変えることはできない。異なる価値観が組織に価値を与えることを理解すると良いのでは」と話すのは、Workdayで最高ダイバーシティー責任者を務めるCarin Taylor氏だ。働きがいのある会社ランキング上位の常連である同社は、ダイバーシティーにどのように取り組んでいるのだろうか。Taylor氏に聞いた。
–Workdayでは、DEI(多様性、平等性、包括性)をどのように進めているのでしょうか。
ダイバーシティーでは、Value(価値)、Inclusion(包括性)、Belonging(帰属意識)、Equity(公平性)の頭文字を取った“VIBE”の達成を目標としています。
そのため、「VIBEマインドセット」を従業員に持ってもらうように働きかけています。VIBEマインドセットは、「好奇心」「思いやり」「勇気」と3つのコンポーネントで定義しています。好奇心は、必要な情報を持っていない分野で、何かを深掘りするに当たってどのような問いかけをするのか。思いやりは、テーブルの反対側にいる人の経験を理解すること、(他人だけでなく)自分の間違いにも寛容になるということ。勇気は、ビジネス上の重要な決定を下すために必要なものであり、DEIでは勇気という視点から意思決定を理解してもらうことに取り組んでいます。
マインドセットに加えて、重視しているのが帰属意識です。ここでは、“PEACE”として取り組んでいます。PはPsychological Safety(心理的安全)、EはEmpathy(共感)、AはAcceptance(受容)、CはConnection(つながり)、EはEmbraced(包容)です。
幾つか説明すると、Pの心理的安全は従業員が安心して意見が言えるために重要なものです。心理的な危害が起こり得る社風では、危害から受けたトラウマを伴う人が出てくるでしょう。トラウマを抱えながら仕事をしても成長できません。そこで、Workdayは心理的安全性を重視しています。5つのうち、最も難しいものと言えるかもしれません。
2つ目のE(共感)は、特にリーダーシップに必要なスキルと言えます。私はアフリカ系アメリカ人で、カールした髪で出勤することもあればストレートにすることもありますが、私自身は同じです。そのままの私を受け入れてほしい――。それが共感です。最後のE(包容)は「認められている感覚」と言い換えることもできます。自分の仕事や貢献が認められる、評価される、尊重されているという感覚があることを指します。コロナ禍を経て帰属意識の重要性が再認識されていますが、Workdayは以前から取り組んでいます。
–最高ダイバーシティー責任者として、採用段階ではどのように関わっているのですか。
Workdayは女性や障害がある人など従業員の多様化を図っており、入り口になる採用段階から関わっています。幹部の採用であっても、従業員の採用であっても、全てのプロセスでさまざまな形で関与しています。面接ではVIBEに関する質問もします。
一方、多様性の推進という点でWorkdayはユニークな考え方で進めています。女性が必要、有色人種が必要という視点ではなく、チームに欠けている視点は何かを考えて、それを満たしていく――。これがWorkdayにとっての多様性です。
–企業が成長中で人手がすぐに必要な時、スキルとVIBEマインドセットの評価のバランスはどのように取っていますか。
両立できると考えています。Workdayは正しいマインドセットがあり、必要としているスキルを持った人を採用します。どちらかが欠けている場合は、採用に至りません。
スキルについては考え方が変わってきています。以前は4年制の大学を卒業した学位が必要と考えられてきましたが、そこにこだわらない考え方が出てきています。テクノロジーの活用が進み、今後はスキル要件が部分的でも不要になることも考えられます。
そこでタレント(人材)のプールを広げるという点で、Workdayは「退役軍人」「休職中など一旦職を離れた人」「大学卒業の学位を持たない人」と大きく3つタイプの人に向けたプログラムも展開しています。